【プロット】子ども部屋にいるブラコンのファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーである愛子は、史郎の家に遊びに来ていた。
兄史郎は幼い頃から寡黙で、人と接するよりも一人で本を読む暮らしを好んだ。
大学では東洋哲学を専攻し、研究者として論文も発表している。
結婚した史郎を追いかけ、愛子は子どもと遊ぶため、と言ってたびたびやってきた。
人の一生に寄り添い、適切にアドバイスをする仕事にも満足していた。
妹として、兄の性格を誰よりも理解していると自負していた。
「お兄ちゃん、今度投資の資料持って来るね。
専門家に任せておけば大丈夫よ」
史郎は軽く頷いただけで、本に視線を落としたままだった。
時々話をしにくるだけで充分に幸せだった。
史郎が新しい論文を発表するたびに、それをまとめ出版社に持ち込んでいるのも愛子だった。
哲学書はなかなか売れなかったが、一般受けするように自らも原稿を書き、工夫していた。
史郎も、他人が同じことをしたら怒ったかもしれないが、愛子には寛容だった。
机に向かったまま微動だにしない兄。
視野の隅に捉え、愛子も少しの間本を開いた。
こんなひとときが好きだった。
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