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CDを買う意味

銀座線に乗って渋谷駅で降りる。

綺麗になったホームを、何も考えずに歩く。
何の意識もせず歩いていたら、ふと自然と1番端っこの改札口のレーンに体があった。

あれ?タワレコってどういう道を行くんだっけ?

頭の中で苦手な地図を回転させて、新しい渋谷のイメージを膨らませながら、無事間違えずに到着することが出来た。

今日は、すごく久しぶりにCDを買いに来た。

渋谷のタワーレコード。

もう久しく来ていない。

最近、私の大好きなバンドWANIMAが新しいアルバムを出したので、それを買いに来た。

発売初日に慌てて行って特典付きの豪華なCDを買う必要は無いので、ゆっくり落ち着いて行けるときに。通常版を。

そんな緩いファンで申し訳ない。

店舗内は、以前のタワレコとはまったく違っていて驚いた。

1階は発売されたばかりのHOTなCDたちが、天井近くまで展開される大きなポップと共に並んでいた。そのポップにはアーティストのサインなんかも書かれていて、写メ必須のポイントなのだろう。

そんな新しい出来たてホヤホヤのCDと一緒に、横には漫画コーナー。最新の漫画が置いてあるのだ。漫画。
更に驚いたのが、CDと共に置かれていた、小さくて細長いパケージのCD。私が小学生の頃に主流だった縦長のアレや、山下達郎のレコードなども大きく展開されていて、類似したジャンルのレコードもしっかり並んでいた。

古くアナログなものと真新しいホットな音楽が、最も需要が高いと思われる1階フロアに混在していた。

WANIMAの新アルバムは2階かなと思い、2階に上がる。

すると、2階の半分はカフェになっていた。
そこはスタバなどではなく、アイドル?か何かとのコラボレーションしたカフェになっていて、そこそこ人もいた。店内に流れている音声を皆が集中して聞いているのが分かった。何かを飲みながら、何かを食べながらも、その人の集中力や神経は、耳にいっていたし、その音声が特別な価値のある何かなんだろうなぁと思った。

さて、WANIMAは3階か。

3階に上がった。ちゃんと、ある。良かった良かった。

私はやっぱり、大事な音楽や大好きな音楽はCDショップに行って、CDで聴きたいという気持ちがある。

それは、不便であっても効率が悪くてもそうしたい。

それはただ一つ。

自分の青春がそうだったから。

それだけでしかない。

私の青春時代において欠かせないアーティストは、椎名林檎だった。

当時小学生の時に、椎名林檎に出会ってもう猛烈に好きだった。

何か好きだったかというと、ただただ音楽が美しくて、良い曲で、それで好きだった。
毎日毎日、椎名林檎のことばかり考えていて、ファンレターも沢山書いたし、部屋中に貼られた雑誌の切り抜きなどを眺めて癒やされて、完全に”推し活”していた。

とある英語の授業。
「What do you like?」と先生に聞かれて
「I like Ringo Shiina」と答えた。

するとクラス中の皆に笑われた。

とある男子には「気持ち悪っ。」と、言われ本当に胸を痛めた。

当時彼女は、ナースの格好をしたりして、とにかく過激で変だった。

周りの子は、宇多田ヒカルや浜崎あゆみのどちからが好きで、椎名林檎にこんなにも夢中な子なんていなくて、まさに変人扱いされた。

それ以来、自分の好きなことや好きなものは人に見せない、言わない、を貫いた。

椎名林檎の新しいCDが発売されるとなったら、毎日一人で店頭に行った。

発売日になって買う時に、どこにあるか迷わなくて良いように。
買う準備をしていたのだ。(笑)
あと、店頭の椎名林檎コーナーがどんな装飾になるのか、すっごく楽しみだった。

だいたい1週間前からスペースが作られ始める。
「ふむふむ場所はここか。OK。」
大きな等身大ポップが置かれたら、「おーー。」と感動した。
店員さんがこれをこっちにこれをあっちにと、変更しているのをまじまじと見て観察していた。

自分でも思うね。

「気持ち悪っ。」

そして、待ちに待った発売日。
自転車で当時の地元のCDショップ「DEODEO(デオデオ)」に行き、CDを買って。当分店内をふらついて、どれくらいCDが売れるかも見ていた。

本当に変な子だよ、本当。

でもね、当時のしおり少女にとっては、数少ない心躍らせたエンタメの一つで、当時生きる時間の多くをそれに費やしていた。

幼少期や青春時代に作られたそういった気持ちって、なかなか消すことができない。

むしろ、それが自分の中の基準値。

で、今は椎名林檎への熱はほぼ無くなってしまっていて。

それは、彼女が3枚目のアルバムを出した頃だろうか?
全然良くなくて、なんだこれ?最悪じゃん。ってなって。
あっさり、冷めた。

それから友人の影響で、HIPHOPへの道へまっしぐら。

今、CDを買いたいと思える唯一のアーティストは、WANIMAです。

椎名林檎の時と同じ。
ボーカルKENTAの作るメロディー、美しい。とても良い曲。
インディーズの時、デビュー曲をド深夜の音楽番組で酔っ払いながら一瞬だけ聴いて、すぐに惚れて、慌ててメモを取って、で、CDショップに行った。

それから、緩いファンです。

今回のCDは、今までお世話になった事務所ピザオブデスデコードから独立してのアルバム。

私、ボーカルKENTAと同い年なんです。

で、私も最近独立して。

なんか、勝手に親近感。

いや、スケール違い過ぎるんだって。(笑)

楽しみ過ぎる。
でも、安心感の方が勝っていて。

彼の音楽って、ガッカリしたことがない。
タイアップのようなお仕事感の強い曲でも、ちゃんと、しっかり良い曲。
”絶対に良い”っていうのが間違いないから、安心できる。
それでこそ、プロなんだよなぁ。

そして、やっぱり今回のアルバム、最高過ぎました。

彼の素晴らしいと思うのは、美しいメロディーラインに、まったく違和感の無い言葉がばしってはめられるところだと、専門家でも何でもない、私は思っています。(笑)

このメロディーには、この言葉以外ない、みたいにばしっとハマっている感じが、心地よく、気持ちいい。

今もそのCDを流しながら書いていますが、彼の音楽を聴いていると、やる気が出てきますね。頑張ろうって。

人にエネルギーややる気を与えられるってすごい。

人が人を勇気づける。

私もいつか、エネルギーを届けられる人になりたい。

今回のリード曲の歌詞にあった。

「歌う、Say good bye」

私もそうなんだよな。

グッバイ、今までの私、
グッバイ、今までの常識、
グッバイ、今までの生活。

新たな人生を歩くぞ。

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