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岩塩とチャリ毛

気に入った服を1点買う、テンションがあがる。うわ〜何と合わせよかな〜とかなる。
事前に狙い定めてためちゃくちゃ高い服を1点買う、ソワソワする。このパンツにこんなツッコんで大丈夫か!おい!ヤマゲン!とかなる。
フラ〜と入った店でまぁ有りちゃう?くらいのそんな値段せぇへん服を何点か買う、そんなテンションあがらん。まぁあった方が使い勝手良さげやしとかなる。

買い物でテンションあげるんが最近なって結構ややこしくなってきた。
昔はちょっとした買い物でテンションあがってたけど、最近はそうでもない。
前ほど自分の中の服が占めてる割合が減ったんやと思う。
大人になってしまったんやと思う。色々と慣れてしまってる気がする。

音楽もそう。
テンションあがるのはあがるけど、昔ほどガッツリ掴みあげられてる感は減った気がする。
Spotifyというアプリで音楽を聞くことが多い。
プレミア会員じゃないので曲の合間にランダムでCMが入る。
その中の1つのCMでSpotifyのシャッフルおじさんのCMがある。
シャッフルのプレイリストを決めているおじさんのCM。次の曲何にしようかな〜 あれもいいしこれもいいし… よぉし!決めた!あなたが聞きたいと思ってる曲のはこれ!
でドンピシャがかかった時はブチ上がる!!昔よりガッチリ掴みあげられる天高く。
それがゴリゴリのブラックなヒップホップの気分の時に来たらそりゃもう。
Pow!Pow!Pow!Pow!(空高くゴンフィンガー)
そっから上がりっぱなしになる。最高のオーディエンスと化す。

そんなことがないと1人でテンションあげるんてムズなってきてる。
酒とかなしのやつでよ。ノードーピング状態での話!!
別に1人で飲んでても寂しいなるだけやけど、僕は。1人では飲まない。

ただ最近、1つあった。思わぬところであがった。
その日はKALDIで買い物をした。
あのコーヒー入り口でくれる、訳わからんくらい良いシステムのとこ。
色んな調味料とか目の前で引いてくれるコーヒー豆とか売ってるとこ。
やすともさんのどこいこに良く出てきて行きたなるとこ。やすともさんの買ってたやつ買いたなるあのKALDI。

KALDIで岩塩を買った。
あのガリガリ自分でやるタイプの。ミルのやつ。
なんでなんやろ、あがったわ〜。
なんで岩塩にあがってんのかわからんけど、あがった。
バッチーン!!とあがったわけやなくて、ジュワ〜ッとあがったんです。
意味は全くわかりません。
でも、岩塩とかあのガリガリするやつは好き。
KALDIで岩塩手にとって店内うろうろしてたんやけど、気ついたらカゴも持たんとハラペーニョのタバスコとか、生パスタとか、青唐辛子の冷やしラーメンの袋麺とか、ベルギーのビールとか持ってレジ並んでました。

あがったな〜なんやったんやろ。
こっからの人生でちょこちょここんなん欲しいな〜。
なんかわからんけどあがるやつ。
普段買わんもんも買ってまうくらいあげられるやつ。
次岩塩買うときはあがらんのはなんとなく分かるねん。
あの日のあの時間のあの時の気持ちにピタッとハマるんが岩塩やったんや。

こういう急なスパイスまた欲しいわ〜。

うまっ!!!だるっ!!思い出してあがってない!?
こんなん言わへんもん!あがってるな〜!無茶苦茶おもろないやんー!
あがってるな〜!えぇやん!俺!そやぞ!あがってけよ〜!

