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続・脳科学の未来(3)脳の成り立ちの復習

ここで脳と神経系に関する知識を確認しておきたい。神経系は多数のニューロンから成り立っている。ニューロン(Neuron)は、それぞれ独立しており、ニューロン同士は、通常、シナプス(Synapse)という細胞接着構造でつながっている。ニューロンから別のニューロンへの情報の伝達は、この接続部分であるシナプスを介して行われる。化学シナプスの場合は、直径数十nmほどの大きさのシナプス小胞に入った神経伝達物質(Neurotransmitter)がシナプス間隙に分泌され、その分泌された神経伝達物質が、別のニューロン上の神経伝達物質受容体(Receptor)に結合し、情報が伝わることになる。こうして、数多あるニューロンは連続的に接続することで、複雑な神経回路ネットワークを作っている。

Public domain: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chemical_synapse_schema_cropped.jpg

ニューロンは、大脳、小脳、多くの神経核、脊髄、網膜などで、それぞれの場所で特徴ある機能を持つように特化しており、その種類や、それぞれの場所での神経回路の成り立ちも多様である。大脳は、例えば視覚情報の処理を行う視覚野など、領野に分かれており、それぞれの領野間は複雑につながり、それぞれの領野での神経回路のあり方にも特徴がある。

更に、大脳では、ある人に、2000枚ほどの写真を見せた時、ドラマ「フレンズ」の女優ジェニファー・アニストンの顔写真のみに発火するニューロンのようなものまで報告されている。こういうものも、たった1つのニューロンにそうした機能があるというより、そのニューロンが組み込まれた神経回路の構造によって生じるものと一般には考えられている。


(1週間に1回程度のペースで記事を出します)

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