見出し画像

イスラム教と女性

先日イスラム教社会における女性の役割について、従来のイメージを変えてくれる体験がありました。イスラム教の社会は日本人にとってはなかなか分かりにくいですし、情報もとても限られています。その反面、ニュースで流れるものといえば「戦争」、「ジハード」、「タリバン」、「シャリア法」と言うような暴力と抑圧のことばかりです。

やまどり学園がある富山県の射水市は、人口に対する外国人の比率が3.9%と県内で最も高く、その中でもパキスタン人の人口が多い地域です。そんな彼らは「富山国際団体」と言うNPO法人を立ち上げ、パキスタン人コミュニティーと日本社会の橋渡しと相互理解を促す活動を積極的に行っています。その長年の努力が認められ、このほど射水市から「第29回とやま国際草の根交流賞」を授与されました。その受賞記念祝賀会での出来事です。

会場は男女が簡易スクリーンで隔てられ、男性と女性は子供も含めてステージの左右に分けられていました。さて、一連の式辞が終わった後、質問の時間に移りました。ところがここで意外な事が起こりました。なんと質問は全て女性からだったのです。祝辞を述べたのは男性だけで、女性は発言しなかったのも原因かもしれません。しかし彼女達は決して黙っていないのです。質問はウルドゥー語がほとんどだったため、その詳細はわかりませんでしたが、翻訳されたものに限ると、教育と日本の社会制度に関するものが多かったようです。イスラムの女性は虐げられていて自分の意見さえ言うことができないと言うステレオタイプがありますが、それが覆されました。確かにタリバンが支配しているような社会ではそうかもしれませんが、普通のイスラム教社会ではそのような事はないのでしょう。日本とある意味似ていて、女性は表立ってあまり出てきませんが、実は裏でいろんなことを仕切っていると言った感じでしょうか。欧米諸国でさえつい最近まで女性は家庭に居るべきと言う考え方が支配的だった事を考えると、イスラムの文化の中で、女性が自立してゆく方向にゆっくり変わってゆくのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!