![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152687656/rectangle_large_type_2_c87d77738bf8fef728676482ec62529b.jpg?width=1200)
システム開発AIプラットフォーム『Jitera』を徹底レビュー
最近、システム開発系のAIサービスの動きが活発になってきています。元システムエンジニアとして、私はずっとこの分野をウォッチしてきました。この度、以前参加した展示会から興味を持っていた『Jitera』に直接触れる機会がありましたので、そちらをレビューしていきたいと思います。
Jiteraは、FigmaのUIデザインからWEBアプリケーションをAIで生成できるサービスです。(要件定義書や既存のプロジェクトからも作成可能だそうです!)要件定義の作成・システム設計書の作成・ソースコードの作成を自動化することで、開発コスト削減、開発スピード向上、手戻りコスト削減を実現しています。具体的には、開発コストを50%削減、開発スピード3倍、手戻りコスト30%削減の効果があるとのことです。(公式ページより)
完全に余談になりますが、私がシステムエンジニアとしてのキャリアで最初に携わったのが在庫管理システムでした。そこで、当時を思い出しながら、今回は在庫管理アプリを作ってみることにしました。
Jiteraとは何か?
Jiteraは、AIの力を最大限に活用してソフトウェア開発の全過程を自動化する新しい開発プラットフォームです。開発者が普段行う複雑な設計やコーディングの多くを、AIが代わりに行うことで、開発のスピードを大幅に上げます。
私はAIと人間の協働について、会社でもSNSでもこのnoteでもよく話しているのですが、Jiteraもまさにその体現の一つで、エンジニアの仕事の本質を変化させる可能性を秘めています。
例えば、データベース設計やAPI設計といった基礎的かつ時間のかかる作業をAIがスピーディに行います。これにより、エンジニアはAIが提案するアウトプットをスタートとして、より深いUXなどの検討や最適化に時間を割けるようになります。また、全体のアーキテクチャ設計やビジネスロジックの実装など、人間の創意工夫が必要な部分に集中できます。つまり、JITERAの真価は単にタスクを自動化するだけでなく、エンジニアがより価値の高い仕事に注力できる環境を作り出すことにあるのです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152869399/picture_pc_1207113f96d4d438952de35e7b974d5e.png?width=1200)
また、Jiteraは、デザインツールFigmaやバージョン管理ツールGitHubなど、普段使っているツールともスムーズに連携できるため、今までの開発の進め方を変えずに効率化できます。
Jiteraを使うと、要件定義やデザインを入力した後、AIが自動でデータベース、処理の流れ、API設計を行い、最終的なアプリのコードを作ります。これにより、開発者はより短時間で質の高いソフトウェアを作れ、素早く市場に出すことができます。
個人的に一番魅力を感じているのは、仕様書とシステムがセットになっていることです。システム開発現場でよくある、「定義書や仕様書に書いてあるのに処理が抜けていた」とか、「システムを運用中に仕様がわからず、プログラムを読むしかない」といった問題を避けられます。
Jiteraを使った開発プロセス
ここからは、Jiteraを使用した開発の全体的な流れを説明します。
プロジェクトの作成
まずは、在庫管理アプリ「Stock Admin Apps」プロジェクトをJiteraで作成します。プロジェクトの設定では、バックエンドやフロントエンドの技術を選ぶことができます。例えば、バックエンドにはNestJSやLaravel、フロントエンドにはViteやReact Nativeなどの選択肢があります。今回は、バックエンドにRuby on Rails、フロントエンドにNext.jsを選びました。
この段階で、プロジェクトに合った技術を選ぶことが、後の開発をスムーズにするためのポイントとなりますね。設定が終わったら、次はデザインを取り込む作業に進みます。
![](https://assets.st-note.com/img/1725124646551-OU06X7ocUC.png?width=1200)
Figmaデザインのインポートとユースケース生成
Jiteraの面白いところは、Figmaとの連携がとてもスムーズなことです。Figmaで作ったデザインをJiteraに取り込むと、AIはそのデザインを解析して、自動的にユースケースを作ってくれます。
今回、私はUIデザインは不得意なので、自分でデザインを作る代わりに用意してもらったFigmaのデザインを使いました。これをJiteraにインポートすると、AIは画面の構成や要素を分析し、それらがどのように使われるかを推測してユースケースを生成してくれました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152687182/picture_pc_dba615651c6b21ae7c73cdf1d6270dd8.gif)
ユースケースには、以下の動作を決めるために必要な情報が含まれています。
誰がシステムを使うのか(アクター)
どんな条件が必要か(前提条件)
どんな順序で操作するのか(メインフロー)
何か問題が起きたときどうするか(代替フロー)
操作が終わった後どうなるか(終了後の状態)
