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まかないの廃棄量を減らせるか/食品ロス削減に向けた山人-yamado-の取り組み

ホテル・旅館業や、飲食関連の仕事をしていると「まかない」ってありますよね。山人-yamado-は、まかないがすごいんです。Instagramでも、採用広報の一環として「まかない365」というテーマで毎日のようにまかないをアップし、フォロワーの方からは「山人-yamado-に泊まったら、まかないが食べたい」と言われるほど。

毎日おいしいまかないが提供されるので、ついつい「今日のまかない」に注目してしまいがちですが、前日に作ったまかないがまだ余っているんですよね。見た目がちょっと……とか、昨日も食べたから……と思うと、やっぱり新しいのを食べてしまう。

古いまかないは、さすがに3日目までは提供されず、2日間で食べきれなかったら、廃棄されることがほとんどです。やっぱりもったいないから、なんとかしましょう、というのが今回のテーマ。

啓蒙だけでは食品ロスは削減できない

「食品ロス」という言葉が認知を経て長い年月がたちますが、僕たちの職場では、長いこと具体的な取り組みは行われていませんでした。もちろん、常日頃から「もったいたい」は意識していますが、お客様の口に入る食材・食事だったりすると、衛生面が優先されるのは仕方がありません。

従業員向けのまかないについても、余りは、前日のものならリメイクで回して、できる限り無駄にならないよう料理人の方々に頑張ってもらっています。その毎日の苦悩たるや。これは対外的にはあまり話題になりませんが、社内ではたびたび話題になり、啓蒙されます。

でも、多くの啓蒙活動がたいていそうであるように、なかなか浸透しないですし、結果がついてきません。僕もふくめて、まかないが廃棄されるということを自分ごとに考えることができないのです。食品廃棄に慣れすぎている。

私生活においても、僕はわりと捨てる方です。仕事が忙しくて食事もまともに取れないことがあるので、そうすると、ずっと前に買ってた食材を食べきれないまま期限を迎えてしまって……というのは日常茶飯事。そもそも僕の場合、食べ物に限らず、人生においていろんな物事を「捨ててきた人」なので、食材も同じ考えでバンバン捨ててしまう方でした。

捨てられない人よりマシだろうと思ってますけど、食材においては、考えを改めた方がいいよねと、最近は思い直しています。賞味期限過ぎても、まだ食べれるもんね、ってことですよね。

何グラム捨てたのか、明らかにしてみよう

ある日、専務に紹介され読んだ新聞で、食品廃棄用のゴミ箱の下に測りを置き、またゴミ袋の真上にはカメラを設置し、どんな食材が何グラム捨てられたのかを明らかにするシステムが紹介されていました。フードロス削減のためのシステムのようで、なるほどこれは使えると思いました。毎日、何グラムのまかないが廃棄されているのかを計測してみよう、となったわけです。

当然、高価なシステムを導入するわけにはいきませんので、自分たちで工夫します。当座、毎日どれくらい捨てられているのか計って記録できればいいので、まかない廃棄専用のゴミ箱を用意して、その下にハカリを置いてみよう、となりました。

「こんな感じですか」とスタッフが写真を送ってきた。そうそう、こんな感じ!(?

スタッフの自宅で使われていない体重計があったらしく、それを持ってきてもらいましたが、厨房スタッフにより、わずか数時間で撤去されたようです。

いずれにせよ、毎日の早番スタッフが、お昼くらいまでに、その日のまかない廃棄量を計量し、14時のミーティングまでに、社内の基幹システムに計測したグラム数を打ち込んでおく。

すると、全社員へのミーティング記録の配信時、その日のまかない廃棄量も一緒に通知される、という仕組みにしました。DBの数字フィールドに格納しているので、特定期間で、廃棄量を集計したり、比較したり、グラフ化したりすることも簡単にできます。

計測できるものは、必ず管理できる

数年前、僕たちが当時お世話になっていた経営コンサルタントの方から言われたことがあります。

“計測できるものは、必ず管理できる”

計測可能な数字は、売上にせよ利益にせよ、自分たちが主体的に関わることで、変化させることができるし、適切に管理し、コントロールすることができる。そういう文脈での発言でした。

まかないの廃棄量は、物理的な重さとして簡単に計測可能です。計ってみようとすら思わなかった時は、これも古い、あれも古い、と毎日のようにまかないを廃棄していたのが実情で、ほんとうに情けない限りなのですが、計り始めた途端、まかない廃棄量連続ゼロ日数なる記録を作ってもいいんじゃないかってくらい、小気味よく廃棄量ゼロの日が続くようになりました。

あんなに啓蒙しても何にもならなかったものが、ただ計ることによって劇的な変化を生み出した、非常にわかりやすい例です。

観察のために対象物に光を当てるという行為が、観察結果そのものに影響を与える

たしかこれ、『企業の人間的側面』に書いてあったような。

とはいえ、まだときどきは、廃棄が出てきます。山人の、まかない廃棄量を減らす取り組みは、まだ始まったばかりなんです。

1ヶ月、2ヶ月経過してどうだったか、山人のSDGsな取り組みとして、定期的にグラフを公開していきたいと思います。


山人-yamado-で一緒にはたらきませんか?

岩手県西和賀町で、山人-yamado-という宿泊施設を運営しています。全12室、すべてに源泉かけ流しの温泉を備えたスモールラグジュアリーの温泉旅館です。詳しいお仕事内容を知りたい方は、以下までお問い合わせください。

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