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一尾一尾への想いが紡ぐ、養鰻への誇りと情熱

山田水産を支える”チームYAMADA”で活躍する先輩社員のみなさんにおはなしをお聞きするインタビュー企画。それぞれの現場で日々任務に励む先輩たちの姿をご紹介します。
今回は、養鰻事業部第四養鰻場の桂屋育巳さんです。山田水産の看板である鰻製品の根底を支える養鰻事業部のお仕事内容や入社後チャレンジしたこと、仕事をする上で大切にしていることなどをお聞きしました。

プロフィール
桂屋 育巳(かつらや いくみ)
山田水産株式会社 養鰻事業部
2020年新卒入社

インターンシップで感じた、山田水産の魅力

桂屋 育巳さん

ーーまずは山田水産に入社するまでの経緯を教えてください。
桂屋
 子どもの頃から魚が好きだったので漁業に関係する専門学校で、漁業や養殖について学んでいました。専門学校に来る求人には働きたいと思えるいい会社がなかったので、自分で他にいいところがないかと就活のサイトで探していたところ、山田水産を見つけたのが出会いです。すぐにインターンシップをさせてくださいとお願いして、1週間くらい養鰻場で実習をさせてもらいました。

ーーインターンシップに参加された感想はいかがでしたか?
桂屋 私の祖父母が川魚料理メインの料亭を営んでいまして、昔から鰻には馴染みがあったんですが、初めて餌やりを見た時はその迫力に驚きました。あとは朝が早いなと思いましたけど、もうこれは慣れだなと思いましたね(笑) もともと山田水産で働きたいと思ってインターンシップに参加していたので、実際に体験してみてその気持ちが固まりました。
水産業界に対して、年上の人は威張っていて、上下関係が厳しいイメージがあったんですが、そのイメージも大きく変わりました。山田水産の養鰻チームは、適度な上下関係はありつつも、和気あいあいとした雰囲気もあって、ここで働きたいという気持ちがより強くなりました。

――入社してからは、どのようなことから仕事を覚えていったのですか?
桂屋 入社してすぐ第二養鰻場に配属され、場内の備品の整備や「餌練り」、「池周り」と呼ばれる、池の中の状況を確認する仕事などを覚えていきました。

ーー餌練りは一筋縄ではいかない業務だと聞いています。桂屋さんも最初の頃はご苦労されたんでしょうか?
桂屋 私も最初はいい餌を作ることがなかなかできませんでした。これってとても不思議なんですが、先輩と同じタイミングで水をいれても、同じ状態にはならないんですよ。艶があって、鰻のサイズに対して硬すぎない、そして餌を持ち上げたときに落ちてしまわないような弾力がある状態をいい餌と呼んでいるんですが、これが本当に難しくて……。最初の頃は釜から餌を取り出すときも、奥にこびりついてしまうような柔らかい状態になってしまうこともありました。水を入れるタイミングや量を調整したり、釜についた餌を落とす際のタイミングを変えてみたりと試行錯誤を繰り返しながら何度も取り組みました。

鰻たちのために愛情込めて練られた餌

ーーやはりとても難しいんですね。餌の硬さは何を基準に変えているんですか?
桂屋 シラスウナギの頃はまだ赤ちゃんで顎も発達していないので、はんぺんくらいの硬さの餌を作ります。最初はだいたいみんな同じ硬さですが、そこから鰻の大きさや餌の食べ方など、鰻の成長に合わせて硬さを変えていきます。水の量を調整しながら、餅と団子の間くらいの硬さを目指すイメージです。しっかりと鰻の様子を見ながら「この池はよく成長しているから、餌を少しずつ硬くしていこう」「こっちの池は成長が遅いから、餌もゆっくり硬くしていこう」と調整することで成長のスピードも変わってきます。同じ日でも鰻のいる池ごとに硬さを変えることもありますね。

ーー餌練りは本当に奥が深いですね…!続いて現在、桂屋さんが担当しているお仕事について教えてください。
桂屋 入社2年目から、現在所属している第四養鰻場に移動しました。現在は第四養鰻場と第五養鰻場を兼務していて、第五養鰻場のリーダーが休みのときは、水質検査から餌配りまでを担当しています。出荷のときは、ポンプを使って鰻を大きなプールに移動させる「取揚げ」や選別作業にも携わります。

桂屋さんのよくある1日

ーー餌配りも鰻に直接関わるとても重要な仕事だと思います。餌配りについても詳しく教えてください。
桂屋 「餌配り」とは、餌練り担当が作った餌を鰻の様子を見ながら配る仕事です。餌の時間になると、鰻たちが餌をあげる場所に集まってくるんです。その様子を見て鰻の状態を判断し、配る餌の量を調整します。「今日は集まりが悪いな」と思う池に餌をたくさん入れてしまうと次の日から餌を食べなくなってしまうので、その見極めが重要です。集まる様子は普段と変わらなくても、食いつきが悪ければ作った餌をすべてあげないこともありますね。

