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海外移住について、ちょっと本気出して考えてみた

思い付きで、興味だけはある海外移住について整理してみました(実体験ではない)。昨今、海外移住が流行ってると聞きますが、確かに仕事や投資で稼いでも、税金で多くを持っていかれたら悲しいですよね。現役世代に関しては、海外移住(≒ 日本脱出)が流行る背景にあるのは、この資産を守る(節税)という観点と、あとは子供の教育だと思います。グローバリゼーションの再加速を見据えて、オプションとして検討する価値はあると考えています。


なぜ海外移住が注目されるのか?

まず、なぜ海外移住なのか?ですが、真っ先に来るのは節税・資産防衛です。例えば、日本は世代間格差がひどく、社会保険料の高さには辟易します。累進課税の所得税も辛いものがありますし、投資で稼いでもそれなりに税金が取られます(特に、仮想通貨は酷い)。そして、高齢になると相続税もあります。資産が増えれば増えるほど、節税できるならしたいというのが本音でしょう。勿論、近い観点で円安もあると思います。外貨で収入を得られるならば円安を緩和できるので、そういう意味でも移住は魅力的です。

因みに、日本の税率から逃れるには、ビザを取るだけではなく、そもそも税務当局から日本の「非居住者」と判断してもらう必要があります。良く言われますが、日本はこの判断基準があいまいで、生活実態を総合的に見て判断されるようです。海外滞在年数も最低1年以上と一般的には言われますが、安心なのは3年以上と耳にしたこともあります(相続税は10年以上)。また、更に安全サイドでいくと、大義名分が立つので、海外でしかできない仕事の方がベターという話もあるとかないとか。また、金融資産の評価額が1億円以上の人には、出国税と呼ばれる国外転出時課税制度もあります(届け出をすれば、5年間の納税猶予が可能)。諸々、専門家に要相談ですね。。

それともう一つ、現役世代で大きいのが子供の教育だと思います。小さい内に子供に外国語(特に英語)を覚えさせたい・海外経験をさせたいと考える親は少なくないでしょう。

そして、両方の背景にあるのが、日本の将来への悲観論ではないでしょうか。少子高齢化が進む一方で将来が良くなる希望が持てない、というのも大きそうです。

という訳で、少なくとも現役世代という意味では、節税(資産防衛)・子供の教育というのが2大理由だと考えられます。

ビザが取り易くて、税金が安い国はどこか?

では、具体的にどこに行くべきなのか?、1年半前ですが、ダイヤモンドのシン・富裕層向け海外移住特集を見つけました。それによると、以下10か国が人気らしいです。この特集では、ビザの取り易さ・税制メリットを中心に評価されていて、おすすめ度が高い国をいくつか見てみたいと思います。

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号

まず、近年注目を浴びているのがドバイです。不動産購入の投資ビザはハードル高めですが、自分で法人を設立して取得する就労ビザは比較的容易そうです(申請者も急増中)。実は専門エージェントに相談したこともあるのですが、余程のことがない限り取れそうな印象でした(唯一、申請時に現地に入る必要があるのが面倒くさそう)。勿論、駐在員で行くわけではないので、YouTuberでもアフィリエイトでも何でも良いので仕事をすることは前提になります。

税制でいうと、23年6月から法人税が導入(9%)されたようですが、基本的に5%の付加価値税(VAT)しかないので、税金メリットは最強クラスです。

ただ、砂漠地帯でイスラム圏になるので、馴染みやすいかというとアジアの国々と比較したら劣るかもしれません。あと、日本から遠いのも気にはなります。一方、ドバイは英語で生活できると聞くので、生活面で困ることはないとは考えています。

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号

同じく、最近人気と聞くのがタイです。特に、数百万円を払えば取得できるタイエリートというビザが支持されています(就労は不可)。タイ語の壁があるとは聞きますが、日本から近く、親日国で生活しやすいのではないかと思われます。

