ベッキーの気持ちが少しわかる4
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまうという長いタイトルの月9を見ている。
「なんでこんなタイミングで、前に好きだった男のところに行っていいかなんて聞くんだよ。いいって言っても、ダメって言っても、どっちも苦しいよ」みたいなセリフを聞いて、痛々しい気持ちになる。
これは、プロポーズをなんとなく流された男のセリフだ。
この役は、基本的にイエスマン。数日前にプロポーズして、流され、翌朝いえを出るとき彼女に「●●君に会いに行ってもいい?」と聞かれる。「ダメって言ったら?(少し間があり)いいに決まってるだろ。音ちゃんの好きにしな」みたいな返事をしてその場をおさめるような性格だ。
次回予告では、彼女がむかし好きだった人に「君が戻ってきてから、関係が悪くなったんだよ」と言っているのも共感できた。これは私が実生活で思ったことだったから。
山形に帰っているといっていた元カノが、東京に帰ってきてから、会いに行っているんじゃないかという心配で頭の中がいっぱいだった。
喧嘩してうちに来なくなった大雪の日、彼から久しぶりに届いたフェイスブックのメッセンジャーは親切に位置まで教えてくれた。それは、元カノと昔同棲していた家からだった。なんでwebににめちゃくちゃ詳しくて、コーディングもwebデザインも、アプリ制作もできるのに、そんな凡ミスしてくれるんだろう。
内容は「あおこの誕生日プレゼントを買ったので、もらってください。いえのドアにかけておきます」。そして私は「位置まで見えるよ!いま、ここにいるんやね」というような言葉とスクリーンショットを送ったら、スマホの前で慌てているのが伝わるようなメッセージが届いた。内容は忘れたけど。(そして、それ以来彼は位置情報を送ってこなくなった)
仕事が終わり、彼がむかし元カノと同棲していた家の最寄り駅で降りた。降りた後は、彼と出会ったイベントの編集長のような人に電話した。久しぶりですなど数分間の世間話をした後に「最近●●●さんってい人がフェイスブックの友達かもに出てくるんですけど、この人どんな人ですか?」。明らかに怪しい。あっちも、「え?なんで?」みたいなことを言いつつも、おしゃべりな関西人なので「その子、石田くんの元カノやで。もう30くらいなのにめっちゃ売り込みすごくて、でも自分なんもせんで困ってるねん」みたいなことを言っていた。
これで、元カノがはっきりした。ゲスだなと思ったのが、元カノと私の苗字と名前の一文字目まで一緒だったこと。しかも、彼女が出店するイベントの広報として、イベントを手伝ったのに、そこで出会った人と付き合うという。
その後、彼に電話して、「雪がひどくて、電車がおかしくて歩いてる。いま、Kの家の近くだよ」というと、「え?どこのなの?」といつもの心配が出てきた。私は「いいよ。うちに帰るよ」と言いつつも「やっぱり、家行ってもいい?」と言い、家に行くといつも開いている奥の部屋のドアが閉まっていて、机には編みかけの毛糸があった。
彼は、ひとり暮らし歴は10年以上なのに、風呂釜を洗うのすら人生で数回しかしたことがない生活に興味がないデジタル人間。
突然いけば、世にいう「修羅場」というものになったかもしれない。わたしは、突然行く勇気はなかった。奥のドアを開ける勇気もなかった。
彼はテレビの前のソファーに力なく横になりながら、オリンピックのスキージャンプやモーグルの映像を見ていた。そして「あおこの家にプレゼントかけてきて、それ雪があたるとダメになるから、早くあおこの家に行こうよ」と何度も言った。うちのドアは、室内だから雪なんて当たらないのに。廊下の窓は開くけど。
なんとなく動きたくない風にだらだらしていたが、突然の雪で全くつかまらなかったタクシーをなんとか彼がアプリでつかまえ、「あおこ、タクシーくるってよ」と言われ、二人そろって家を出た。