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損切りした銘柄達 ~ 高いレッスン料の先に

今回は、失敗した銘柄を纏めてみたいと思います。基本的にどれも失敗した理由は同じで、ネットキャッシュ比率が高いというだけで買ったものの、株価は上がらずに諦めた銘柄群になります。10~20%前後下落して、損切りしました…。しかも、銘柄の時価総額によっては板が薄すぎて、思うように売れないことも焦りました。

高いレッスン料ではあるものの、その後に活きているのでまあ良しとしますが、以下で簡単に振り返ってみます。読んでくれた方々にも、参考になる部分があれば幸いです。

損切りした銘柄達

・太洋基礎工業(1758)
地中障害物撤去・地盤改良など土木工事を得意とする、建設会社です。異常にネットキャッシュ比率が高く、建設業の銘柄にも興味があった為、取り敢えず買ってみました。

しかし、資材・人件費の高騰や、難工事で損も出していて減益。株主還元も普通。技術は凄そうで社会的に大事な企業だと思うのですが、結局、地方にある普通の建設会社といった感じで、株価はゆっくり下降を続けました。定期的に送られてくる、昭和の香り漂う社外報を見つめながら、冷静に投資家は入ってこなさそうだな…と思い、諦めました。

・サンユウ(5697)
日鉄系の鉄鋼2次加工メーカーです。高炉メーカーから母材を仕入れて加工し、自動車をはじめとする最終顧客(需要家)に流しています。この会社もネットキャッシュ比率が高い上に、自分が仕事で関わったことがあった業界でもあり、買ってしまいました。特に、後者が完全にバイアスでした。頭の中で、事業をイメージできることが、儲かることと直結してしまいました。

また、日鉄や鉄鋼商社が大株主になりますが、週刊ダイヤモンドの特集で、日鉄の政策保有株における売却候補として挙がっていました(USスチール買収資金の確保)。鉄鋼全体に言えるのですが、業界の慣習で、政策保有銘柄が数多く存在します。サンユウも例に漏れず、社長は日鉄出身の天下りで、日鉄には頭が上がらないようです。しかも、社長の保有自社株数を見たら自分より保有額が少なく!、株主なんてどうでも良いことを確信して、損切りしました。東証は、こういう会社のお尻を叩いているんだと思います。

・CKサンエツ(5757)
日本トップの黄銅棒・黄銅線メーカーで、住宅・設備、電気・電子機器、自動車、宇宙航空など幅広い分野で使われています。単純にニッチトップでネットキャッシュ比率が高く、社長も銀行出身の創業家でメディア露出もあり、どこか期待できそうだったので購入しました。

失敗したなと思うことは、2つあります。まず、ネットキャッシュ比率が高いと言っても、在庫などの割合が多く、現預金は少なかったことです。配当性向15%のショボい株主還元を強化する原資は、実はあまりないということが後から分かりました。もう一つは、良くも悪くも従業員重視の会社であったことです。CKサンエツは地元富山で人気で、働きたい企業ランキング常連の会社でした。ですが、冷静に考えると、株主を軽視している裏返しのような感じがして、株主還元は期待できないなと思い、損切りしました。

・HKS(7219)
マフラー・サスペンション・ターボ関連製品など、自動車部品の会社になります。自動車部品銘柄の中でネットキャッシュ比率が超高い銘柄の1つで、海外でも頑張っており、車好きのエンジニアが集まる優良企業です。

ですが、やはりこの会社も株主の方を見ているとは思えず、株価はずっと軟調でした。加えて、逆張り的な期待はあったものの、内燃機関銘柄というのも良くなかった気はします。気にし過ぎは良くないですが、ある程度はトレンドに乗る重要性を感じました。

・DMS(9782)
DM発送代行首位の会社で、その他にもイベント・プロモーション関連のビジネスもやっています。サービス業の銘柄も保有してみたくて、その中でネットキャッシュ比率が高くて目を引きました。

結果、シンプルにコロナ銘柄でした。主力のDM発送もそうだし、イベントもコロナ関連で大型受注していたりして、今期予想は普通に減益となりました。ゴルフ・バイク・フィッシング関連なんかもそうですが、コロナ特需が剝げ落ちた銘柄は辛いと思います。改めて、将来の業績が大事なのを学びました(直近は株価戻していますが)。

高いレッスン料を払って得た教訓

最後に、これらの失敗を通して学んだ教訓ですが、一言で言うと、「割安なだけでは買われない」です。

上記の銘柄は全てネットキャッシュ豊富な、異常なまでに割安な銘柄です。しかし、いずれも半年以上保有していましたが、8月の暴落はあったものの、株価は下がる一方でした。今後数年で見たら盛り返すかもしれませんが、だったら他の銘柄を優先したいと思ってしまう値動きでした。

やはりホームランの確率を上げるには、割安+αが重要だと思います。一番大事なのは成長すること、それから株主還元です。勿論、たまたまラッキーパンチでTOBされて儲けることもあるでしょうが、そんなの予想できないので、成長と株主還元、これに尽きると思います。

余談ですが、その点、清原本は少しミスリーディングだったと感じます。紙幅もあるし、どうしてもネットキャッシュ比率の理論的な説明だけに注意がいってしまうんですよね。中小企業は経営者が9割と、結局は成長の話に行き着くのですが、個人投資家でどうすれば良いの?となるし、まずは割安性だけにフォーカスしてしまうのは致し方ない気がします。ネットキャッシュ比率が高いだけで買い、冴えぬ株価に悶絶していた/している人は、私だけでないはずです。

こう書くと、当たり前のことしか言っていないのですが、、身銭を切ることでやっと腑に落ちるという事かと思います。小型株投資1年目(まだ終わっていないけど)は空振りばかりになってしまいましたが、来年以降ホームランが出るならば、無駄ではなかったと思えるはずです。かけがえのない教訓を得ましたが、忍耐の日々は続きます。

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