各池に餌を運び様子を見ながら餌を配る

ーー養鰻の仕事に携わるなかで印象的だったことはありますか?
桂屋 池の見回りのときに死んだ鰻が1匹でも残っていたら、他の鰻が餌を食べなくなってしまうと知ったときはとても責任を感じました。専門学校時代に、さまざまな魚の飼育をしてきましたが、鰻ってそんなに繊細な生き物なのかと驚きましたね。だからこそ餌やりの前にしっかりと池の状態を確認します。鰻に適した環境を保つための水質検査の細かさは学校で習っていたものとはレベルが違っていたので、それもとても印象的でした。

ーー鰻ってとても繊細な生き物なんですね。「取揚げ」とはどのような作業なのでしょうか?
桂屋 「取揚げ」は、ポンプを使って鰻を大きなプールに移動させる作業です。ポンプで吸いすぎてしまうとパイプの中で鰻が詰まって圧迫死してしまうので、1秒も気が抜けません。細心の注意をしながら行う作業のひとつです。出荷のときも「取揚げ」を行います。

ーー出荷作業についても詳しく教えてください。
桂屋 出荷作業は出荷の前日から行います。餌が鰻のお腹に残っていると腸内環境が悪くなってしまったり、プールの水を汚してしまったりするので、出荷の前日に餌やりを止めます。鰻にも準備してもらう1日ですね。そして翌日に備えて準備をします。
翌日は普段餌をやっている時間に取揚げ作業をして、7:30から出荷作業がスタートします。プールに移動させた鰻を再度ポンプで吸い上げたあと、鰻をサイズごとに仕分ける「ハネ手」と呼ばれる人たちの手でスピーディーに仕分けられ、測りで10kgずつザルに積み重ねていきます。

愛情込めて作った餌を元気いっぱいに食べる鰻たち

ーーこうして大切に育てた鰻が養鰻場から元気に旅立っていくんですね。桂屋さんが思う山田水産の鰻のここがすごい!というところはどんなところですか?
桂屋
 やはりまずは薬を使わずに鰻を育てているところですね。抗生物質を使うことが一般的な中で、一切妥協をせずに無薬養鰻をしているところはすごいことだと思います。あとは美味しいところです。愛情を込めて育てているのが美味しさの秘訣だと思います。

未来のリーダーが語る、養鰻の喜びと責任

ーー仕事のやりがいや達成感はどのようなときに感じますか?
桂屋
 シラスウナギから育てた鰻を無事に出荷できたときに達成感を得ることができます。今年の鰻はとても出来がいいんです。その分出荷のときは少し寂しくもありますが、無事にどんどん出荷されていっていく様子を見るのは嬉しいですね。

あとはお客様の声を聞いたときにやりがいを感じます。養鰻場で働いていると直接反応を耳にする機会はないんですが、週に1回有明事業所と合同で行う朝礼の中で社長からお客様からの声を聞かせてもらっています。いい鰻を育てようというモチベーションにつながりますね。合同で朝礼をすることで事業を超えた交流が生まれているんですよ。鰻の加工を担当している有明チーム値から鰻のできについて感想をもらえたり、「今年も1年間お疲れさまでした」と言ってもらえたりすると嬉しいですね。1年間頑張ってよかったなと心から思います。

ーー一方で仕事をしていて大変さを感じるのはどのようなときですか?
桂屋 夏に向けて餌の量がどんどん増えていくときが肉体的には大変ですね。精神的には一番病気になりやすいシラスウナギの時期ですね。この時期は育てる上でとても神経を使います。日々「大きくなれ、元気になれ」と願いながら飼育をしています。

ーー鰻への愛の深さを感じます...!他にはどのようなときに、鰻への愛情をかけていますか?
桂屋 餌を配っているときや練っているときは、もちろん鰻のことを考えていますね。餌の硬さや配る量を考えるときは最大限の愛を込めています。

優しい眼差しで鰻たちを見守る

ーー養鰻場のみなさんが鰻ファーストだと思うんですが、鰻と接する上で大切にされていることはありますか?
桂屋 鰻が病気にならないように池に入る際の消毒は念入りにしています。もし病気が出てしまった池があったら、シャワーを浴びて綺麗な状態にするくらい衛生管理を徹底しています。厳しいルールのように感じるかもしれませんが、鰻のことを考えるととても大切な取り組みです。

