Live2Dでつよつよアニメーションが作りたい話(後編)
こんにちは。山田です。
絵を動かしたり描いたりするしょっちゅうLive2D触ってる系フリーランスです。
ゲーム・その他アプリでも映像でもVtuberのガワの制作でも、監修でも技術指導でもLive2D何でも!やるので!!ポートフォリオ↓見たりお気軽にお問い合わせどうぞ(※営業)
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さて、Live2Dでつよつよアニメーションが作りたい話の続き(2/2)になります。
前編は↓こちら↓
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前回自然なアニメーションを作るためにポイントとして
(1)反動の動き(タメ)を入れる
(2)動きの順序を考える
のが大事っていうお話をさせていただきました。
今回は続きとして以下目次の内容を掘り下げようと思います。
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(3)間とリアリティのあるスピード
個人的に慣れてない方で多いなと思うのは、
・表情変化する時間が短い&決めポーズ(動き切った後)に動きを止める時間が短い
・腕を動かすスピードがスロー
・瞬きや口の開閉のスピードが遅い というパターンです。
①間を意識してとる
表情が変化する場合はわかりやすくしばらくキープしてほしいし、頭や体は(特に演技としてわかりやすい表現をしようと思うと)動き切った後にしっかり止まる時間をとった方がわかりやすいです。
②スピード
これは鏡を見ながら動いてみた方がわかりやすいかもですが(作業環境に姿見置くの大推奨)、、頭や体に比べて腕回りって動くスピード早いんですよ。
頭&体と同じようなスピードで腕を動かすと腕の動きがゆっくり過ぎて変に力がこもった動きに見えてしまう。この状態を個人的に「太極拳」呼ばわりしてますが(緩やかにインナーマッスルが鍛えられそうだね)、意志を持った自然な動きだとこうはならないので腕の動きは基本的には体より速いスピードで動くというのを気を付けるといいです。
【具体例】
A.体と腕が同じスピード
B.腕を早く、現実的なスピードで動かして、意志の力で筋肉動かしてるぞというのを意識
ちょっとの差なんですが、B.の方が意識して動かしてる感があるのではないでしょうか。
悲しみの表現で腕の力抜けてるとか、上品キャラで優雅な動きにしたいので意識して腕のスピードゆっくり目にしてるよってするのはアリ。その辺はどういう表現をしたいかで応用します。
また、反動の大きさ&どのくらいのスピードで付けるかによって、感情表現の幅が広がったり、力の込め方、重いものを持っているか否かを表現できたりします。
【例】
・おっとりした性格のキャラなら全体的に少しスローな動き
お年寄りはつねにゆったり目の動き
・感情が昂った時に力がこもるので少し動くスピード上げる、
ダウナーな気持ちの表現は力が抜けて少しスピード落とす
・重いもの持ってたら腕の反動を大きく、
重力方向に動かすときは少しスピードを上げる、 等
より掘り下げたければアニメーションのタメツメとかスページングとかで検索してみてください。これだけでも奥深過ぎてマントル超えそうです。
全て現実に即した自然なスピードがいいというわけではなく、
瞬きの瞼の動きだったり、水しぶきがバシャバシャする動きだったりはリアルなスピードを求めすぎると早すぎて動きがわかりづらくなってしまう(なんかチラチラしてるなーって認識されてしまう)ことがあるので、動きを視認しやすくして強調するためにあえて現実よりゆっくり動かすこともあります。
ただし、瞬きや口の開閉はゆっくり過ぎると不自然です。あくまで認識しやすい程度にスピードを落とすのであり「ゆっくり動かす」という意識ではないので注意
また、表情関係はまとめて変化させると自然にまとまりやすいです
例:目・眉・口は同じタイミングで変形させる。
表情変化の際に瞬きを挟むと自然(ただし、個人的には瞬きを多用しすぎないように、表情変化の際に毎回毎回瞬きを使うのは避けるようにしてます)
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(4)グラフエディタを使う
前編の参考画像ですでにさらっとグラフエディタ画像出してますが、モーションの調整の大半はグラフエディタ表示で行いといいです。
キーを打ったタイミングも大事ですが、カーブの描き方ももっと大事といっても過言ではないかもしれない。
動きがなんか固いぞってときはグラフエディタ上で体や頭のパラメーターの絵額曲線が一直線になってる可能性があるので、その場合は緩やかな曲線にしてみてください。
グラフエディタを使うとカーブ調整しやすいし、感覚的にスピードを調整しやすいです。
なお、私はモーション作るときは大体こういう手順で作ります。参考までに(超ざっくり説明)
・ドープシートで一番ポイントになる動きをここで一番動かすぞというタイミングでキーを打つ
・グラフエディタで(1)反動の動きを気にしながらいい感じのカーブ(表情や腕の止めたいとこ以外はゆるやかなカーブ)にする
・グラフエディタで複数パラメーター表示して(2)動きの順序、(3)間とスピードを調整
・※(瞬きや表情変化、パーツの切り替えはどこか適当なタイミングでドープシートでつくってしまう)
・再生しながら目視で確認しつつ、細かいとこ調整(グラフエディタとドープシートを行ったり来たり)一番時間かかるとこ
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(5)視線誘導を考える
よいアニメーションはこれができてるのですが、具体例でお話ししてみます。
まずこちらをご覧ください
Live2D公式マーケットnizimaで定期開催されてる「にじコン」のキャラクターです。かわいいね!!