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号

なお、ドバイと違って、タイは普通に税制がしっかりしています。日本よりは安いので節税にはなりますが、制度がしっかりしているほど節税スキームの検討余地が拡がるので、専門家に相談した方が良さそうです。

JBIC(https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/image/inv-thailand12.pdf)

それから、海外移住と聞いて、真っ先に思い浮かぶのがシンガポールではないでしょうか。しかし、近年はビザが厳しくなっており、一般的な起業による就労ビザも経歴・学歴や年収要件などがネックになります。後者は、具体的には年収1000万円程度以上です。申請時も勿論ですが、問題は1〜2年後のビザ更新時で、現地で高収入で雇われない限り、シンガポールをベースにその額を稼ぐのは中々ハードルが高いです。しかも、円安なのでますます不利になっています。

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号

意外に面白いと思ったのがスペインですが、24年4月にゴールデンビザと呼ばれる不動産投資によるビザを廃止したことが分かりました。反移民の流れが強まっていますね。

現地で何をするのか(仕事と子供の教育)?

次に、ビザが取れて晴れて移住できたら、実際にどう過ごすかをイメージしてみます。まず、自分の仕事です。法人を立てて就労ビザを取得する場合だと、何か仕事を取ってこないといけません。現実的なのは、コンサルやエンジニア等で、日本の顧客から業務委託を受注することでしょう。しかし、コンプライアンス等を理由に、海外法人だと発注してくれないケースもあるので注意が必要です。最後の手段は、ネットビジネスだと思います。儲かるかはさておき、一番やり易いのはアフィリエイトやYouTuberではないでしょうか。飲食店や、日本人向けの観光・移住支援なんかもあります。

それから、投資です。ドバイやシンガポールだとキャピタルゲイン税がないので、株でも不動産でも仮想通貨でも積極的に投資すべきだと思います。株だったら、日本株(特に小型株)を買うのには不便そうなので、海外株を中心に買っても良いですね。海外送金も、ドバイやシンガポールレベルの都市であれば安心です。

加えて、子供の教育です。そして、それは英語教育と異文化交流を意味して、多くの人はインターナショナルスクールに通うはずです。試しにドバイで少し調べてみたのですが、以下、詳しい方のnote記事によると、イギリス系・アメリカ系・国際バカロレア系のインターから選ぶ流れのようです。一貫して田舎の公立だった自分には、全く分からない世界です…

授業料はMAX数百万円/年で、人種はバラバラですが、意外と学校によって偏りがあるようです。英語が苦手な生徒だと、ESL (English as a second or foreign language)という英語支援のコースも用意されているみたいですね。人気度や年齢によっても異なりそうですが、基本的には、成績表の英訳などを準備したり、必要に応じてアセスメントを受ければ入れると認識しました。

本当にその価値はあるのか?リスクは無いか?

で、冷静に移住の価値ですが、最初に資産面でいくと、稼げる人ほど価値はあると思います。株・仮想通貨・不動産投資などで億円単位で稼げるなら、節税インパクトは相当でしょう。また、給与所得で稼げる人の場合も、所得税・社会保険料の節税はかなり魅力的だと思います。

但し、キャリア形成は問題です。私個人はYouTuberやアフィリエイトでも何でも良いのですが、一部の理系や手に職を持つ人間を除き、言語の壁がある現地で高収入を得るのは至難の業です。キャリアが断絶する可能性が高いので、特にサラリーマンは躊躇するでしょう。そもそも増やす種銭もなく、移住することで給与所得が減りキャリアも断絶するなら、デメリットの方が大きいかもしれません。

他方で、子供の教育目線では、基本はメリットばかりだと思います。少子高齢化が進む日本では、英語を話せて国を問わず活躍できる人材の価値は高まるばかりで、将来の選択肢も確実に拡がるはずです。

要注意と思うのが、帰国子女になった後の出口戦略です。前提として、英語を自然に学ばせるには小学校までが理想と言われますが、私も同感で、中学・高校はアイデンティティ形成にも関わるので日本が良いかなという意見です。そうすると、中学以降、どうやって日本で教育を受けさせていくのか?というのが重要な気がします。

