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オンライン時代、キャリアアドバイザーの価値設計で気をつけて欲しいこと

まず最初に結論を言っておきます。

転職エージェントが、
オンライン面談を主流とすると、
求職者の満足度は上がるが、
売上は基本的に落ちる。


さあ、これを構造的に理論的に説明していきます。
いつも通り文章長いので(3000字)、早く読みたい人のために重要な図だけ先に提示しておきます。これだけでも、リアルとオンラインの差に気づけるはずです。

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ちなみに、なんで書こうと思ったのかというと、結構な数、質問されたからです。さらに個別で質問がある場合はお問い合わせくださいませー。


最初に、

よくある問い

「これからオンライン面談メインでいこうと思いますがどう思います?」
「リアルとオンラインでエージェント業にどんな差や影響が出ますか?」
「オンライン面談の注意すべき点やコツを教えてください」

とかがあります。

この問いに対して、割と応用が効くよう、構造的に、理論的に考えられるよう書いていこうと思います。参考になったら幸いです。


自己紹介と顧客満足度

弊社(株式会社フォーリープ)は、もう10年近く、電話面談やオンライン面談をやっています。別にそれ自体は珍しい話ではないですが、それにほぼ特化をする形でやっている転職エージェントは多くはないと思ってます。

※最近は3BOOKSというサービスをはじめました。いいサービスです!

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そして、顧客満足度において、初回となる「2016 DODA Valuable Partner Award」で300社中1位の実績、リクナビNEXTのランキングでも顧客満足度ではトップ10入りを何度もしています。

つまり、顧客満足度において、

オンライン面談 > リアル面談

という結果を残しています。
そんな弊社が転職エージェント業を行うみなさま、特にオンライン面談を主流にしようか考えている転職エージェントの方に警笛を鳴らすと共に、アドバイスをしてみようと思います。


重要なポイント :目的は一緒、だがアプローチが違う

リアルでもオンラインでも気をつけることは項目としては基本同じです。
もちろん目的も同じです。ただ取るべき手段が異なります。
まず気をつけるべき項目を構造的に理解し、手段を考えていきましょう。

リアルとオンラインとでは、
目的は同じ。
ただ、アプローチが違う

一般的に、リアルでやっていたアプローチをオンラインにそのまま置き換える傾向にありますが、それではなかなか目標が達成できません。(数多くの失敗経験より。。。)


キャリアアドバイザーの価値

まず最初に、キャリアアドバイザーの価値を構造的に捉えたいので、カルフォルニア大学名誉教授David Aaker氏のベネフィットの3分類で考えることにします。別にこのフレームワークじゃなくていいのですが、わかりやすかったので。
あとでベネフィットっていう言葉を価値っていう言葉に置き換えてしまいますが、ベネフィットとは受け手が感じる価値のことを指します。

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まず最初に考えるべきはこの2つ。

 ・機能的価値:商品のもつ性能
 ・情緒的価値:商品から生まれる感情

で、これをキャリアアドバイザーの業務を因数分解してあてはめていく作業が必要なわけです。

・機能的価値は、対応スピード、求人の数、求人の内容
・情緒的価値は、信頼感、安心感、充実感

とかですね。面倒なので色々省いちゃいましたが、本来はもっともっと書いてください。機能的価値はAIに全部置き換え可能な価値に見えてきます。
そして最後に、自己表現価値

・自己表現価値
商品を持つことから生まれる、自分らしさやありたい自分

この3つのベネフィット(価値)に対して、キャリアアドバイザーが、それぞれどんなことをやっていたのか、オンライン時代ではどうやっていくのかがポイントになります。

まとめるとこんな感じになります。

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リアルとオンラインの違い

本題です。

これちゃんと考えるなら、
 1、好景気 → 不景気
 2、リアル → オンライン
この数ヶ月で訪れた状況変化はこの2つでなので、
実際に考える時にはセットで考えてくださいね。(今回は1は見ません)

さて、キャリアアドバイザーの価値を3つに分解しましたが、要は上の図の右側の吹き出し内に対応する打ち手を考えれば良いだけです。
さらに冒頭の結論にもある「満足度」と「売上」の関係についても言及したいと思います。

まずは、リアルとオンラインで普通にやったらそれぞれの価値はどうなるか?さらっと結論書いちゃいます。

機能的価値 :ほぼ同じ。むしろシステム化、AI化した方がいい
情緒的価値 :微妙。オンラインで本当に信頼感は生まれるのか
自己表現価値:たぶん下がる。深く考える必要あり

機能的価値についてはわかりやすいので、割愛。
情緒的価値と自己表現価値がポイントですね。

ところで、

電話面談より直接お会いした面談の方が決定率が高い

この事実はご存知ですか?
僕がリクルートに勤めていた頃にこの話をされた時「へー」って思うと同時に「なんで?」と思いました。これを理論的に説明したいと思います。電話(オンライン)面談より対面面談の方が決定率が高いのは間違いないので根拠とか別に興味ある人だけ知っていれば良いのですが…

トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)
一言で言えば「Who knows what」を知っている、です。
トランザクティブメモリーとは組織学習に関する概念で、組織全体が同じ知識を記憶するのではなく、組織内の「誰が」「何を」知っているのかを把握する事です。詳しくは入山先生のこの本に書いてあるので読んでください。

本書の中でイリノイ大学、ホリングスヘッドが行った心理実験のことが書いてあります。TMSがどうすれば高まるのかという実験だったのですが、結論だけ言っておくと、「顔を付き合わせての交流」が重要という結果になりました。顔を直接見ることがいかに重要かが述べられています。本書では「目は口ほどに物を言う」と述べています。

ということで、何が言いたかったのかというと、電話(オンライン)面談より対面面談の方が決定率が高いのは、直接的な因果関係がどこまであるかわからないですが、その理由の多くは
顔を付き合わせられるかどうか」によるとことが大きそうです。

この「顔を付き合わせられるかどうか」を情緒的価値、自己表現価値においてどう向き合っていくかがリアル⇆オンラインでのポイントになります。もっというと、安心感や信頼感をどう非対面で作るかがポイントです

で、満足度と決定率について触れますが、満足度は決定率と因果関係がないものだと思ってください。相関関係はあります。まずこれ重要です。
満足度は機能的価値だけで十分あげれます。あと見せかけの情緒的価値でもあげれます。だからオンラインでもうわっつらの満足度はあげれるのです(実証済み)。ただ決定率に関しては上の2つ、情緒的価値が意思決定を後押しし、自己実現価値のあるものに人は向かうものなので、圧倒的にリアルの方が現時点では有利となります。ゆえにリアルの方が決定率が高いのです。


 ・気をつけて欲しいこと

2020年5月時点では、緊急事態宣言下ですのでほぼほぼ行われているのはオンライン面談であり、オンライン面接、オンラインミーティングだと思います。つまり「差がない」状況です。条件が一緒なので、各社決定率の差は生まれません。

ただこれから、リアルとオンラインを併用していく会社さんが多いと思います。この時に差が生まれます。これは面接でも同様のことが言えます。
その時にこれまでと同じやり方で、機能的価値は担保できそうですが、情緒的価値と自己実現価値はマイナスになるという前提で、どんな手を打つのか、それが各社の差につながっていくのだと思います。

ということで、バリューチェーンを見直し、価値設計方法をうまく考えられた会社が、これからの時代の覇者になっていくのでしょう。。。

おしまい。


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