遊園地なクリスマス
クリスマスには、ホーム・アローンを観たかった。
けど、観られなかった。
正確には、観ようとしたけど、子どもたちが怖がって観ることができなかった。
大きなシャベルを持ったおじいさんが怖くて、途中リタイア。
確かに、小さい頃の私もあのおじいさんが怖かった気がする。(笑)
では、どうクリスマスを過ごそうか。
素直に子どもに聞いてみた。
「クリスマスの日さぁ、どこに行きたい?」
「うーん、遊園地に行きたい。」
お、なんかゴツめなの来た。(笑)
思っていたよりしっかりと非日常な場所を提示されてちとビビる。
「あら、珍しいねぇ。」
「観覧車に乗ってみたい!」
なるほどね。
保育園の紙芝居で知ったらしく、行ってみたかったのだそう。
そんな息子の提案に従い、後楽園ゆうえんちに行ってみた。
私自身もここに来ることは初めてだった。
電車を降りると目の前に早速観覧車が現れて、私たちは全員「観覧車あったねー」と歓喜の声をあげた。
なんでだか人は、天高くに伸びた大きな建物を目撃するだけで、すごい物に遭遇した気持ちになれる。
見上げることって、なんか好き。
おぉぉぉー
子どもが勝手に走らぬよう、しっかりと手を握りしめて目的地へ向かった。
私は「遊園地」へ向かったつもりでいたが、後楽園ゆうえんちは「テーマパーク化したデパート」であった。
でも、目的が「観覧車に乗る」というシンプルなものだったので、その敷地の狭さとコンパクトさは、私たちにはすごく丁度良かった。
な割にまぁまぁなお値段する乗り物チケットを購入し、いざ観覧車へ。(笑)
そもそも私は、観覧車が楽しいと思ったことはなかった。
ずーっと長い時間座ったまま過ごすだけで、何が楽しいのやら。と、冷めた子どもだったから、子どもたちはどうだろうかと心配だった。
「観覧車はつまらない」そういう感想は少なくないようで、私たちは乗らなかったが、乗る物によっては観覧車の中にカラオケを乗せた「カラオケ観覧車」が回っていた。
観覧車に乗っている間、中にあるモニターを操作してカラオケを楽しむことができる。
若い女の子たちがその観覧車を狙って沢山並んでいた。
そして、私たちはノーマル観覧車に乗る。
子どもたちは、すごく楽しそうにキャーキャー言って盛り上がっていた。
私はそこで初めて気付く。
観覧車の楽しみ方は、景色を楽しむことと会話を楽しむことだった。
ここは後楽園ゆうえんち。
都会の東京の町の中にあるから、観覧車の中から丸ノ内線や中央総武線が走るのが観られて、それはそれは楽しかった。
高くから見下ろして見る東京の町は、まるでジオラマ。
作られたおもちゃのように、色んなものが建物と建物の間を動き回り、走り、忙しくしていた。となりの観覧車ではしっかり熱唱する少女たちの姿も。
15分間の観覧車があっという間に終わってしまった。
あー、観覧車が初めて楽しかった。
そして、お次はメリーゴーラウンド。
こちらも私の記憶の中では、つまらない乗り物の一つ。また?(笑)
やっぱり楽しいものは、激しく揺れたり早く走るようなエキサイティングな物であって、"ただ乗るだけ"は違うんだよな~。そんな体感だけが記憶に残っていてさ。
ぐるぐる回るメリーゴーラウンド。
外から眺めていると、なんとも癒される何かがあった。
優しいオルゴールのメロディーの中を、笑顔満点の子どもたちがくるくる回る。
なんてメルヘンチックなんだ。
ただ、後楽園ゆうえんちのメリーゴーラウンドは、綺麗なお馬だけではなく、色んな動物たちの背中に乗ることができるのがちょっと笑えた。
ゴリラに、パンダ。
とんでもなく巨大化したうさぎ。
歯茎をむき出しにして怒り走るチーター。
まさにメルヘン。
さて、私たちの番が来た。
息子はゴリラに乗ると意気込み無事に乗ることができご満悦。私と娘は2人乗りの普通の椅子に座り、楽しんだ。
メリーゴーラウンドの中に入ると、丸い電灯の光に包まれて、お伽の世界にいるかのような妙な別世界感があった。
鏡の張られた柱にパステルカラーで装飾されたおもちゃ箱感。
そこにオルゴールのあのメロディー。
クリスマス。
今日は、クリスマスを過ごしている。
じんわりと、間違いなくそれが実感できた。
楽しそうに笑う2人の笑顔が、どの動物たちよりもイキイキとしている。
そうじゃなきゃ辛い。(笑)
そんなこんなで楽しい時間は早めに切り上げて、帰宅。
帰りは、私と子どもたちは先に帰って夕飯の支度。主人は、ケーキの受け取り。
のつもりだったが、私がうっかり家の鍵を家の中に置いて外出し、持ってき忘れてしまった。
家に入ることができず、マンションのロビーのソファーに座り携帯でアニメを見ながら主人の姿を待った。
その日はクーラーが付いておらず、まぁまぁの寒さの中をじっと待つ。
子どもたちに「ママ鍵忘れてごめんね。」と、いうと、優しく「良いよ」と言ってくれた。
私のよくあるこんなミスを、この子たちはいつも優しく許してくれる。
そして、やっと現れたケーキを片手にぶら下げた主人。まさにサンタ。サンタがきてくれたよ。
みんなでお家に入り、お風呂に入り、チキンやピザやサラダを食べて、ケーキもわざわざろうそくに火をを付けてふーっと消して食べた。
子どもたちは、早々に寝て、大人2人はM1を観ながら過ごした。
クリスマス、誰かと過ごせるなんて、それだけで幸せ。
ホームにアローンなんてやっぱり寂しい。
誰かと過ごせることを大事に感じてほしい。
それを子どもたちに映画を観ながら伝えるなんて、
まだ何年もかかりそうだ。
なんなら、最近私がそれを知ったくらいだもの。
メリークリスマス。