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全日本マスボクシング選手権2024 ①「夢と幻 MUGEN」

TEAM MUGENの初めてのマスボクシング大会へのチャレンジが終わりました。

昨年の連盟登録から一年。
公式なボクシングシーンには誰も何も足跡をつけたことさえない状態からのスタート。

2024年、我々は今年になってようやく、確かに記念すべき「第一歩」を踏み出すことができました。

監督として選手たち一人一人の背中、横顔を見つめながら、その都度、深く胸の奥から湧き上がってくるものがありました。

“フラッシュ・バック”

幾つもの過去が、ドラマが、目まぐるしく、思い出されては、胸が震え、目頭がアツくなり、その分「目の前の戦い」に向けて、精一杯の声を送って送って、送りまくった。

こんな“今”があることが、なんと幸せであることだろうか。

自分も加えてもらえるならば、一人の仲間として、その仲間のリーダーとして、ただただその瞬間にいられることが嬉しかった。

マスボクシングの全試合が終わった今、若干の心地よい虚脱感をまとって、この文章を書いている。

いま自分のこころに浮かんでは消えて、また再び浮遊して現れる、数々のシーン。

夢(ゆめ)と現(うつつ)をつなぐのは
幻(まぼろし)

希望はいつでも幻でしかない

さて、それでは過去をふりかえっていきたいと思います。

◯K-1キッズの挫折

「わたし、もう選手はやめます。親と話して、もういいかなって…わたしも今回は納得できました」

やむを得ない。
いつものように、ひたすら無邪気なはずの大きな瞳は、かなしい明るさを装っていた。

彼女はいつも笑っている。

カリンの一年半にわたる、大舞台での再三の負けには、指導者である自分も納得がいかなかった。

いったい何度こんな負け方をしなければならないのだろうか。。

彼女の試合の夜には、自分も悔しくて悲しくて一睡もすることができなかった。

今度こそはと、どれだけの練習を積み重ねてきたことか。。

あんなにも苦労をして、その成果を存分に圧倒的に出しても、意味不明な報われなさが続いた。
時に相手選手にさえ謝られることもあったし、他のチームの人たちもそれはないよ、と両手を広げてみせてくれた。

そんなことが一年半も続けば、もうどうすればいいのかと、本人やご家族が途方に暮れるのも分かる。

彼女は続けた。そしてハッキリと言った。

「チャンスはもう1シーズンありますが、もうこの負け方は嫌です。中学生になったら顔面ありですよね。親も元々そのルールはダメだといっていたし、私も理解できます。とにかく、もうK-1はいいです。空手は好きなので続けていきます」

そうだよな。。

そう相槌を打つしかなかった。

そして自分は自分の無力にただ打ちひしがれるしかなく、カリンにひたすら申し訳ないと思うしかなかった。

「でも、リングの試合は好きでした。はじめは意味もなく怖いし、恥ずかしいと思っていたけど。。やっぱりみんなと頑張るのは楽しかったから、もうやれなくなるのは寂しいです…」

カリンの言葉の中に「幻」があった。
夢となって消えた幻。
それが“存在”している。

(まだ、あるんだな。。)

そう確信した。

「よし。創ろうよ。世の中にはきっとそういう女の子はたくさんいる。そういう子ががんばって報われる場を自分たちでつくろう!」

やや熱を帯びすぎたのかもしれない。
自分の言葉に、カリンは淡い笑顔をうかべて、はい、と小さく返事をしてくれた。

(絶対に創るぞ。実は女の子だけじゃないんだ、そういう場を探して、さまよっているのは…)

これは指導者、運営者としてのミッションだな。。
自分は固く胸に誓った。

このシーンが、MUGEN MARTIAL ARTSのイベント、「RING FIGHT」の構想の大きなモチベーションのひとつになったのである。

◯マスボクシング東京都大会


6月30日(日)
マスボクシング全日本選手権東京予選大会には、MUGENから20名のエントリー。

その中に平嶋哲也(56)通称テツさんの姿はあった。

(つづく)

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