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【部員が語る】山形大学人力飛行機研究会Craft-Palの魅力
突然ですが皆さん、
「空を自由に飛び回れたらいいのに」と思ったことはありませんか?
その夢、「人力飛行機」でかなえましょう!
実は、空への強い憧れを抱いた熱き集団が山形大学にあります。
こんな方におすすめ
📌 大学に入ったものの、コロナ禍でサークルを決め切れていない大学生
📌 新しいことに挑戦してみたい野望を持った大学生
📌 ものづくり系の大学サークルを応援したい地元企業・団体
🛩そもそも「人力飛行機」って何?
「人力飛行機」とは読んで字のごとく、人間の筋力のみを動力源として飛行する飛行機 のことです。
「人力飛行機」は、紙飛行機のように動力を持たず空気の流れを読んで長距離を目指す滑空機と、パイロットがペダルを漕いでプロペラを回して飛行するプロペラ機に大別されます。
実際の航空機は巨大なエンジンを積んで時速700km/hという高速で飛行する反面、人力飛行機は自転車くらいのスピード(30km/h前後)で飛行します。
🛩人力飛行機の歴史
人力飛行機の歴史は意外にも新しいです。
1903年にライト兄弟が世界で初めて飛行機を発明したころは、腕に翼を取り付けて高所から飛び立つといった、まさに「鳥人間」といったようなものもあったそうです。
成功への道のりは険しく、1960年ごろに至ってやっと飛行に成功する機体が現れました。
その後は、徐々に性能が向上しました。その中でも特に優れた功績を残したのが1985年のダイダロス計画です。これはMIT(マサチューセッツ工科大学)の人力飛行機計画でギリシャのクレタ島からサントリーニ島まで約115kmを飛行するというものです。結果は直線距離115.11km、飛行時間3時間54分59秒という世界記録を樹立しました。
ダイダロス計画で使用された機体が、現在の人力飛行機の基礎になっています。
🛩日本の人力飛行機「鳥人間」
ところで、人力飛行機というより「鳥人間」という呼び方の方が馴染みのある方も多いのではないでしょうか?
日本では讀賣テレビ放送主催の「鳥人間コンテスト選手権大会」が有名です。
鳥人間コンテストでは年に一度、日本各地の人力飛行機を製作しているチームが集って飛行距離や飛行時間を競っています。
🛩日本の人力飛行機を制作する団体「Craft-Pal」
実は山形大学にも鳥人間コンテストを目指して活動している団体があることをご存知でしょうか。
その団体とは、「山形大学人力飛行機研究会 Craft-Pal」です。
[ 名称 ]
山形大学人力飛行機研究会 Craft-Pal
[ 由来 ]
craft (作る) + pal (仲間)※諸説あり
[ 活動拠点 ]
山形大学 工学部 旧白楊寮
(米沢市城南5丁目4-18)
[ 部員 ]
学部生9名
(時々OB/OGの先輩方が手伝ってくれます)
[ 活動内容 ]
・ 鳥人間コンテスト出場に向けた機体製作
・ その他地域のイベントへの参加
・ 新たな取り組みを模索中
[ 連絡先 ]
・ Craft-PalのWebページ
■ Craft-Pal の歴史
大まかな歴史を紹介します。
Craft-Palは1995年地面効果研究会として発足。1996年東工大OBと「ニューカレント」を共同製作。 鳥人間コンテスト初出場を果たします。同年秋、「Craft-Pal」に改称。その後17の機体を製作。2005年には「人力羽ばたき機(MATSUMORI)」を製作。現在は新機体「Furisode」を製作中。
これまでの最高記録は2006年の「MIZUCHI」で100.41m.
地味ですが、25年以上続く老舗サークルです。
■ Craft-Pal の機体の特徴
Craft-Palではプロペラ機を製作しています。
Craft-Palの機体には特徴があります。
他の多くのチームが採用しているのは、写真の「ダイダロス型」という形です。これは前述のダイダロス計画での機体を基本とした物で安定性が非常に優れています。
一方、現在製作しているCraft-Palの機体は「無尾翼型」を採用しています。
写真のように機体の後ろについている水平尾翼という部分がないため「無尾翼」と呼ばれています。部品が少ない分軽量になるという利点がある反面、安定した飛行のための役割を他の部分で補わなければならないため実際は大きな困難を伴います。
実はこの無尾翼機、人力飛行機の世界でも非常に稀な形式です。無尾翼機の安定飛行の実績はほとんどありません。Craft-Palでは世界的にも珍しい機体で新たな記録に挑戦しています。
■ 実際の活動の様子
実際の活動の様子を見てみましょう。年間の大まかなスケジュールは以下のようになっています。(現在は感染症の影響で大きく変更になっています。)
基本的に参加は自由で各々の予定に合わせることができます。ぶっちゃけた話、製作にのめり込んで夜が明けるまで活動した先輩の話も聞いたことがありますが…。ブラックということではありません。誤解しないでくださいね。時間を忘れるほど没頭できるということです。
普段の活動の様子を見てみましょう。
これは スタイロ切り出し の作業をしているところです。
大きな発泡スチロールの塊から翼の部品を切り出していきます。まるで彫刻家のようです。この作業を何度も繰り返して大きな機体を形作ります。
次は テストフライト(TF) の様子です。
機体が完成したら飛行場で実際に飛行させます。深夜に組み立てを開始、日の出と共に試験を行います。朝の静けさの中での飛行試験は格別です。試験で得られたデータをもとに改良を重ねていきます。
■ 製作の裏側
「鳥人間コンテスト」をご覧になった方は人力飛行機には熱いドラマがあってとても華やかな印象を受けるかもしれません。
ただ、現実はそうはいかないものです。作業内容は結構地味な物が多いです。地味とは言っても普段は手にしない材料を珍しい機械や自作マシンで加工していくのは結構面白いのですが…。
そして、何より製作には莫大な時間がかかるということです。一つの部品を製作するのに設計から始まり、材料加工、組み立てと進んでいきます。
例えば、ある部品は材料加工に3時間、接着に丸一日といった感じです。完成した機体にはわが子のような愛着が湧くのは自分だけではないのでしょうか。本番では飛び立った機体は数分~数十分で琵琶湖に吸い込まれていきます。
実はパイロットも相当なパワーが必要です。テレビでは簡単にペダルを漕いでいるように見えますが、ある意味で特殊な訓練をしないとあのようなことはできません。パイロットに要求されるパワーを例えるならば、原動機付自転車を脚力だけで運転するようなイメージです。
苦労話ばかりが多くなってしまいましたが、そんな我が子のような機体が美しくプラットフォームを飛び立つ姿を目にできたときの感動はひとしおです。その瞬間を仲間と共有することが我々のモチベーションなのです。
🛩おわりに
「Craft-Pal」は人力飛行機を通して空に憧れ、同じ志をもつ仲間(pal)と共に創る(craft)。そのような熱い思いを抱いた人の集まりです。
ぜひ、大きな野望を持っている方はぜひ一度見に来てください。
「山形大学工学部キャンパスの裏の秘密基地のような作業場で、こそこそ何をしているんだろう」とお思いの方、「山形大学に人力飛行機を作るサークルなんかあったんだ」と初めて知った方も「Craft-Pal」はこれからも夢に向かって活動していきます。
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