UX Bridge vol.7に参加してきました!〜1.BtoB SaaSにおける究極のUI/UXってなんだ?〜
やさしいデザイナー、
そして今はユーザベースのデザイナーのまりまりです。
BtoB/BtoBtoCサービスにおけるUXをテーマにした勉強会、UX Bridgeに初めて参加してきました!
今回も確実に参加したかったのでブログ枠で挑みましたよ〜⭐️
主催者の田邊さん曰く、参加者はデザイナー多めのようですが、
個人的にはサービス開発に関わるすべての方に参加してほしいなと思う内容でした!
7回目の開催となる今回は、株式会社ユーザベースよりチーフテクノロジストの竹内 秀行、株式会社 助太刀よりCPOの小川貴之さん、株式会社リクルートライフスタイルよりUXデザイナーの関口 聡さん、同じくUXデザイナーの熊澤 兼一さんのご登壇でした。
(私はイベントに参加するとだいたいハッシュタグでガンガンツイートするのですが、今回はそんな暇もないくらい・・・濃かったッ・・・!!!)
で、濃すぎるので、3回に分けてnote投稿することにしました。笑
1. BtoB SaaSにおける究極のUI/UXってなんだ?byユーザベース・竹内 秀行
トップバッターは株式会社ユーザベース、チーフテクノロジストの竹内 秀行。
実は私、未だに竹内と実際に話したことはなかったりしますw(9月に入社したばかりなもので・・)
竹内はユーザベース創業期からの社員で、SPEEDAもNewsPicksもFORCASもゼロから作ってきました。そしてパソコンに関わることなら基本なんでもできる。。(DTPもわかる、DTMもできる・・)
ちなみに竹内は、こちらのユーザベース創業物語に『曲者エンジニア』として登場していますw
第一部:BtoB SaaSにおける究極のUI/UX
「顧客は何に対してお金を払っているのか?」
竹内の話は、一貫してこのことについてでした。
顧客は何に対してお金を払っているのか、を考えること。
それはつまり、「我々の作っているサービスの価値」とはなんなのか、を考えるということ。
竹内はこう語っていました。
「使いやすい、かっこいいは本質でない」
「お客さんは時間を買っている(もしくは知見を買っている)」
「この前提を間違えると設計ミスる」
デザイナーとしてUI/UXの細部にこだわっていると、意外と忘れてしまいそうなことですね。。
では、究極のUI/UXとは?
究極のUI/UXその1「ボタンを押したら仕事が終わっている」
ボタンを押したら、というのは揶揄ですが。
弊社のプロダクトを例に挙げると、まさに私が関わっている『SPEEDA』はこの"究極"を達成しているサービスと言えます。
SPEEDAは、「高い給料もらってる投資銀行の新人が、ただ情報を集めてエクセルやパワポをいじっているのは、お金も時間も勿体ないよね」という、弊社新野、梅田の原体験から生まれた思いによって誕生したサービスです。
SPEEDAがあれば、大量のビジネス情報をワンストップで取得できるため、7日間かかる業界分析を、たった1時間に短縮することが可能です。
SPEEDAが生まれたことによって、本来やるべき考えることに集中できるようになった方がたくさんいらっしゃいます。これこそがSPEEDAの究極の価値と言えます。
たとえスマートなUIであっても、7日間かかる業界分析が、そのまま7日間かかるようであれば、SPEEDAに対してお金を払ってくれる顧客は・・当然いないでしょう。
究極のUI/UXその2「簡単にはとれない情報がそこにある」
また弊社のプロダクトを例に挙げると、『NewsPicks』が該当します。
NewsPicksは「もっと気軽に専門家のダイレクトな意見がききたい」という梅田のアイデアから生まれたサービスです。
NewsPicksがなかった時は、ニュースとは一方通行なもので、多面的に実感を持って捉えることができなかったと言えます。
しかしNewsPicksがあれば、専門家のコメントや世論のチェック、コメントのシェアまでがアプリ内で完結します。
NewsPicisに集まる情報は、他のメディアでは簡単にとることができません。
もしもNewsPicksがただカッコイイだけのUIで、集まっている情報が他のニュースアプリと何も変わらなかったとしたら・・そうですね。当然誰も有料会員になってくれないでしょう。
最後に、竹内はこうまとめていました。
「ボタンを押したら仕事が終わっている」
「簡単にはとれない情報がそこにある」
「この2つのどちらかが満たされていれば、顧客はお金を払ってくれる」
第二部:社員も知らない、ユーザベースのUI/UX以外の話
新人まりまり、まじで知らなかった話が聞けました。w
初耳エピソードその1「SPEEDA、7年間デザイナー不在だった」
なんと、今回イベントに同席した廣田がSPEEAD初のデザイナーでした。(ぶっちゃけこの時初めて知りました・・)
デザイナーがいない中でどうしていたのかと言うと、SPEEDAはエンジニアやプロダクト企画がお気持ちでデザインしていたそうです。
でも、このデザイナー不在の7年間で、「2つの究極のUI/UXの条件を満たしていれば、toB SaasならUIがお気持ちでもなんとか売れる!」ということが分かったそうです。
(もちろん、廣田が入社してくれてとても助かったと、竹内も話しておりました!)
