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英語学習が示す本質的な学び

英語の学習環境は昔と比べると大きく様変わりしました。ほとんどの学校にはネイティブのALTと呼ばれる方がいて、英語学習の手助けをしてくれます。Zoomの英会話教室でネイティブの方と話すこともできますし、AIのチャット・ボットでも会話の練習ができます。しかし、今も昔も直接人と英語で会話する事が、最も効果的であることには異論はないでしょう。結局Zoomやチャット・ボットは生身の人間の代替でしかないからです。しかし生身の人間と毎日英語で話すのは、なかなかハードルが高く、実現させることは難しいです。そこで、今回は誰でもでき、しかも効果が抜群に高い方法をご紹介します。ちなみに、私はこれを日本に居た時に思いつき、実行しました。その甲斐あってか、アメリカに留学した時、最初の日から英語にはほとんど不自由しませんでした。さらに、日本人にとってとても重要でありながら、誰も気がついていない学びの本質についてもお話ししますので、是非とも最後までお付き合い下さい。

私が思いついた方法とは、三つの部分からできています。(1)まず本気で英語を学びたいと思っているパートナーを数人見つけ、(2)その人達と居る時は、いつでもどこでも何をしていても英語で話すのです。電車の中でも、レストランでも、道を歩いていても、はたまたトイレでも英語を使う、「どこでも英語」です。そして(3)この「どこでも英語」を上述したようなZoomでもなんでも良いですから、自分に合った便利な学習方法と組み合わせるのです。以下に何故これが効果的なのかについてご説明します。ここが大切ですので、よくご理解いただきたいと思います。

貴方が幸い本気のパートナーと出会い、「どこでも英語」を実行したとします。日本人同士が英語で話していると、まず確実に周りから変な目でみられます。電車の中で、あるいは会社や学校で、下手な英語で苦労している自分の姿を想像して見てください。恥ずかしいですよね?穴があったら入りたいですよね?顔から火が出そうですよね?周りの人が『バカじゃないのか?』、『下手くそ!』、『カッコつけんなよ。』、『日本人だろ?日本語使えよ!』などと思っているのが聞こえてきそうですよね?はい、その通りです。皆さんそのように思っています。露骨に嫌悪感を表に出す人さえいます。でもここを克服するのが重要です。にわかには信じられないかも知れませんが、信頼できるパートナー達と英語で話すのに慣れてくると、彼らが日本人なのに、日本語で話すのが不自然に感じられるようになってきます。これは本当に起こります。何故なら、貴方と貴方のパートナーの心の中に、ある重要な変化が起きているからです。

以前の恥ずかしがり屋の貴方は、周りの人の目を基準にして自分を判断していました。周りの人がダメだと言ったら、貴方は自分がダメな人間だと決めつけていました。逆に皆が褒めてくれたら、自分は優れた人間だと自惚れていたかもしれません。テストの点数などは最もわかりやすい例ですね。しかし貴方の語学パートナーと英語で話していて、下手でも良いからそれが自然に思えるようになった時、もう周りの人の意見などどうでも良くなっているはずです。貴方は、自分の英語力が確実に向上しているのが実感でき、楽しくて仕方がなくなっているでしょう。もっともっと英語を使いたくなっていて、周りの人が投げつける罵詈雑言など、単なる雑音にしか聞こえません。いや、逆にそのような人達を可哀想に思えるようになっているでしょう。何故って、貴方は自分を毎日向上させているのに、足を引っ張るだけの人たちは、一ミリだって向上していませんから。貴方は、貴方の中に「自分の判断基準」を確立できたのです

この体験は今後の貴方の人生を一変させるでしょう。何故なら、これは語学学習だけでなく、全てに通じるからです。自分が正しいと確信できるものがあったら、もう誰が何を言おうと動ずることはありません。そしてまず貴方の人を見る目が違ってきます。足を引っ張るだけの人と、本当に真面目に考えている人の見分けができるようになってくるのです。さらに、周りの人が貴方を見る目も違ってきます。足を引っ張るだけの人は自然と寄り付かなくなりますし、本当に考えている人とは色々と繋がりを持てるようになるでしょう。「類は友を呼ぶ」です。そしてこのように「自分を確立した」人でないと、何をするにしても国際社会では通用しません。特に欧米社会では、貴方は誰か?どのような人か?何を考えているのか?が重要であり、他の人の言っていることを鵜呑みにしている人など、小馬鹿にされ、全く信用されません。ですから、英語の学習をただの英語の学習だけに留めておくのは、実はとても勿体無い事ですし、学習として本質的に間違っています。

近頃は『AIが発達するから、外国語なんて勉強する必要はなくなる』などと言う人がいますが、私からすると、そのような人は現実を知らないまま、空理空論を振りかざしているだけに見えます。確かにAIの発達は目を見張るものがあり、社会を大きく変革して行く事は間違いありません。一方で忘れてはならないのは、AIは意識を持たないという事実です。意識がないのですから、「自分」と言う概念がわかりません。貴方が「自分」、「意識」、「存在」などという言葉を聞いた時に内省的・直感的に理解している事柄は、AIからすっぽりと抜け落ちているのです。『AIが発達するから、外国語なんて勉強する必要はなくなる』と公言する人は、そんなAIで十分間に合うことしかしないし、出来ないわけですから、真っ先にAIに取って代わられるでしょう。

別の見方をすれば、ちゃんと自分を確立し、自分で考える事ができる人であれば、別に英語ができる・出来ないは関係なく、国際社会で十分通用します。事実、外国語が苦手と告白しつつ、ノーベル賞を取った名古屋大学の益川先生がいらっしゃいましたね?これが巷で言われるTOEIC 〇〇点が馬鹿馬鹿しく、とても胡散臭く聞こえる理由です。TOEICの点数を目標に勉強している人は、自身が薄っぺらいので、いとも簡単に手段が目的化してしまい、悲惨なことにそれにすら気づいていません。「張りぼてTOEIC」なる言葉を聞いたことがありますが、TOEICの点数は高いが、なんの仕事もできない人を指す言葉だそうです。手段が目的化した人にはなかなか相応しいのではないでしょうか。

結局、各々が内に持つ核となる能力を見つけ、それを磨くしかありません。その能力はなんでも良いのです。そしてそれを英語でも日本語でもできればさらに良い、そう言うことです。英語学習を、点数で評価する対象にするのではなく、何を自分の中にもたらしてくれるかと言う視点から考えると、全く異なるものになるのです。


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