プロット「カラスは飛ばない」
○シーン1
日々をぼんやりと過ごす高校二年生の男子生徒A(17)
内気で女子と会話すらできない彼はクラスの美少女B(17)に片思い中。 声をかける事ができず、教室でBを見つめるだけの毎日を送る。
昼休みにジュー スを飲んでいるBの口元を見つめるA。飲み干したジュースを教室のゴミ箱に捨てるB。
放課後、誰も居なくなっ た教室でゴミ箱を漁りBの飲み干した殻のジュースを拾うA。家に持ち帰り殻のジュースに、口づけをするA。
この日を境にAはBの出したゴミを収集する様になり、ゴミをチャック付きの透 明の袋に入れ匂いを嗅ぐA。 部屋はBのゴミで敷き詰められている。
○シーン2
いつもの様にAがゴミ箱を漁っていると、 ゴミを集めている事をBに目撃される。
B「何してるの?」
全力で学校から逃げるA。
B「気持ち悪い」
絶望を浮かべ、その場で悶えるA。
自宅に帰る道で通り魔に暴行されるA。救急車に運ばれ入院する。入院中に護身用のグッズに興味を持ち、スタンガンや折り畳みナイフのショッ プのサイトを頻繁に見る様になる。折りたたみナイフを購入し持ち歩き 病院でリハビリしながらナイフの扱いを練習するA。
○シーン3
病室でナイフを振り回しているA。 Bが訪ねる。 慌ててナイフをベットに隠す。 Bの訪問に戸惑い沈黙するA。 お見舞いに来たBはやさしく声をかける。
重たい沈黙が流れる。
B「私のお願い聞いてくれる?」
無言で頷くA。
満足そうに微笑むB。
B「じゃあ、また来るね」
○シーン4
退院し学校に再び通う様になったAは、 Bの言う事を何でも聞く様になる。 放課後、 女子の制服をAに渡すB。
B「これに着替えて」
着替えを躊躇するA。
B「早く」
Aの写真を撮るB。
B「綺麗だよ」
Aの顔に近づき口紅を塗る。
B「よしできた」
照れて顔をそらすA。
B「この格好のまま外行こうか?」
A「えっ?」
微笑むB。
手を繋ぎ外に出る二人。
○シーン5
女装し、放課後になると二人で出かける様になる。
ある日、校門前でBが付き合っている大学生を見かける。
大学生「そのこ誰?」
B「...友達」
Bは束縛の激しい大学生と別れたいとAに打ち明ける。
B「あいつ束縛激しいから嫌だ。別れ話すると暴力ふるってくるし、何とかして。お願い」
別れる為の確実な口実を作るために、大学生の秘密を探る様にAに依頼する。
A「僕が何とかする」
B「待ってるよ」
女子トイレに入り折り畳みナイフを取り出すA。
○シーン6
大学生の後をつけ、住む家を突き止めるA。 深夜にゴミを出し自宅に戻る大学生。 ゴミ袋を漁るA。 ゴミ袋の中から使用済みコンドームや、薬物の空袋を見つけ持ち帰るA。 証拠品に喜ぶB。
B「やっと自由になれる」
大学生を呼び出すB。
大学生「何?」
袋に入れた使用済みコンドームや薬物の空袋を大学生に渡すB。
大学生「おいっなんだよ、これ」
B「さよなら」
大学生の手を払うB。
大学生「ふざけんなよ」
○シーン7
大学生と別れ自由になったBはAとレストランでお祝いをする。食事をしながら、高校を中退し夢だった芸能界に向かう事をAに嬉しいそうに打ち明ける。 **
暗い表情のA。
翌日
退学の日に、学校を見に来たBは、 退学しない様にAに引き止められる。
A「学校辞めないでよ...」
B「ありがとう!自分を変えてでもやりたい事があるって、素敵な事だと思わない?君も何か見つかるといいね」
B、Aを置いて先に帰る。
A「僕の本当にやりたい事は、君の傍にずっと居る事だよ」
足取り重く帰るA。
○シーン8
帰り道で、通行人に暴行している ヘルメット姿の大学生を目撃するA。
A「何やってんだよ」
大学生と掴みあいになる。
通行人「誰か来てくれ」
逃げる通行人、ヘルメットを取る大学生。
大学生「よう。久しぶり」
驚くA。
Aを殴る大学生。
ポケットからナイフを出しかまえるA。
大学生「それ玩具か?」
ナイフで大学生を刺す。
大学生「痛えな、このやろー」
血を流し倒れる大学生。
大学生「絶対殺してやる」
パニックになり逃げるA。
自宅まで走り部屋で眠るA。
テレビで大学生が刺されたニュースが流れる。
○シーン9
朝目覚めると部屋には血のついたナイフが 置いてある。
手に取るA。
A「夢じゃなかった」
今まで集めたゴミを袋に詰め学校に向かうA。 学校の焼却炉にゴミを入れ燃やすA。 燃える炎の中でBの言葉を思い出す。
○回想
B「自分を変えてでもやりたい事があるって、いい事だと思わない?」
徐々に泣き出すA。学校を出て、自首を試み警察の前を何回も 通るA。 不審に思い警官が近づいてくる。
警官「ん?」
走って逃げるA。
A「やっぱりできない」
○シーン10
自宅の部屋で血のついたナイフを持つA。 ナイフで自分の腕を切ろうとする。
A「もう全部やだ。終わりにしたい」
携帯が鳴りBからの電話に出るA。
A「もしもし...」
B「ねえテレビつけてみて」
テレビ見るとドラマでBの姿を見かける。
A「すごいな」
B「頑張ったよ。小さい役だけどセリフもあったし、君は何か見つかった?」
沈黙が流れる。
B「何か見つかるといいねーまたね」
A「...うん」
ナイフを置き外に出るA。 行くあてもなく前に進むA、
スマホの待受を見ると、画面には女装して二人で撮った写真が表示されている。
終わり