これを再度、「視線がどのように誘導されてるか」を気にしながら見てください。
1右手→2左手→3顔
もう少し言うと
1右手→2左手→3(顔)ニッコリ→4(顔)首傾げウィンクからの耳ぴく
と視線が誘導されるようになってるかと思います。
1&2:手首の動きに合わせて体が上下、キャラの目線が誘導される先の手を見る
3:ニッコリや首傾げに合わせて体が上下
4:首をかしげるのが強調されるよう体が上下、手首が動く
ウィンクした後に耳がぴくぴくする(少しだけタイミングずらしてる)
という感じで、
・その瞬間瞬間に一番見せたい動きを絞る(他はその動きを強調したり補助してより自然に見せるための動き)
・いつの瞬間に複数のポイントになる動きを詰め込みすぎず、視線が分散されないようにする
というのを考えられた動きになっているな、というのがわかりやすい例ですね
次の項(6)の演出部分の話にもなるのですが
このように、この瞬間はこの動きを見せたいというのを考えて作ることで、視線誘導を考えたアニメーションになります。視線誘導を考えるのは難しい場合も、ここはこの動きが一番見せたい、次はここ!という考え方で制作すると自然と視線誘導されるアニメーションができます。常にそのように考えて制作することでより見やすい・伝えやすい動きができるのではないでしょうか(と思いながら私はモーションつくってる)
〈おまけ〉視線誘導を考えたうえでのみかんの演出の話
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(6)演技と演出をする
さあ今からモーション付けするぞという最初の段階にもどるのですが、
まずどういう動きを作るかを考えます。
モーションクオリティアップのヒントの
「キャラにあった動きをつける」にあたるところです
モーションを付けるというのはキャラクターの個性をより掘り下げて表現する行為、キャラクターデザインの延長だと思ってます。
今から動かすキャラクターの設定(年代性格性別等)を元に、このキャラクターはこういう性格だからこの感情を表現する時はどういう動きをするのか、性格が違えば演技が違ってくるのでより深くキャラクター設定を作りこむつもりでどう動かすかを決めます。そこまで決めてないぞって場合は見た目からキャラクターの中身がどんなか設定を膨らませよう。
例えば「照れる」という感情表現で
恥ずかしがり屋だからもじもじするのか、ツンデレだからプイっとツン照れするのか、豪快系の男性キャラなら「いやー参ったなー」という感じの動きにするのかetc…
よりキャラクターの性格がわかりやすいように表現するのは君だ!! 滾れ!妄想力!!
で、いざ制作、となったらキャラに実際にさせたい動きを自分で実演してみて参考にしたり(何度でもいう、動いてみるの大事)、動画検索していい演技の資料みたり、よりこう動いた方がわかりやすい/キャラの魅力がでる/シチュエーションが伝わりやすい演技をさせます。あなたが演出家です。そしてモーションを作りこむ中でわからなくなったら何度でも動いてみよう!!自分で!!恥ずかしくない皆やってる大丈夫!!
特にゲームのキャラクターモーションってアングル切替もなく、基本的にはカメラ定位置でキャラの動きだけで感情を語る必要があります。
「とにかくわかりやすい」かつ「自然」であることも重要なので、肩を落とす動きを作るとして、「シュンとする動き」と「呆れて溜息を吐く動き」を分けてそれとわかるように作らなければいけないわけです。
で、「演じて動く」という場合に、動きの流れというものができるわけです。
例えば、雨粒を感じて雨を確認するために手を受け皿にして上にあげる&視線を上げる動きをするとして
手をあげてから視線をあげる(「雨降ってきた?」からの「やっぱり雨雲だ」)なのか、視線をあげた後に手を挙げるのか(「なんか雨降りそうな空だなー」からの「ぽつぽつしてきた」)なのか、それとも同時に動く(雨!!雨だ!)なのか。
この演出を視線誘導も考えながら作れると見せたいところがわかりやすい=伝わりやすいアニメーションができる=あなたは名演出家。私も名演出家になりたい。
演出をするには演技の勉強も必要になってきます。
モデリングつよつよになるにはデッサン力だぞってお話を以前しましたが
アニメーションもひたすら動きを観察して再現するという「インプット」と「アウトプット」の積み重ねなので
普段から実写でもアニメでもどっちでもいいのですが、物語を見たときに
・どんな動きをしているか/キャラクターの個性を出すためにどんな演技をしてるか
・日常の人の動きを観察してあるいはこうしたいという動きを実際に動いて再現してみたときに、体のどのパーツがどういうタイミングで動くか
よく観察して見る目を養うのも大事だと思います。
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【まとめ】
よりクオリティの高いアニメーションを目指すなら
・行動観察力
モーション付ける対称が人型キャラの場合は人の動きの観察
・物理法則を踏まえた動きの理解
・「演技」というものに対する理解
などなど、Live2Dだからどうというのではなく(このソフトだからどうこうというのは道具の使い勝手の違いだけなので)、ほかのスプライトアニメーションだろうが手書きだろうが3Dだろうが関係なく広義での「アニメーション」に対する勉強をしないといけないわけです。
沼が深い。沼? いや、これは深淵……。一緒に深淵をのぞこうよ!!
アニメーション作るの楽しいよ!!!
#みんなの Live2D LAB #Live2D
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長々とお読みいただきありがとうございました。
最後に宣伝コーナー
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