新宿区の箱根山を登頂しメルヘンを祈願する。
メルヘンを求めて新宿区にある戸山団地にやってきました。
目的地は、団地の商店街にある「サイフォンコーヒーの店・メルヘン」。
「メルヘン」でコーヒーとホットケーキをいただき、同じ商店街の「リビングセンターセキノ」で、探し求めていた麦茶ポットとダイエットスリッパを購入。
メルヘン欲も物欲もすっかり満たされましたが、せっかくなのでお散歩しましょう。そうしましょう。
団地の敷地と公道をわけるところに、こんなものがありました。
きのこ?
くらげ?
不思議の国のアリスにこんなのが出てきたような気がしないでもない。
これはメルヘンの出口でしょうか入口でしょうか。
とりあえず座って、メルヘンにあやかることにします。
メルヘンレベルが高まってきたような気がしないでもない。
巨大団地のなかには巨大公園が広がっていました。小学校もあります。
登校は楽だし、下校するや否や遊べるし、最高ですね。
この公園のどこかに「箱根山」という山があるそうです。
山手線内の最高峰で、登頂証明書までもらえるとのこと。
どんなところなんだろう。
案内が出てきましたよ。
歩いていくと、こんもりした丘のようなところに階段があります。
ここかな?
ここのようだ。
そこに山があれば登ろうじゃないか。
アタック!
標高44.6m。
アタック成功。
なぜここが「箱根山」なんでしょうか。
案内板の長文を要約すると、いつだかの将軍様が、このあたりの起伏に富む地形をいかし、庭園をつくったのだそう。池や橋や渓谷や田畑や茶屋などもある巨大庭園で、なかでも東海道の小田原宿を模してつくられた町並みが見ものだったとか。震災やら戦争やらを経ていくうちに、いろいろなくなっちゃいまして、最終的には “ 誰からともなくここを箱根山と呼ぶようになった ” と締めくくられていました。
いっぱい読んだけど結局由来わからず。地名なんてそんなものですよね。
私は愛知県の東海道沿いで生まれ育ちました。桶狭間の戦いがあったところで、最寄りの駅名は「前後駅」。
なぜ前後という地名かというと、戦いのときに前からも後ろからも攻められて、にっちもさっちもいかなくなったからだとか、前にも後ろにも兵の首が転がっていたとか、首を前後に並べたからだとか、諸説あり。
地名なんてそんなものですよね。
思えば、なかなか物騒な土地で生まれ育ったものです。メルヘンのかけらもありゃしない。
下山して、早稲田方面に向かうと、「穴八幡宮」という立派な神社がありました。
穴。
穴いえば不思議の国のアリス。
これも何かのご縁。門をくぐります。
正月の市が立っていて、アリスというより千と千尋の世界。
お賽銭を放り込んで神様に願います。
物騒な土地で少女時代をすごしてしまった私に、メルヘンをお恵みください。
10歳のとき、私はひとりで妹を保育園に迎えにいき、お昼寝の布団を持たされ、早々に妹が歩きたくないと駄々をこね、おんぶして家まで帰りました。
8人家族の食事の洗いものや米とぎをしながら「妹たちは果たして10歳でこれをやるのだろうか。10歳の私の作業量を忘れないでおこう」と胸に強く刻みました。(妹たちはやりませんでした)
11歳のとき、実家が営む工場で、工業用のドリルの刃先を削っていました。
親にねだって買ってもらった本は「昭和の全歴史」でした。
夢見る少女じゃいられなかったのです。
ひょんなことから絵本作家になりましたが、メルヘンが絶対的に不足しております。
どうか、わずかばかりのメルヘンをお授けください。
メルヘンの神様はほほえんでくださるでしょうか。
散歩はもうちょっとつづきます。