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短歌94

生きていかなくちゃいけないって本当?嘘みたいな色の嘘の月

小さな椅子、可愛い椅子を諦めて、酩酊、きっと遠くへ行くよ

ごみ捨て場の揺りかごゆれる然るべき馬車が来るのをずっと待ってる

once more そして拍手を聴き終えてあなたの側で孵りたかった

すーとはー繰り返しながらどこでもない場所に来たことだけが分かるよ

生きていくわたしたちは基本的に怠惰であって、そういう光

指切りをしたことだけは覚えてる地域のしけたプラネタリウム

いつのまにオパールになってしまったのって訊けばオパールがする返事

愛された記憶と林檎に焦がしバターとキャラメルをかけて生きてきた

金木犀 あなたのためにつける火はさわれたり掴めたりすればいい

大人しか漕がなくなったブランコがあるっていう話 北極星

たじろぐなこの街のセルフレジは皆現金払いに対応している

ここにいる限りそうだよ長雨をネイビーブルーの助手席でみた

きこえてて青信号が繰り返し始める前もわたしだったよ

誰もいないサイネージずっとサイネージことばが滅んでも味方して

あきあかね時計を花に隠すからこれは永遠だって言うから

来ない夜ばかり数える人といてアールグレイのあたたかいまま

コスモスの細部に不和があるように記憶の鍵がずっと合わない

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