[PS4]Horizon Zero Dawn[プレイ雑感2]

2020/8/9 やまどり

個人的に色々と残念な仕上がりだったPS4「Horizon Zero Dawn」について、特にシステム上の不親切感について改めて記載しました。(以下のnoteを先にお読みください。)

矢の照準が合わせにくい

本作は作戦や立ち回りの良さで勝利するゲームのはずで、必要なエイムの技術は最小限でよいはずだ。例えば、交戦中に矢を構えたのであれば、画面上の敵のいずれかに当てたいことはほぼ明らかなのだから、自動的に照準が合う、矢を構えて撃てばとりあえず的に当たる設計の方が親切だった。残念ながら、プレイヤーは矢を当てることに多くの意識を割かなければならず、状況に応じた戦略的でスピーディーな立ち回りが出来なくなってしまっている。

一つの会話シーンで話者が変わる度にその話者のアップに画面が切り替わる

話が動いているわけではないのだから、両者を対面させた絵を固定すれば十分のはずだ。

オブジェクトに働きかけるときの位置合わせが悪い

直感的にはあるオブジェクトにアクションをしたいことが画面上明らかでありながら、ゲーム側の反応が鈍いためにひと手間をかけてキャラクターの位置や向きを調整しなければならないことが多い。

たとえば、十分に近づいても話しかけたい相手にスムーズに話しかけられない、といったことだ。現実ならごく簡単な動作がゲーム内でスムーズに行えないことは、プレイヤーにストレスを感じさせる重要なミスだ。

会話シーンのセンテンスに無駄が多く、話がくどい

プレイヤーは「理解が早く、覚えが遅い」ものであり、既に理解している話を聞き続けるのは退屈だ。それを踏まえると、会話はシーンを通じて何を理解させたいかを手短にプレイヤーに伝え、重要なワードを印象付けて反復することが適切のはずだが、本作の会話シーンはそういった配慮が無く、冗長的だ。

現実の聴覚に相当する探知能力が無い

音が聞こえても、その発信源がどこにあるかわかりにくい。NPCの声は聞こえるが見つからない。聞こえているのだから「フォーカス」で周囲を見渡せば発信源が視界に入ることが期待されるはずだ。さもなければ立体音響による方向感が完璧である必要がある。

現実では聴覚で補っていることがゲーム中で上手く認識できないために起こる様々な理不尽は、本作の欠点をよく象徴している。

例えば、背後から敵が忍び寄っている場合、現実の狩りなら物音の“聴こえ方”から背後に何らかの気配を感じ取り、背中にゾクゾクしたものも感じるかもしれない。本作は狩りを主体とするゲームであるにも関わらず、そういった感覚に相当する十分な探知能力がプレイヤーには与えられていない。

その結果、プレイヤーが何の予兆も感じないまま敵に攻撃されたり、画面上の死角にあるものについて(見えているかのように)キャラクターが話し始めるといった現象に度々遭遇する。

イベントシーンを進めることをプレイヤーが意図的に保留している時にNPCが同じ台詞を反復する間隔が短く急かされる

たとえば、「建物から外に出る」ことでイベントシーンが進行することが明らかだった場合、プレイヤーはイベントシーンの進行の前に済ませたいことを先に行うために意図的に外に出ることを保留する。この行為は半ばRPGなどの約束事となっていることだ。

こういった時に、その場にいるNPCはイベントシーンが進行中であることを示すために、「早く外に出よう」といったシンプルな台詞を反復することも、半ば約束事だ。こうしたゲーム設計はゲームを破綻させないために必要な仕組みだが、本作はその反復がしつこい。プレイヤーは理解しているのに「早く出よう、早く出よう、早く出よう…」と急かすように繰り返すのだ。

多くの場合、自分の意思でその場に留まっているのであり、ゲーム側はプレイヤーが何をしないといけない場面かわからず迷っている時に気づきを与えれば十分のはずだ。また、NPCが過度に急かすのであればイベントシーンに時間制限があるはずだ。

ファストトラベルや馬にコストがかかる

本作はファストトラベルをするためには消耗品であるファストトラベルアイテムを生成する必要があり、移動速度を上げる“馬”に乗るためにはまずその機能を持った敵を発見し、捕獲する必要がある。これが非常に煩わしい。

たとえば歩くごとに満腹度が減少し、食事を取らなければやがてゲームオーバーとなる「トルネコの大冒険」のように、移動そのものがゲームの本質に関わっている場合には、ファストトラベルや移動速度を上げる手段はバランスブレイカーに成りかねないから、それらにコストを設けるデザインが適切だ。

本作には満腹度に相当する概念は無く、ファストトラベルや馬は単にプレイヤーの感じる移動の煩わしさを無くすための機能だ。であるならば、そのことにあえて面倒を設ける必要は無いはずだ。煩わしさを回避する機能のために別の煩わしさを選択させるのは、プレイヤーの感覚をよく理解していないデザインだ。

おお、お慈悲を…お恵みを…お立ち寄りの貴方…どうかこの私に…一滴の潤いを…