![](https://assets.st-note.com/img/1725124857945-VH5ciyoENZ.png?width=1200)
正直、こんなに詳細なユースケースが自動生成されるとは思っていませんでした。普通なら、これらを一つ一つ考えて書き出さなければなりません。おそらく1つの画面で何十分、もしかしたら何時間もかかるかもしれませんが、それがボタンを押してわずか数十秒で出来上がってしまいました。しかもそれが一気に並列処理でです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152687361/picture_pc_cfd6b31693fe40c020efc9b58ec9386f.gif)
10個のユースケースを処理して1つだけエラーになってしまいましたが、もう一度実行したらすぐ成功に変わりました。リトライもその項目を選んで、たった2クリックだけで簡単です。
必要なユースケースの処理が全て完了したのを確認したら、次のステップに進みます。
データベース・ビジネスロジック・APIの設計とコードの生成
ユースケースのチケットを基にして、データベース・ビジネスロジック・APIの各チケットが順次作成されます。このプロセスでは、ユースケースが設計の出発点となり、それに基づいて必要な各コンポーネントが自動的に構築されていきます。
生成された各チケットは、画面上に一覧表示され、内容を確認することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1725125693676-jImFAf7Xn4.png?width=1200)
ここの操作もボタン一つです。ただし、バックエンドのチケットでは、UIデザインからAIが推測したビジネスロジックのレビューが必要となりました。開発者はこれらのロジックを一つ一つ確認し、問題がなければ「Approve all」ボタンを押して一括承認することになります。これにより、データベース、ビジネスロジック、APIの各要素が期待通りに機能するように生成させることができます。
もちろん、一つの部品だけロジックを再生成したり、自然言語で直接編集も可能です。チケットの内容を確認して、期待と異なる場合は、Editボタンから変更できます。
また、これらのチケットの作成の裏で、コード生成も進んでいきます。全ての処理が終わると、データベース・ビジネスロジック・APIの各仕様書とコードが生成されています。
生成された仕様書の確認
データベース設計の確認
チケットの処理が一通り完了した段階で、データベース設計を見てみました。Jiteraは、自動的にER図を生成し、データベースの構造を視覚的に確認できるようになってます。ここでは、テーブルの正規化やリレーションシップが適切に設定されているようです。
私はDBMSは特に指定されていませんが、ER図を見るとMySQLが使用されているのではないかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1725125113209-6G91eubDzJ.png?width=1200)
API設計の確認
次に、ユースケースに基づいてJiteraが自動生成したAPI定義書を確認しました。概要説明、リクエストタイプ、エンドポイント、パラメーター、バリデーション、そしてレスポンスコードと、必要な内容がすべて揃っており、呼び出されるビジネスロジックも明示されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1725125253681-jn5WXBD5Xx.png?width=1200)
ソースコードの確認
最後に、ソースコードの確認です。
事前にGitHubリポジトリを作成して設定していれば、この時点でGitHubにプルリクエストが出されています。(GitLabも選択できるようです)
![](https://assets.st-note.com/img/1725125424614-zR9rqUIYYz.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725125510373-WK4scyQk8x.png?width=1200)
環境定義は特に指定していないのですが、開発用・テスト用・ステージング用・本番用とあらかじめ4つ揃っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1725125350911-yFkBqMMgmv.png?width=1200)
コードの確認を終えたら、最後に、生成されたコードを任意の環境にデプロイし、アプリケーションを稼働させて、テストをするだけです。
まとめと今後の展望
今回、プロジェクト名やリポジトリ名を除けば、キーボードを一切使いませんでした。内容を確認してボタンを押す、また次の内容を確認してボタンを押す、その繰り返しです。手作業に取られる時間はほぼなくなり、頭を使うことに全集中できました。
Jiteraを活用することで、アプリ開発は従来の手法と比べて大幅に効率化されます。要件定義からコード生成までを自動化することで、短期間で高品質なアプリケーションを市場に投入することが可能です。
今後もさらに、Jiteraの継続的な機能拡充により、今後もさまざまなアプリケーション開発がより効率的に行えるようになるでしょう。
私として期待するところとしては、定義書・仕様書のローカライズです。AIにとっては英語が1番解釈しやすいのですが、やはり日本企業のプロダクトオーナーは日本語ネイティブであることが多いので、日本語での出力されているといいですね。
この記事が参考になりましたら、ぜひJitera公式サイトよりお問い合わせください。