マガジンのカバー画像

短歌81~90

10
運営しているクリエイター

#夏

短歌90

短歌90

誰とでも恋に落ちるよ遠い日のチープな街灯に謝って

冷やしながら動かす体 部屋中の時計をいつか壊したとして

かぶれそうな気がして髪を染められないそういう風に失った月

誕生日を祝う知らない良い歌の心にこんなにも自他がある

柚子ジャムの光つややか手放して戻ってこなかった日々の人

冷帯魚 きれいなことをきれいって言わせてくれる人だからすき

冷房のねむけこころを児童館に市民プールに置いてきている

もっとみる
短歌89

短歌89

絵に描いたような向日葵会うことのない友達として好きでいる

家庭科のドラゴンが住まう洞窟への行き方は教頭が知ってる

空欄を押しつけられた青い月ひどいことばかりしたしされたね

偽物の感傷の図式見せないで鼓動を、鼓動だけを信じて

宛先は荒野 切手は可愛いよ 妄想だけで愛せていたの

暦 暦 今夜がずっと来なければ生きてる価値もあるって言うわ

色づいてしまった影は踏めないの論理の先の海で待ってる

もっとみる