僕は高校を入り直している。
編入ということも考えたが、再入学で違う高校に入り直した。

これにちらっと書いたが、色々とこの時の僕にはあった。
今思うとたいしたことやなかったけど、こん時の僕にとっては初めて訪れた挫折やった。

中学の時に好きな女の子が勉強出来る子でその子と同じ高校に行きたくて勉強頑張った。
結果、その子の志望校までは学力が及ばず、その下の高校を受けた。
その高校は総合学科やった。
なんか色々と学べるんやろう。総合学科とはなんぞやが分かる前に高校を辞めた。
高1の7月には辞めた。多分学年で1番早かったやろうな〜。
バチェラーシーズン1の木村ゆかりさん並に、自らその場を後にするのが早かった。

辞めた理由はいくつかあった。
いつもは話すのが面倒臭くて距離が死ぬほど遠かったと言っている。
まぁ確かにそれもある。
毎朝6時に起きて1時間電車乗って30分チャリ乗って学校へ行く、授業終わって部活を終えて帰る9時過ぎでヘトヘト。
これ3年やんのかと思ったら絶望した。
こんなんなんでやらなあかんねん!!!ってなってた。
サッカーしながらも帰りたいな〜と思ってた。マネージャーがちょっと可愛かった。これ可愛くなかったらサッカーしながらめちゃめちゃ帰りたいな〜と思ってたと思う。
自分で選んだのにここまで自分に合ってないこと選んでるんや。
これはかなり大きい理由やけど高校を辞める決定打じゃなかった。

土日は部活がなかったんかな。当時の記憶で少し曖昧になってるとこある。
地元の友達となんか遊んでた記憶がある。
で、何故かその友達の通う高校の子たちも一緒に遊んでた。
その子たちの高校も総合学科。
で、そのグループの中の1人にめっちゃアホな女の子がいた。
いつもいじられてるようなアホな女の子。

その子のことが気になるようになった。
今記憶反芻して書いてるけど、俺思春期めっちゃ女の子に恋してるやん。
ルパンくらいすぐ好きなってるやん。サンジでもえぇけど。

あと、記憶の中でなんやけど、前回書いただんじりのヤンキーの女の子好きな時期とほんまにちょっとしか変わらへん。あれは秋。
この話はそのちょっと前。

で、案の定その子のことが好きになった。
当時の僕の好きかどうかの判断するときに、
なんも考えんと家おる時間にその子のこと無意識に考えてたら好きってことになる、という法則。
ガシガシにアホな女の子のこと考えてた。
アホで頭パンパンやった。
アホな笑顔でめっちゃ笑う、その後一瞬だけ素の顔挟んでアホのデフォルトの顔に戻る。その狭間の素の顔が好きやった。
アホとアホに挟まれたときのあの素はとてつもない威力で僕のアゴを打ち砕いた。
膝から崩れ落ちてゴローンなって見上げた宙にアホなデフォルトが覗き込む。
いや、めっちゃ好きやん。ってなった。

その子の通う総合学科に編入したいと思った。
その時に完全に自分の通う総合学科への気持ちが切れた。
総合学科から総合学科の編入は同じ学科やから出来ひんことを後で知った。
でも、もう気持ちが途切れてしまって当時の自分には辞める選択肢しかなかった。
これが完全に決定打やった。これが今でも高校を辞めるきっかけがこれって恥ずかしくて言えない。

好きなアホの女の子と同じ中学の男の子がグループの中にいた。
キリシタンでめっちゃ中性的な男の子。決して可愛らしい感じではない。
毛とか濃かった。お前がなんでちょっと中性的でふにゃっとしてんねん!ってなるくらい太くてしっかりしたモミアゲが生えてた。チン毛くらい硬くてウネッてた。
第一印象は眉毛とチャリ毛濃っ!!チャリ毛はもうチン毛やん!!やった。
でもそいつと1番仲良くなった。バリえぇ奴やった。
女の子と話してる感覚に近かった。眉毛とチャリ毛濃い女の子。
そいつにめっちゃ相談するようになった。
もちろんアホの女の子が好きなこと中心に。
僕から見たアホの女の子は男性を一切意識とかすることなく大きくなったというか、なんかピュアそのもの、素材そんまんまみたいに映っていた。
生牡蠣。レモンだけでいって下さい、のやつ。

