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写真と色彩。
写真を撮る上で色というのは考えざるを得ない。これはビジネスでも自己表現だとしても切っても切り離せない。色は、工夫次第で心理的な効果をいくらでも与えることができるし、統一感や世界観の演出もできる。
本物と同じ色の再現は難しい
まず、この世界において現実での色を写真で完璧に再現するのは難しいという話をする。
そもそもスマートフォンもデジタルカメラも露光やホワイトバランス、フィルター、レンズなどの設定や性質が異なれば、必ず違う結果がでる。
じゃあ同じ設定に統一すれば?
いや、実際の世界の明るさやホワイトバランス(簡単に言うと暖色か寒色か)などによってカメラの設定を変えないと上手く撮れない。寒色の照明に対して、暖色用の設定で撮影してしまうと必要以上に青みがかってしまう。
なので、同じ設定で統一するのは困難であり、自分で設定するか、autoモードを用いて自動でカメラ側に合わせてもらうしかない。
じゃあautoモードだけを使えばいいのか?
autoモードはあくまでカメラがその場に応じて、カメラが認識できる情報量の中で設定するだけだ、私たちが現実世界で求めているような写真が撮れるとは限らない。
分かりやすい例で説明すると、サッカーの写真を撮ろうとして、イメージするのは『キックモーションで足を振り上げているシーン』だが、auto撮影で実際に撮れてしまうのは、ブレブレの写真だったりする。
これは各項目のバランスを自動で調整して、『それなりにいい写真が撮れる』設定にしてくれているだけなので、あくまで『サッカーをブレないで撮る』設定ではない。
具体的に言うと、ブレないようにする為に決めなければならないシャッタースピードという項目すら、自動で勝手に決められてしまうから、目的に応じた写真が撮れない。
ならば、色に関係するホワイトバランスだけautoで固定すれば、再現できるんじゃ?
いえ、ホワイトバランスも『それなりにいい写真を撮れるようにしているだけ』。
赤の夕焼けをautoで撮ると、勝手に補正をかけられて鮮やかな赤が撮れない..なんてこともある。
そんな時に、モードを太陽光にしなければならないが、室内の撮影では、照明によって太陽光のモードが全く使えないことも。
こんな感じで、autoも指定もどちらもデメリットがあり、まず前提として、すべての撮影に一つの設定で統一するのは現実的ではない。
よって、色の完全再現というものはなかなか困難だ。
色の再現
PhotoshopやLightroomなどの現像ソフトを用いて、色を再現していくことは可能だ。より自然に、違和感なく戻していくことはできる。
それを加工するな!と言われてしまうことはあるが、カメラの撮影時の設定ミスも、結果的に『網膜に映る絵と大幅に異なる』という点では加工と言えてしまうのではないかと思う。
その加工が『意図的に変化を加えたこと』という意味合いだとすると。
『意図はなく変化をしてしまった撮影ミス』と取り消すために、『意図をもってオリジナルに戻していく』行為をしているので、後者が批判される理由がわからない。撮影ミスを治す行為が悪いと言われるのは理解できない。
とはいえ、現像ソフトは修復以外にも、人物加工や合成もできてしまう。そういう意味で批判をする方々は、自らの『ありのまま写す写真像』を破壊され、憤怒しているのかなと感じる。
私としては、写真とグラフィック・フォトコラージュに全て境界線を決めているので、写真と言ってPhotoshopで大胆に加工してあるものをみると、疑問が浮かび上がってくる。
もちろん、本人に伝えるわけでもなく、ただ私の中での写真の定義に包含されていないから違和感が生じているだけだ。
一旦その話題は置いといて。色を変えていくことは写真として捉えていきたいと思う。
その人の世界
必ずしも好きな色は存在する。私自身はそれを言語化できるように分析した。
シャドウに若干青緑を入れるとか、黒からグレーにかけての階調数を減らし、かつトーンを落とす。人の肌は黄色より赤に寄せ、オレンジとトーンの明度を上げる。青と緑の赤の彩度を落とす、など。
他にもあるが、誰にも感覚的に好きな色はあると思う。それを撮影設定やレタッチで出していくのが、写真においての、一つの個性の表現だ。最低限のテクニックを習得後は、構図やポージング、美術や衣装などフレーム内の世界観、ライティング、シャッタースピードの表現などでアイデンティティを表していける。それ以外にも、色での表現方法は分かりやすく、大衆に統一感や作風として認識されやすいので、比較的自分らしさを伝えやすい手段だと感じている。
上で書いたように、現実の色の再現が難しいのだが、自分の好きな色を乗せることで「撮影したデータ」から「自分らしさを乗せた写真作品」に進化するのではないかと考えている。
私は要求されたお仕事以外では、物体の削除や合成をしないが、全ての写真にレタッチを加える。AdobeさんのYouTubeで、写真家の方が100点の写真を120点にするのが、RAW現像と確か語っていたが、まさにその通りだ。
写真に対して色を加えることは、誰にでもわかりやすく自身の存在を伝える方法。それがモノトーン、サイバーパンク調、フィルム調、レトロ、青春ブルー、シネマティック、どれだとしても自分らしさを出せる手段をだと感じている。
撮影したものを正解にするのもよし。
現実世界の色をなるべく再現するのもよし。
そこに自分らしさを乗せるのもよし。
色と向き合う写真活動はとても奥深くて楽しいもの。
これからもうまく付き合ってシャッターを切っていこうと思う。