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トークンで行動をデザインする時代

知人と話していて、なかなか面白い話に展開していったので、ここに残しておこうと思います。

報酬をもらえる保証もないのに、行動するのは辛くないか?

現在の経済活動の基本は「貢献先行型」です。
報酬(お金)を得ようとすると、労働や何らかのリスクテイクが必要となります。

例えば、会社員であれば、毎日会社に行って8時間働くことで給料日に給料が振り込まれる。自営業であれば、売り切れるかの保証もない中で商品を仕入れて、それを誰かが購入してくれることで報酬を得る。
これが基本形です。

貢献先行型は、「必ず報酬が得られるかどうかの保証がない」という課題があります。
先程の例で言えば、会社がいつ倒産するかわからない。客が来店しないかもしれない。そんなリスクを抱えたまま、行動を起こさないといけないのが、貢献先行型の特徴です。

リスクを抱えたまま行動して圧倒的成果を出せる人は少なからずいます。
しかし、ほとんどの人はそんなには強くない。
リスクがない、安心した状態のほうが一歩を踏み出しやすいんです。

最近の副業ブームも、本業を持った状態でリスクを極力低くできるからこそ、副業である程度のリスクを許容できるという流れだと思います。

「報酬先行型」という新しいモデル

そこで、逆のモデルとして「報酬先行型」を考えます。
報酬先行型はブロックチェーンと相性のいいモデルだと思います。

例えば、企業が「売上を100倍にするアイデア」を募集するキャンペーンを企画したとします。
最優秀賞には仮想トークンで100万円贈呈されます。

従来であれば、応募者は1円も手にしていない状態でアイデアを考えなければなりませんが、報酬先行型ではまず100万円を獲得するところから始まります。

1.主催企業は100万円分のトークンをブロックチェーン上でデポジットする。
2.希望者はこのキャンペーンに応募する
3.応募と同時に、応募者のウォレットには100万円分のトークンが入金される。
4.期限内に応募して最優秀賞に選ばれれば、100万円分のトークンがウォレットに残る。応募しない場合はウォレットからトークンが消滅する。

これらをスマートコントラクトで記述します。

アクションを起こせば100万円を得られるけど、アクションを起こさなければ何も得られない。このような制度設計にしておけば、みんな必死にアイデアを考えるかもしれません。

仮想トークンの性質上、最終決済に必要な額をデポジットしておき、整合性さえ担保すれば保有額の何倍ものトークンを配布できます。
(トークンにレバレッジをかける感覚)
また、ブロックチェーンの存在証明によって、そのトークンが自分のウォレットに存在していることも確約されます。
これにスマートコントラクトの自動執行を組み合わせることで、上記のような仕組みが実現できます。

奨学金問題も解決できる(かも)

このモデルを応用すると奨学金問題も解決できるのではないかと考えています。

奨学金破産”の衝撃 若者が… 家族が…

優秀なこどもが家庭の事情により、その能力を発揮できないことは長期的にみると社会全体の損失です。
現状これを打破する制度として奨学金が用意されていますが、返済においてその人が優秀であったかどうかは考慮されないため、どんなに成果をだそうとも、その後借金返済に苦しむという制度設計になっています。

これを先程の「報酬先行型」の仕組みで解決します。

1.国は奨学金として学生にマイナストークン(貸付金)を送る。
2.在学中の成績によって、マイナストークンが消滅するようなスマートコントラクトを書く(評価Aであれば10%、評価Bであれば5%、評価Cであれば0%ずつマイナストークンが消滅していく)
3.卒業時点で残ったマイナストークンに応じて返済プランを立てる。

優秀な学生であれば、どんどん成果をあげることによって卒業後のリスクを自力で低減していくことができます。

トークンによって行動がデザインされる?

トークンとスマートコントラクトの設計によって、その人の行動がデザインされる世界が今後くるかもしれません。

けしからんという意見もあるかもしれませんが、現在のマーケティングは知らず知らずに購買するようにデザインされているし、就職活動などのイベントも知らず知らずに経済活動への参加を促すデザインです。

肝心なのは「どう使うか、どういう結果をもたらしたいか」であり、そこさえ間違えなければトークンによって行動がデザインされるのも悪くないのかなと思います。

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