普通に公立でも良いと思いますが、それだともう書くことがないので、、中学受験についてChatGPTに聞いてみました。そもそも、帰国子女枠がある学校を狙うのか?、一般入試のみの学校でガチンコ勝負するのか?が別れ道のようです。

ChatGPT

想像になりますが、中学受験の直前に帰国して、ガチ勢と戦って一般入試で勝つのはほぼ不可能ではないでしょうか?国語は言わずもがなですし、中学受験の算数も特殊と聞きます。そうすると、中学受験の数年前に帰国して、塾に通うというのが定石のようです。移住先の現地で塾に通うケースもありますが、難関校ほど日本での対策の方が有利と想定されます。一般入試で逆算すると、小学校低学年で海外移住して、高学年になったら帰国というのがベストそうです。

ChatGPT

なお、帰国子女枠で受験できる私立中学のランキングはこんな感じです。地方出身の私でも聞いたことあるような名門が並びます。学校によっては、英語と面接だけで受けられる所もあるようですね。倍率は上位校でもざっくり4倍とかなので、事前に対策して複数受験すれば大丈夫と信じたいところです。

EDUBAL(https://www.edubal.net/edublog/b20220325-13656/#12)

因みに、現地の中学受験向け塾ですが、日本人の多さ(特に駐在員?)に直結しているのか、例えば早稲田アカデミーだと、台湾・シンガポール・ベトナム・マレーシアに海外校があるようです。

英語を自然に覚えた上で、この辺りの出口戦略を上手くこなして日本社会に再適応できれば、その後の受験・就活・仕事でもかなり強い人間になれそうです笑。

グローバリゼーション再加速への"逆張り"

最後はほぼ中学受験の話 with ChatGPTになってしまいましたが、、税制メリットは大きいし、キャリアの断裂や家庭の事情的にも問題ない人は、海外移住を検討する価値はあると思います。

最近、池田信夫さんの「平和の遺伝子」を拝読したのですが、「グローバリゼーションの最終フェーズは、『人のアンバンドリング』」だという一節がありました。人類の歴史上、モノのグローバル化は早くから行われていましたが、金融やITが発達してカネ・情報も国境を越えて動き回るようになり、最後に残っているのはヒトだという話です。そして、昨今の反移民の流れはそれに逆行していますが、長い目で見たら、ヒトのグローバル化も不可逆では?と改めて考えるようになりました。

余談ですが、人類はその殆どの時間(99%以上)を狩猟採集民として移住生活を送っており、日本人が定住を始めたのは縄文時代以降、長い歴史で見れば極めて最近の話です。歴史学者の網野善彦曰く、日本は元来農業が中心の社会(農本主義)であった訳でもなく、「無縁の民」と呼ばれる商人・職人・漁民・芸能民など、特定の土地や家系に縛られず、自由に生きながら経済・文化の発展に貢献した人も多かったという説もあります。日本は農耕社会だというのをよく耳にしますが、移住生活こそ人間の本能に合致しているのかもしれません。

ChatGPT

だいぶ話が逸れましたが、海外移住は、変わらない日本に対する「足による投票」でもあります。シルバーデモクラシーや現役世代にニヒリズムが蔓延していることもあり、投票(voice)による変革には期待できないので、足(exit)で示そうという話ですね。一理あると思います。

さらに話が大きくなりますが、これから日本を建て直す為にも、明治維新の元勲(伊藤博文、井上馨、大隈重信、木戸孝允など)のように海外経験は重要だと思います。自分も出来ることはないか?を自問自答しつつですが、グローバルに強い人間を育てるのは、子供だけでなく日本の将来にも繋がると考えます。その為にも、海外移住は有力な手段ですし、グローバリゼーション再加速へ"逆張り"して、人類が慣れ親しんだ移住生活に戻ってみるのも悪くないのではないでしょうか。

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