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続・脳科学の未来(12)ニューロン同士の接続状態を調べる
基礎
コネクトミクスというのは、ニューロン同士の接続を調べる方法ということになります。これまで見てきたように、電顕でシナプス結合の様子を観察するというのは一つの方法になります。電気生理学的に調べるというのも方法でしょう。
更に、ニューロン同士の接続状態を調べるのに、ニューロン同士がシナプスでつながっているということから、そのシナプス間隙を移動して、つながっている相手のニューロンに取り込まれるタンパク質や特殊な遺伝子組み換えウイルスなどを利用する方法もあります。例えば、植物由来のWGAレクチンには、このような性質があり、この現象を利用することで、あるニューロンがシナプスでつながっている相手のニューロンを同定することが可能です。
更に、シナプスというのは、ひとつの細胞接着装置であるので、これを利用し、シナプスでのニューロン同士の接着状態を検出するGRASPなどという方法も開発されています。
ただ、これらの方法は、個々の神経回路に焦点をあてた研究には有用であるものの、巨大で広汎なコネクトームという総体を解明するのには更なる工夫が必要であろうし、その検出感度などに問題があり多くの改良の余地があります。
ひとつの工夫は、このような方法と脳組織を深くまで可視化できるような透明化技術を組み合わせることです。