真那賀の聞香会を終えて

報告が遅くなりましたが、掲題の聞香会もおかげ様で無事に開催することができました。
特筆すべきは、「これぞ真那賀!」と断定できるいわば手鑑香(手本木)に相当する勅銘香二種を、炷き出せたことでした。

それにより、これまで「真那賀が聞きけない」と感じておられた方々に、教科書とも言うべき典型的な真那賀をたっぷりと聞いていただくことができ、「ようやく真那賀という木所を掴むことができた」と喜んでいただけたことは、同慶の至りと喜んでいます。
そして自分自身も改めて『波間』・『雲間』をじっくりと鑑賞することにより、改めて勅銘香の凄まじいまでの力量に感じ入り、至福のひと時を過ごすことが出来ました。

両種共に「時の天皇が愛蔵され、名前まで付けられた香木だけのことはある」と感嘆する内容ですが、とりわけ『雲間』は凄いと感銘を受けました。

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大きさの割に軽く、樹脂化の度合いは決して高いとは言えません。
鋸で挽いた断面は、篩管に樹脂分が詰まっているようには見えず、でも均等に分布はしているような、他には類例を知らない不思議な状態です。

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木目の筋もくっきりしていて、一見すると、決して「いい顔をした」香木とは思えないのです。

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ところが、ごく小さな欠片を銀葉に載せると、元の植物(ジンチョウゲ科アキラリア属)のままの組織から放たれるであろう雑味は全く感じられず、驚くほど仄かで静かな立ち方の中に、微かではあるけれど信じ難いほどに力強く真那賀に特有の「匂いの筋」が立ち上っているのに気付きます。
火加減を遠くにすると匂いの筋はか細くなりますが、火を強めると他の味も複数が重なり合って和音を奏でるようで、火末まで延々と好ましい香気を放ち続けてくれます。
何度でも炷空を味わえそうに思えるほどです。

これほどの名香が奇跡的にたっぷり残っていますから、これからも皆さんと一緒に愉しむ機会を出来る限り多く作って参りたいと考えていますので、その折には是非ご参加下さいます様、お奨め申し上げます。

さて今回も素敵なご感想を寄せていただいていますので、紹介させていただきます。

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本日も良い香りをたくさん聞かせて頂き、ありがとうございました。

真那賀はもっともとらえどころがなく、「水のような薄い香」と考えていましたが、しっかりとした良い香りをたくさん聞かせて頂き、今日初めて真那賀を聞いたような気分になりました。

始めに伽羅と羅国を聞かせて頂いたので、真那賀との違いがよく分かり、真那賀はこのようなお香木なのだ、ということが理解出来ました。

自分が持っている真那賀のイメージに近い香りは「雲ゐの花」「夢の浮橋」でした。
「のどけき峰」は仮銘通り、のどかな山の風景を山頂あたりから見回している気分になりました。
「山ざくら」も山ざくららしい野趣を感じました。

そして、「波間」「雲間」をたいて頂き、ありがとうございました。
両方とも聞かせて頂くのは2回目でしたが、前回よりも香りが安定してはっきりと出ていました。
(電子香炉のおかげでしょうか)
本当にまろやかで優しい香りで、いつまでも聞いていたい思いでした。
真那賀の香りは「女のうち恨みたる」香ではなく、「女性のたおやかな優しさ」の香だと定義して欲しいですね(笑)。

香木っていいですね、奥が深いですね、と改めて感じ、幸せな気分に浸れました。本当にありがとうございました。
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