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海鮮カウンター焼酎

滅多に行かないマッサージ。
数年前、先輩に大阪でマッサージへ連れていってもらった。

「自分でどの辺りが凝ってるとか、痛いな〜みたいなのはありますか?悪いところというか〜」

「腰ですかね〜何度かギックリもやってて、、」

「じゃ悪いところからほぐしていきますね〜」

頬から揉まれたことがあった。顔の頬から。


また別で韓国アカスリに連れていってもらったことがあった。
当時、僕はロン毛で襟足は伸びに伸び、ビーチボーイズに出れるくらい髪は長かった。髪長さだけ。

「ハイ、アオムケ ナッテー」

僕は今でも仰向けと言われて瞬時にどっちかわからない時がある。
モタモタしていると。

「ハヤク シテー、アサハラショウコウー」

そんな風に見えてたんや。

どうも、マッサージやアカスリでろくな思い出がないヤマゲンです。
向いてないんでしょうね、きっとこの類のお店。


今から随分と昔の話なんですが、
芸人を初めてすぐのころ、今とは違うコンビを組んでいた。ガスマスクガールというコンビで、前の相方は畠山達也という男。今は舞台に立ちながら、漫画を描いている。赤塚不二夫賞という賞を受賞したり、ジャンプにちょこちょこ載ったりと類い稀な才能を発揮している。

そんなガスマスクガールの頃、ありがたい事にABCお笑い新人グランプリで審査員特別賞なんかいただいたりした。

その時の賞金が20万円。
畠山と折半をして10万円。
当時22歳実家住まいの僕は、アルバイトでも10万円稼いだことなどなかった。
今思うととてつもなく有難い環境だった。
そんな僕の手元に10万円という大金が入った。


僕は最近になって気づいたことがある。
自分はぼちぼちカッコつけだということだ。
人から見たらぼちぼちなんてもんじゃないのかも知れない。まだ自分のカッコつけの上限に気づいていないかも知れない。

当時の僕ももちろんカッコつけだった。
その10万円から6つ下の双子の弟たちに1万円づつお小遣いをあげた。

22歳が1万円づつ小遣いをあげる。
この上ないくらいのカッコつけだった。

最近その双子の弟と飲んだ時。
「10年前か〜、あん時1万円くれたよな〜何に使ったか分からんけど、高校生の俺らからしたらめちゃめちゃ嬉しかった〜」

「そうか〜、まぁあってないような金やったからな〜」
イキり過ぎて訳の分からん返しをしてもうた。

「あん時、急に電話かかってきたんや、今どこおんねん!?って」

(ん!?なんやそれ。知らん。え!?何それ。)

「え!?そうやったっけ?」

「そやで、◯◯駅の近くの海鮮居酒屋おるから来いや!って言われて行ってんもん!」

(確かにそんな居酒屋あったけど、その駅最寄駅でもないやん、実家からちょっと離れてるやん。)

「え?そうやったっけ?」

「そやで、ほんで行ったら1人でカウンターでビール飲みながら刺身食うてて、」

(え、22歳が1人でカウンターでビールに刺身。え、やってない?)

「え?そうやったっけ?」

「そやで、ほんでお前ら何でも食え。ゆうてなんか色々食わしてもろたで」

(知らん。なにそれ。そんときの俺の憧れ像であったんか、高校生に海鮮食わす奴っての。)

「え?そうやったっけ?」

「そやで、1人焼酎とか飲みながら、あ!これやるわ!いうて1万づつくれたんやん!」

「そうやったか〜。覚えてへんな〜」

(バチバチにカッコつけてるやん。当時の俺!全く覚えてへん!演出つけてるやん!1万づつあげることに必死なってるやん!飲みに行かへんもん!1人で絶対飲みに行かへんねん!俺って!わざわざ海鮮居酒屋までチャリこいで演出してるやん!!焼酎にも切り替えてるし!1万円あげるんに1万円くらい演出かけてるやん!3万やん!!全部で3万やん!!この覚えてへんな〜もなんかカッコつけてるやん!ほんまに覚えてへんねん。恥ず〜〜)


この日の飲み代も結局のところカッコつけて奢った。
恥ずかしい思いして奢った。
こういうのいっぱいやってんやろな〜。
極力気をつけて恥ずかしい思いせんように頑張って行きたい。

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