美浜町・由良町・日高町 幻の3町合併のはなし
1990年代半ば、各市町村の自主的な合併を促す動きが国主導で行われました。自治体の規模を大きくすることで行財政基盤を強化し、地方分権を進めることが目的です。
様々な財政特例策などが取られ、日本全国で多くの自治体が合併。世にいう『平成の大合併』です。
こうした流れを受けて、2001年、由良町を含む日高地方11市町村(当時)からなる「『日高地方』市町村合併研究会」が設立されました。
その後由良町は、隣接する日高町と、自治体規模の似ている美浜町との3町合併の道を模索。2003年に「美浜町・日高町・由良町合併協議会」が設置されます。
この頃、3町合併後の新しい町名を募集するアンケートが行われたことを覚えています。
2004年度中の合併に向けて調整が行われましたが、基金や上下水道事業に関する調整が難航し、3町合併を断念、協議会は2004年5月に解散しました。
当時の新聞によると、由良町、日高町の両町長が美浜町長を訪問し、合併に対する意見を聞いたとのことなので、美浜町はあまり前向きではなかったのかもしれません。
今度は由良町は日高町との2町合併を検討し、「日高町・由良町合併協議会」を設立しますが、こちらも調整がうまくいかず、2005年1月に解散しています。
それ以降、特に町村合併についての動きは見られなくなりました。
ただ、様々な面で3町の連携は進んでおり、2015年には3町が保有する戸籍データを共同管理することとし、大規模災害時の早期復旧に備えています。
また2019年には、3町合同で観光プロモーションを行うプロジェクトチームが発足しました。
3町の協力関係は、今後も続いていくものと思われます。
なお余談ですが、「『日高地方』市町村合併研究会」での議論の末、2004年に南部町と南部川村が合併して「みなべ町」に、2005年に川辺町、中津村、美山村が合併して日高川町に、また龍神村が日高郡を抜けて田辺市と合併。
11あった日高地方の市町村は現在の7市町となっています。