初耳エピソードその2「NewsPicksは足で営業して初期コアユーザー獲得してた」
NewsPicksって、実は当初iPad版しかなかったんです。
そんな初期ですが、梅田は直接影響力のある人のところに足を運んで、「iPadがない」と言われればiPadをプレゼントし(!)、なんとかコメントをしてもらえるように営業したそうです。
NewsPicksは、業務で活躍している忙しい人にこそ使ってもらう必要がありました。だからこうして足を運んでいたわけですが、こういうことができたのはSPEEDAが軌道に乗っていたからだと竹内は話していました。
また、UI/UXの改善以外にも、獲得や継続率を上げる方法はたくさんあるということが分かるエピソードでもあります。
こうして実際に対面でコミュニケーションを形成していくことも方法の1つですね。イベントを開催するのも有効です。
初耳エピソードその3「最終的なUXをあげるために一時的なUXをさげたことがある」
2016年2月、NewsPicksでは実名登録が必須化しました。
理由は「ビジネスの世界では誰が何を言っているのかが大事だから」。
しかし当然一時的にUXは下がります(匿名でしか発言できなかった人が居られなくなる、etc...)
それでも実名登録に踏み込んだのは、長い目で見てNewsPicksが目指している世界観を作っていくために、つまり最終的なUXを上げるために重要だったからです。
今思うと正しい判断だった、と竹内は言います。
まとめ:「あったら便利」でなく「ないと困る」体験の設計をめざす
以下に竹内のまとめの言葉を載せます。
「プロダクトがどういう世界を目指しているのかを考えるのは重要」
「そこでしかできない体験を作るのも重要」
究極のUI/UXの2つの条件は、こういったポイントを押さえておくことによって達成できるのではないでしょうか。
スタートアップビジネスには「あったら便利」が多いが、このパターンだと一度お金を払ってもらえても、その後なかなか継続しない。
「ないと困る」とユーザーは離脱しない。
「ないと困る」は当事者になると見つけやすい(もしくは当事者の意見を組み入れる)
「ないと困る」体験の設計のために、いわゆるユーザー目線が必要になってくるよね、ということですね。
感想:本質的な価値を創出しつづけることを忘れない。それが”究極のUI/UX”に繋がる
改めて文字に起こしてみてつくづく思ったのですが、
竹内の話から新しく学ぶことがあったというよりも、「忘れかけていた大事なことを思い出した」という参加者が多かったのではないでしょうか。
「顧客は何に対してお金を払っているのか?を考える」
「ボタンを押したら仕事が終わっている、が究極」
「簡単にはとれない情報がそこにある、が究極」
「対面でコミュニケーションを形成していくのも大事」
「あったら便利、でなく、ないと困る体験の設計をめざそう」
本質的な価値を創出しつづけることを忘れない。それが”究極のUI/UX”に繋がる、ということなのかなと思いました。
私はデザイナーなので、ディティールにこだわることが仕事ですし、体験を作るためにも非常に重要なことでもあると思っているのですが、
プロダクトの本質的な価値や、UI以外でその価値を高めていく方法について考え続けていくことを、これから忘れずにいたいなと思います。
というわけで、次回は株式会社 助太刀 CPO、小川貴之さんのお話をレポートしていこうと思います!