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「悟風の俳句(7 月)」他(第17号・2002年7月26日発行)

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---◇ 山口“悟風”智・作「おかあさんへの手紙」◇--------------
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------------------------------ 第17号・2002年 7月26日発行 ----
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☆今週は、7月第4週。7月の俳句を掲載します。また、初めて、悟風の教え子の方からメールが届きました。ご本人の了解を得て、一部を転載します。
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(96年七月句会) 山口悟風

噴水の円座に可愛い尻相撲

道元の膝下にやっと噴水の先


  入院中

60年使うてきたがに手入れせにゃ

カラサワ 僕の同期いるよ 電話しとくよ

3・6街に決めるなんてさすが父上


 (※発行者注・以下の2句は、句友のMさんが記録していた悟風の句です。悟風本人の日記には書いてありません)

三六街渡るや青き炎暑かな

てふてふと書いて苦吟の母の筆

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(97年七月句会) 山口悟風

読みさしの本閉じて聞く喜雨の音

カーナビの美香ちゃんの笑声(こえ)喜雨の中

GパンのVの字 喜雨に取込まず

泳ぎ終え帰るうなじの白さかな

苺摘みふと胸よぎる軽き悔

炎天下町民の笑み咲きこぼれ

大岩に蝶のごときやこてふ蘭

岩蘭の小さき命見上げおり

岩肌にしがみつき咲くこてふ蘭


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 以下の文章は、悟風が勤務していた北海道上川郡風連町立風連中央小学校の同窓生、Sさんより、先週から今週にかけて、いただいたメールの一部です。Sさんは私より1学年上(1964年度生まれ)で、現在は神奈川県に住んでいらっしゃいます。

 今まで、数回のメールのやりとりのうち、2通分のそれぞれ一部を、ご本人の了解を得て、転載します。

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拝啓
   「悟風の書斎」管理人・山口一朗 様

ネットサーフィン中に偶然、サイト発見。
もしや?——と、読み続けること1分、すぐに確信いたしました。

そう、私は風連中央小の卒業です。あなたよりひとつ年上です。
一緒に剣道をやっていたことがあります。

(中略)

あれから、もう30年近い歳月が経とうとは、、感慨深いです。
いま頭の中で一生懸命記憶の糸を手繰り寄せていますが、
まず、あの“大きな山口先生”が、もういらっしゃらないことにショックを受けています。
淋しい。私にとって、またひとり懐かしい先生が逝ってしまいました。

担任でもなく、直接の関わりはほとんどなかったわけですが、中央小時代の記憶に残る先生のお一人ですよ、山口先生は。
いつだったか、剣道の稽古のときに先生が見えてて、とても怒られたことがありました。
それまで山口先生に怒られたことがなかった私は、餓鬼の心情として、
大いにふてくされて帰ったものです。
しかし印象深かったのは、その翌朝——廊下で私とのすれ違いざま、先生は「メーンっっ!!」——と、斬り込んで来ました。
すかさず、「ドオっっ!」と斬り返したら、「あー、一本取られた!(笑)」と。
巧かったですね。わだかまりが飛んでいきました。一本取られたのはこちらの方でした。
いま思えば、とてもデリケートな先生だったんだと、しみじみ感じています。
あれから校長先生になられ、朝礼でどんなお話をされていたのか、興味深いですね。

(2002年7月18日付けメールより)

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さて、メルマガのバックナンバーを追っていますが
通信の中で、山口先生は、教師としての体裁よりも一人の
親として素直にメッセージしているのが強く伝わってきます。
これが意図したものなのか、又は、素直なご性格からなのか、
計り知ることは出来ませんが、とにかく印象的なことは確かです。

文中、「家族のことばかり書いて・・」とご自分でも記しているように、
多分当時は批判もあったのでしょう。
しかし、教師としての体裁、親としての体裁、お互いの世間体を
気にせず、臆することなく、子育てをしていきましょう!という、
メッセージには時代を超えた骨子を感じ取ることができます。

「遠足」では、帰宅した妹さんに声を掛けてやりたくて、勤務中に
学校を抜け出すくだりがありましたが、たとえあの「金八先生」でも
家のことは、体裁を気にして公にはしないでしょう。
それをありのまま書いていたところが、山口先生たる由縁、
なんだと思います。
あのコラムに同感したり、励まされたりした共働きPTAも多かったと
思いますが、それが「結果」としてどういうカタチで先生に
フィードバックされていたのか、気になるところですね。
あからさまでなくとも、書き続けていく原動力になった周囲からの
“感想”や“声援”など、「貴重な手応え」が発掘されれば、
本として構成する上で一層充実すると思います。
(雑感ながら。)


(2002年7月22日付けメールより)

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☆来週は、低学年トラック
1975年度北海道上川郡風連町立風連中央小学校2年学年通信「リボン」より

