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【プロット】子ども部屋にいるブラコンのファイナンシャルプランナー

 ファイナンシャルプランナーである愛子は、史郎の家に遊びに来ていた。
 兄史郎は幼い頃から寡黙で、人と接するよりも一人で本を読む暮らしを好んだ。
 大学では東洋哲学を専攻し、研究者として論文も発表している。
 結婚した史郎を追いかけ、愛子は子どもと遊ぶため、と言ってたびたびやってきた。
 人の一生に寄り添い、適切にアドバイスをする仕事にも満足していた。
 妹として、兄の性格を誰よりも理解していると自負していた。
「お兄ちゃん、今度投資の資料持って来るね。
 専門家に任せておけば大丈夫よ」
 史郎は軽く頷いただけで、本に視線を落としたままだった。
 時々話をしにくるだけで充分に幸せだった。
 史郎が新しい論文を発表するたびに、それをまとめ出版社に持ち込んでいるのも愛子だった。
 哲学書はなかなか売れなかったが、一般受けするように自らも原稿を書き、工夫していた。
 史郎も、他人が同じことをしたら怒ったかもしれないが、愛子には寛容だった。
 机に向かったまま微動だにしない兄。
 視野の隅に捉え、愛子も少しの間本を開いた。
 こんなひとときが好きだった。


「利益」をもたらすコンテンツは、すぐに廃れます。 不況、インフレ、円安などの経済不安から、短期的な利益を求める風潮があっても、真実は変わりません。 人の心を動かすのは「物語」以外にありません。 心を打つ物語を発信する。 時代が求めるのは、イノベーティブなブレークスルーです。