山口一弥(元映像配信会社勤務)の不思議な実体験②
山口一弥です。先日に続き、不思議な実体験の投稿です。
私が大学生だった頃、夏休みに友人と一緒に長野県の山奥にあるペンションに泊まりに行くことがありました。自然に囲まれたその場所は、静かで空気も澄んでおり、都会の喧騒から離れてリラックスするには最適でした。ペンションのオーナーもとても親切で、毎日新鮮な地元の食材を使った料理を出してくれたので、滞在中は大満足でした。
ところが、滞在の3日目の夜、少し奇妙なことが起こりました。その日の夕方、私たちは夕食後に軽く散歩をすることにしました。辺りはすでに暗くなり始めていましたが、月が出ていて十分に道が見える状態でした。友人と二人でペンションから少し離れた小道を歩き始めたとき、不意にふと冷たい風が吹き、背中に寒気を感じました。
そのとき、どこからか「誰かがこっちを見ている」という感覚がありました。振り返ってみても、もちろん誰もいません。しかし、その感じは消えず、私の背後にずっと存在しているようでした。友人も同じことを感じたのか、急に歩く速度が速くなり、私もそれに合わせるように足を速めました。
散歩を切り上げ、ペンションに戻ることにしましたが、何となく不気味な気配が気になり、私たちは早歩きで帰りました。部屋に戻ってからも、まだ少し背中がざわつく感じが残っていましたが、友人と話して気を紛らわせているうちに少し落ち着きました。
その夜、私は深夜に目が覚めました。時計を見ると、午前3時を少し過ぎたところでした。寝返りを打とうとしたとき、窓の外から何かが動いているのが目に入りました。カーテン越しに見えた影は、人のような形をしていました。思わず体が凍りつき、息を止めました。
その影は、まるで窓の外を歩いているように見えました。しかし、その時気づいたのです。私たちの部屋は2階にあり、外に歩ける場所など存在しないことに。頭の中で理解が追いつかないまま、私はただじっとその影を見ていました。影はしばらく動いていましたが、やがて消えました。
翌朝、友人にその話をしましたが、彼も夜中に何か気配を感じたと言いました。窓の外に何かいたかどうかまではわかりませんが、何か異常な空気を感じたのは確かだと言います。私たちは朝食後、ペンションのオーナーに何気なくその話をしてみました。
オーナーは少し困ったような顔をしながらも、「この辺りは昔から不思議なことが起こる場所だ」と言いました。山の中には古い神社や祠がいくつもあり、その中には神聖な場所として知られている場所もあるそうです。オーナー自身も不思議な体験をしたことがあると話し、「気にしなくていいよ」と笑顔で言いましたが、その言葉がどこか現実味を帯びているように感じ、私はさらに背筋が寒くなりました。
あの影が何だったのか、今でも答えは分かりませんが、その経験は私にとって忘れられない不思議な体験となりました。日常の中に潜む未知の世界や、説明のつかない出来事は、実際に存在しているのかもしれません。それ以来、私は自然や古い場所に行くたびに、目に見えない何かが存在しているのではないかと考えるようになりました。