☆このメールマガジン版に掲載した山口“悟風”智の作品は、明らかな間違いを除き、筆者・悟風が書いたまま載せています。

山口“悟風”智のプロフィールは、
http://plaza.rakuten.co.jp/gofu63/profile/
をご覧下さい。
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 ◆編集後記「千鳥足」◆

 Sさんから思いがけずメールをいただき、「おかあさんへの手紙」は、階段を確実に1段上がったという気がしました。直接、父を知っている人が、生前の「山口智」の姿を描いて下さいました。担任した教え子や同僚の方々からのメールも、いつかは届くだろうと、期待が膨らみました。

 メールの中で、Sさんは
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あれから校長先生になられ、朝礼でどんなお話をされていたのか、興味深いですね。
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と、書いています。

 朝礼での話に原稿があったかどうか、まだ分かっていません。ただ、校長時代に書いた文章は、近く「まぐまぐ」で発行する「おかあさんへの手紙」(特別号)に順次掲載していこうと考えています。


 さて、「7月の俳句」。いくらか、解説が必要でしょう。

 どう考えても「俳句」に思えない作品が「入院中」の3作です。同じ句会の同人でもある山口智の連れ合い、佐知子(母)にファクスで、これらの作品を書いて、送ったところ、
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 入院中3句のうち「60年使うてきた『がに』手入れせにゃ」の「がに」は、(母の出身地である)富山弁です。お父さんが退職して「60年使ってきた体『だから』手入れもしなきゃな」と言いながら、富山弁を入れたのだと思うけど、季語のない句になっています。「カラサワ」「3・6街」も季語なし。この句を句会に出したのは疑問です。

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と、ファクスで返事を送ってきました。(丸カッコ内と『 』は、発行者書き込み)

 ここは、確かに母の言うとおりだと思います。「がに」を見て、母や親類の富山方言に長く親しんできた私は、すぐに「なんで、ここだけ富山弁なんだろう」と考えました。父は、いわば「越後新潟系屯田兵3世」で、母やその親類以外に越中富山方言を話す者は、周囲にはそういなかったはずです。親類の誰かが語った言葉を、他の句と同じページに記しただけなのかもしれません。しかし、それにしては、父の日記には、他の句と同じスタイルで、並んで載っています。

 母によると、この作品も、「カラサワ」「3・6街(さんろくがい)」も、句友・Mさんの記録には残っていないそうです。

 用語について少し。
 「カラサワ」は、父が長く入院していた病院の名前で、ここの院長の息子さんが、私の同じ高校で、同学年でした。

 「3・6街」「三六街」は、いずれも旭川市3条6丁目の略称で、北海道北部最大の飲食店街です。札幌でいうなら「すすきの」、大阪なら「キタの新地」か「ミナミ」のような存在と言ったら、いいでしょうか。

 カラサワに入院した時、父は「サンロク(3・6)に近いから」という理由を挙げたそうです。実際には、3・6に行く健康も、気力もありませんでした。それに、それ以前から、父が3・6に通っていたという記憶も、私にはあまりありません。(母には、「ある」のかもしれません)

 飲むことは、かなり好きな父でした。でも、私の記憶には、自宅でサッポロソフトという焼酎にレモンや梅干しを入れて、お湯割りにしていた父。風連町にあった「炉ばた」という居酒屋に、同僚の先生方と行って来たと話していた父——が残っている程度です。(ご参考に、サッポロソフトの製造・販売会社、札幌酒精工業株式会社のサイトは→ https://www.sapporo-shusei.jp/


 ところで、この1週間ほど、掲示板を設置している「楽天」の会員のサイトに次々とお邪魔して、楽天の「悟風の書斎」にも、大勢の方に来ていただいています。この号からメルマガを講読してくださった方や、楽天の「悟風の書斎」にリンクしてくださった方も、かなり増えました。この場を借りて、お礼を申し上げます。ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします。


(発行者・山口一朗)

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■発行者: 「悟風の書斎」管理人・山口一朗
        yamaguchi_gofu@yahoo.co.jp
「悟風の書斎」http://www.asahi-net.or.jp/~jh2i-ymgc/gofu.html
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※トップの画像は、「北海道の地図 市町村名入り」PJさん作成。
旧「風連町」は「平成の大合併」で、名寄市の南半分のあたりになりました。この地図は「イラストAChttps://www.ac-illust.com/ よりご提供いただきました。ありがとうございました。

■「おことわり」

 ☆明らかな間違い以外は、基本的に筆者・山口“悟風”智が書いたまま載せています。なお、原典では「Sさん」「Mさん」は固有名詞(フルネーム)が入っていましたが、この復刻版ではイニシャルとしました。
 また、札幌酒精工業株式会社さんのウェブサイトは、URLが変更になっていましたので、本文、リンク先とも新しいURLに変更しました。(編集者・悟風のムスコ)

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