個人投資家の逆襲4章~サイバードMBО
電子書籍として発行されていた「個人投資家の逆襲」の4章です。
第4章
サイバード事件
6万円 → 6万1360円
上場期間平均・・・12万7237円
公開買付価格・・・6万円
裁判所認定価格・・6万1360円
事件の概要・・・・・MBO
私の立場・・・・申立人団長
参加人数・・・・・・・6人
概要 初めて「助っ人」として訴訟に参加した事例。純資産や過去の価格から安すぎると思った。楽勝のはずが、誤算があって思わぬ苦戦。結果的には辛勝した。
1. 公開買付け
「株主を愚弄している」
言ったのは私ではない。東証の斉藤惇社長である。平成23年2月、記者のインタビューに答えてのものである。
「(上場時に株式を)高値で株主に買ってもらって、増資もし、リスクマネーを取り、株が半値ぐらいに落ち、株主がうるさくて事業ができないので上場廃止する(というのは)、心情的には、非常に不快だ。投資家を愚弄していると思う」
サイバードは、斉藤社長の指摘が一番当てはまる会社かもしれない。
サイバードは、平成12年12月21日にジャスダックに上場した。上場時の平均株価は約12万円(分割考慮後)。堀主知ロバート社長は、平成17年、持ち株の一部を市場で売却している。当時の株価は1株24万円ほどである。
ところが、平成19年3月にのれん代を一括償却したため、一時的に大幅な赤字を計上し、株価は低迷した。だが、業績は好調で、すぐに黒字転換することが予想されていた。このため、一時は低迷した株価も平成19年10月21日には5万5900円まで回復していた。
ところが、10月31日、SPCであるCJホールディングスが6万円で公開買付けを発表した。SPCというのは、公開買付資金を入れるための「箱」のような役割を果たす会社である。
この公開買付けは、いかにも安いように思われた。何せ、上場以来の1,688営業日のうち、1,473営業日は6万円を超えていたのである。のれん代償却で一時的に低迷しているにすぎない。
このニュースは、すぐに私のところに飛び込んできた。レックスなどでの奮闘から、私のブログはある程度の知名度があったのだ。ブログ読者の1人が教えてくれた。
私は早速1株を購入し、11月17日に抗議集会を行った。
集会では、公開買付けに応じないことなどが決議された。
11月21日、サイバードは、業績の上方修正を行い、経常利益が4億5000万円の黒字に転換すると発表した。もっとも、公開買付期間中で、株価は6万円をやや下回る水準で推移していたから、株価に反応はなかった。
そして、12月13日、公開買付けは成立した。もっとも、応募は89.77%と、わずかに90%に満たなかった。レックスの弁護士が盛んに「90%が応募するか否かが重要だ」と強調していたので、この時点では先行きを楽観していた。
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