ーー山田水産で働いたことで成長したこと、身についたスキルはありますか?
桂屋 仕事に対する責任感が身につきました。仕事に対する向き合い方も大きく変わったと思います。もし自分が任された仕事をやらなかったら、どのような影響がでるのかが明確にわかるようになりました。例えば、餌配りで責任感を持たずに鰻に適当に餌をあげてしまうと何日間も餌を受け付けない状況になってしまいます。そうすると鰻の負担も増えますし、予定していた出荷に間に合わなくなってしまうので責任は重大です。
あとはさまざまな世代の人と分け隔てなく、どんな会話もできるようになりました。そして何をはなすにしても自分の言葉に責任を持つようになったと思います。

ーーリーダーの代わりを務めるなかで、成長を感じることはありますか?
桂屋 最初は餌の食べ方の良し悪しもよくわかっていなかったんですが、餌を配るようになって「この池は食いつきがいいから餌をあげても大丈夫だな」「この池はちょっと控えめにあげた方がいいな」ということが自分でもわかるようになりました。これはやっぱり経験と責任感だと思いますね。餌やりを任されているということは、鰻の命を任されていることだと思って取り組んでいます。あとは養鰻事業部には尊敬できる先輩が多いんです。仕事が早いのにとても丁寧だったり、鰻のことを一番に考えている姿勢だったり。自分もこういう人になりたいなと憧れています。

事業所を超え”ONE TEAM”精神で挑む!

――入社前と入社後で山田水産の印象は変わりましたか?
鎌田 入社前は上下関係が厳しかったり、生き物を扱う仕事なので休みが少なかったり、夜中に急に呼び出されたりするんだろうなというイメージがありました。
でも実際に働いてみると休みも取りやすいですし、夜中は当直の担当者がいるので、急に呼び出されることもありません。プライベートと仕事のメリハリをつけられる会社だなと思いました。
養鰻チームの雰囲気もとてもよくて、休憩時間にみんなで同じゲームをしたり、同じドラマを観てその話題で盛り上がったりしています。連休を取る際なども、お互いに連携しながらサポートし合っています。

ーー山田水産で働いてよかったなと思うときはどのようなときですか?
桂屋 日本で一番の鰻の産地で、そこでトップクラスの養鰻ができていることに誇りを感じますし、大好きな魚に関わる仕事ができていることを幸せに思います。好きなことを仕事にできて、さらにやりがいを感じられるところは山田水産で働いてよかったなと思う理由のひとつです。あと祖父と鰻のはなしができるようになったのも嬉しいです。山田水産の鰻の蒲焼を両親や祖父母、友人に贈ることがあるんですが、みんなが「美味しい!」と言って食べてくれるので嬉しいですしとても誇らしいです。

ーー経営理念や社訓で共感すること、好きな言葉はありますか?
桂屋 社訓にある「勝負時、団結力が『チームYAMADA』の真骨頂」ですね。各事業所で忙しい時期があったときに、助け合うことがあるんですが、そういうときにこの言葉を思い出します。週に1回の合同朝礼の効果は大きいと思います。あとはみんなが山田水産の一員であるという気持ちを持っていることですね。そのおかげで事業所間でのコミュニケーションもスムーズです。

ーー実際にはどのようにして助け合っているんですか?
桂屋 例えば、鰻の加工場が忙しいときは養鰻場から応援を出したり、鰻の駅はお盆やお正月が忙しいので、そのときもお手伝いに行ったりします。逆に養鰻場が忙しいときは、有明から応援に来てもらうこともあります。
同じ会社の違う部署の一員として働くことで、それぞれの仕事の大変さを理解することができますね。”すごいな”と思いますし、尊敬する気持ちも生まれます。

ーー仕事をする上で大切にしていること、意識していることはありますか?
桂屋 鰻を一番に考えて、次に自分の体調を見ながら作業をするようにしています。チームの一員として働く上では、どんな作業でも率先して取り組むようにしています。もしわからないことがあれば率先して質問したり、後輩(外国人実習生)がわからなさそうにしていたら、自分から声をかけるようにしたりしています。入社して5年経つので、チームをつなぐのが自分の役割です。

ーー桂屋さんの今後の目標について教えてください。これからどのようなことにチャレンジしたいですか?
桂屋 今後チャンスがあればシラスウナギを担当したいです。これからもっと新しい仲間も入ってくると思うので、よりわかりやすく、より丁寧に仕事を教えられる先輩になりたいなと思っています。今出荷のときは測りの作業がメインなんですが、チャンスがあればハネ手の仕事にも挑戦したいです。
最近では外国人実習生も増えてきて、少しですが英語を使う機会が増えたので勉強したいなと思っています。勉強と言っても映画を観るときに字幕でみたり、彼らと会話するときに教えてもらったり楽しみながらですけどね。

ーー最後に就職活動中のみなさんにメッセージをお願いします!
桂屋 実際に会社に来てみれば、山田水産の良さがわかると思います。まずはインターンシップに来てみてください!

山田水産 養鰻事業部の募集要項はこちら!

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