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短歌81~90

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#短歌

短歌90

短歌90

誰とでも恋に落ちるよ遠い日のチープな街灯に謝って

冷やしながら動かす体 部屋中の時計をいつか壊したとして

かぶれそうな気がして髪を染められないそういう風に失った月

誕生日を祝う知らない良い歌の心にこんなにも自他がある

柚子ジャムの光つややか手放して戻ってこなかった日々の人

冷帯魚 きれいなことをきれいって言わせてくれる人だからすき

冷房のねむけこころを児童館に市民プールに置いてきている

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短歌84

短歌84

数輪の夜桜のこと気づきたいいろんなくすりを飲んで眠った

桜蕊 髪の長いわたしのままでまだ待っていたいから見つけてよ

外を見ようとずっとドア際に立ってたけど夕日が射してきて眩しくなった

嫌いだった乗り換えの駅があなたの住む街の駅になって 夕景

オレンジピール記憶がいつか磨耗していくことの確かさは面白いね

公共の花壇に造花が植わってるもうすぐ高層ビルの建つ街

また来たいほど店はない一駅と一

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短歌83

短歌83

変わることは分かっててもどう変わるのか見失う季節 三月は

奥底で燃える花びら後悔の形を定めることは怖いよ

春の脈あなたを知っている人の扉の色ばかり確かめて

約束の無精卵だったかもしれず眼裏が赤くて温かい

解いている式のことは分からないのに答えは近づいて 忘れ傘

すぐに詩で誤魔化しちゃう癖よくないよ一日中雨の天気予報

花を炎に炎を花に例えても本当にしたい話じゃないね

後悔をなのに今して

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短歌82

短歌82

放課後は部活で忙しいように定時の後も労働をする

のそのそとすすった辛いラーメンの舌先に関してはつらかった

商業ビルのメインのテナントが潰れて人は部分的に死ぬこともある

daydream 管理しづらい体調をかわりに抱き締めてほしいけど

春の惰眠気持ちいいことする時のわたしたちの神様じゃなさ

ネモフィラを見かけるようになる頃に順を追って感情を伝える

僕だけが大切そうに抱えてる想像妊娠の母子

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短歌81

短歌81

死んでいる世界線のあたしを悼むそれは必要なことだから

つぎはぎのボーカルの高音抱いて本当はどんな世界があるの?

やるせない話ばかりで月を見る月にはやるせないとかはないけど

霜柱 言い訳が出来なくなると会えなくなるが同義の春に

その人のハンドクリームの匂いにまで焦がれるならば、永久凍土

今はないファミレス改装したファミレスそういう記憶だらけだよ、今

処方薬に救ってもらえてる今でもあなたの

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