いつものように相談しているときに、相談というか恋バナやな。
恋バナしてるときにチャリ毛に花火大会行かへん?と誘われた。
僕の地元にはだんじり祭りはあるけど花火大会はなかった。
花火大会って家族とは行ったことあるんかも知らんけど、自らは行ったことないな〜と思った。チャリ毛と花火大会行くことになった。

花火大会に行く日、電車でお祭りに行くのが新鮮やった。
集合したのは夕方やったけど、割と明るかった。
駅でまっているとチャリ毛が手振って走ってきた。
僕は手ぶらやったけど、チャリ毛は肩掛けの鞄をユサユサ揺らしながら走ってきた。
その花火大会は川沿いで行われる大きい花火大会やった。
川の土手には色々と屋台が並んでテンションが上がった。
チャリ毛は屋台で買って食べんとこーって言うてきた。
こいつ無茶苦茶に珍しい考え方やんけ。
屋台でなんも買わへん高校生この世におるんかい。

チャリ毛は川の、あれなんて言うんやろ川の土手の上の舗装された道やなくて、緑の斜面のとこ座ろう言うて来た。
座って色々話しているとチャリ毛が肩掛けの鞄からクッキー出して
これ今日のために焼いてきてん!言うて出してきた。
なんか分からんけど急な手作りクッキーは嬉しかった。
でもなんか違和感はあった。
そのクッキーはパサパサしてるようでしっとりしてる、あんまよう分からんけどクソ美味かった。
クッキー美味いなー!!!!言うとチャリ毛はめっちゃ喜んでた。
そんなチャリ毛がちょっと可愛らしかった。
クッキー美味いな言うてるとどんどん日も沈み花火が上がり出した。
花火見よか言うて土手を歩いた。
花火が綺麗やった。
初めてこの時花火ってこんな体にドンッて響くんやってビックリした。
夏の夕暮れの涼しさとこの花火の振動が心地よかった。

するとチャリ毛が
実はあのアホの女の子彼氏出来たらしい。と唐突にどきついやつ放り込んで来た。
僕はめちゃくちゃ動揺した。動揺しながら
「そうなんや〜」と世界一浮ついた返しをした。
なんか頭ぐちゃぐちゃなりそうやった。
花火の音と一緒に破裂してまいそうやった。

しばらく沈黙で歩いた。花火の音と土手にいる人達の声がそれまでより小さく感じた。
すると、チャリ毛が手繋いできた。
僕はテンパっていたのでそれを拒否することなく手を繋いで歩いた。
周りから見たら肌荒れと剛毛チャリ毛カップルが手を繋いで歩いていた。
お似合いやったと思う。

しばらくその状態で歩いていると前から浴衣姿のアホの女の子が歩いて来た。
僕は何が起こっているかもう分からんかった。
アホの女の子より先に僕が気がついた。僕が気がついたことにチャリ毛も気がついた。手は繋いだまんまやった。
そのアホの女の子の隣にはめっちゃシュッとした男前の浴衣姿があった。
最初、アホの女の子しか目に入らなくて近づくに連れ次第に鮮明周りが見え出した。
さっき言うてた彼氏や。
僕はとんでもないもんにチャリ毛と手つないだまま近づいていってる気になって怖くなった。
もうちょっとですれ違うってところでアホの女の子がこっちに気がついた。
こっちも向こうも声をかける訳でもなく、なんか気まずい塊みたいなんが間にあった。
僕はその瞬間にチャリ毛の手を握りしめた。
怖くてなんかその状況が嫌すぎて握りしめた。
チャリ毛もなんでかめっちゃ握りしめ返した。

その後手を握りしめたまま無言で駅まで送ってもらった。
ここでどんな会話をしたか覚えてない、ぼーっと電車に乗って帰った。
家に着き、おかんのおかえりーって声に愛想のないただいまを返して自分の部屋に入った。


自分の部屋で落ち着いた、、
ふと思った、、

なんやこれ!!!!!!!

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