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写真ではないもの。

作為的かつ部分的な加工を施されたモノは、写真なのか。自身の定義ではイエスとは言えない。

残念ながら、CMで売り出されている某スマートフォンの写りを変更する機能は写真とは呼びたくはない。

前提だが、作り手の多くが辞書も知らない自らの定義や思想を設けている上で、アイデンティティや表現者としての世界観をそれらが構築していると言ってもよいと考える。なので、他者の定義や主観は尊重したい。この内容や今後も発信する山口の考えを誰かに押し付ける気はない。開示するだけである。

その上で写真の話。

やはり願いとして、写真は真実を写すものであって欲しい。SNSの大海原には、真実を写していないモノがあまりにも多すぎる。

正直、加工したかしていないかは、成果物では判断できないが。だからこそ、意図を持って作り手として『真実を写している』と発信していこうと思う。

さて、ここで写真という言葉の歴史を遡る。

笠井享 さんが「箱の内に硝子の鏡を仕掛け、山水人物をうつし描ける器、かの地にて写真鏡とよべるものあり。」と、西洋を紹介した本に記載されていたと綴る。

つまり、フォトグラフィが発明される何百年も前から「写真(鏡)」という日本語(というか漢文)は存在していた。

「写真」ということば ──「写真」の語源について
── 笠井 享 ──

そんな長い写真史の中で、この言葉の意味はいつから変わってしまったのか。

おそらく、photographyの外来だろう。

私は写真を、真実を写そうとする行為だと定義する。そこでphotographyという言葉は全く当てはまらない。現代の日本で、写真に押し付けている意味合いはphotography的だ。写真=Photoと用いている。

私もかつて同一のものと見なしていた。

フォト(=光)・グラフィ(=絵図)はフォトグラフィなのであり他意はないのである。

「写真」ということば ──「写真」の語源について
── 笠井 享 ──

光の絵図がphotography。真実を写すなどというニュアンスの欠片もない。

photographyに他意がないのであれば、写真の定義を変えたい。更に自らで設定したい。なので、名前にちなんで【真実を写そうとする行為】としたのだ。

現代、名にあった意味合いで使われていない写真。

AIスマホのベストテイクも、Adobe製品によるか物体の消去も、部分的な美肌補正も、真実を写そうとする行為ではなく、真実から遠ざかる行為だ。

それは写真ではなく、フォトである。

それを写真と呼ぶことはやめたんだ。私はフォトグラフィと写真を分けていく。

ビジネスやアート、さまざまな局面でフォトグラフィを使うことはあるだろうが。写真を行うときは、丁寧に森羅万象を写すのだ。物体を変えたり、合成などせず、優しく現像をする。

ここで、色についても触れておく。

このような話をすると、「現像で色を変えている時点で、現実から遠ざけているじゃないか?」という声を挙げる者がいる。

そうとも限らない。なぜなら、色の撮影ミスを修正する場合も多い上に、カメラで正確に現実を写すということは困難であるからだ。

言い方を変えれば、色については諦めている部分がある。その上で、真実を写していなくても、各々が『主観的に真実を写そうとする行為』自体が尊重されるべきだ。

そちらに関しては、この記事で具体的な機能も含め深ぼっている。

完璧な色の投影は撮影が困難+撮影ミスがある。それを自然(自らが納得いく色)に戻す現像という行為は、悪くないだろう。

加えて、色とは物体の性質、光の性質、網膜(や脳)の性質を掛け合わせて完成するモノなので、特定の色が正解。という考え自体が固い。

色の見え方は人それぞれ違う。なので、私は誰かのレタッチや色に口を挟まない。彩度が高かろうが、モノクロでも、ペールトーンでも、シネマライクでも、サイバーパンク調だとしてもだ。

最後に、歪みは私の中ではフォトグラフィと曖昧な位置にいるが、トリミングや回転もそうだ。世界の真実を変えると言うより、撮影での立ち位置など、その人の撮り方の範疇を修正する。

角度が絶妙に斜めで伝わらない。なので、真っ直ぐにする。

外側に写っている余計なものを、合成や加工ではなく、トリミングで削る。

これこそが、写真らしい現像だと言える。
真実を写そうとする為。現像ソフトを使って、見やすく・現実に近づけていく。素晴らしい。

ただ、フォトグラフィでの加工と、写真の現像が同一のソフトでできてしまう今。

フォト=写真は。変わらない上、AIの発達で徐々にフォトグラフィの居場所は拡大していくのだろう。

この時代に危機感を覚え、私は写真を再定義した。

文章も纏まったところで、写真撮影に行ってこよう。

この美しい世界を、その真実を後世に残すのだ。

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