11月の推奨香木は「軽快な艶やかさ?が特長の甘酸っぱい真那賀」… 『銘 浪花芦』(なにわのあし)
来たる26日に開催する五味シリーズ「酸」の聞香会に炷き出す香木を選んでいる際に、とても興味深い酸味の出し方をする香木に気付きました。
伽羅立ちする沈香の真那賀なのですが、木所に特有の艶やかな曲(くせ)もさることながら、甘味と絶妙に絡み合う酸味がどことなく軽やかに聞こえて、好ましいのです。その軽やかさは、もしかしたら枯れきった古木ならではの特性と言えるのかも知れないと感じています。
と言いますのも、来歴が定かではないのですが、香包に使われている素材が竹皮紙ではなく「何らかの植物の皮」であることからも、江戸時代に愛蔵されていたものに相違ないと考えています。
右上に貼られた紙には『浪花芦』と香銘が記されていた、とする記述が残っています
貴重な香木ではありますが、木所の特徴を具える「沈香の真那賀」が極めて稀少であり、可能な限り多くの香木愛好家の皆さまに分木したいと考えて、推奨させていただきます。書付の類は残されていないので確認はできないのですが、愛蔵されていた香人の見識を尊重して『浪花芦』(なにわのあし)とさせていただきます。