【プロット】爆発しそうな苛立ちを抱えたお嬢様が、家畜小屋で何をする
「馬小屋の聖家族かよ」
飼い葉桶を両手に下げて、よろけながら歩く。
動物には付き物だが、糞尿の臭いがきつい。
ご当地アイドルとして売り出し中のSEILENのリーダー、香は息がつまる思いだった。
「ウンが付くってか」
グニャリと足元が少し滑った。
踏んだのかも知れない。
早く飼い葉を置いて退散するために、脇目も振らずに小走りに行き来する。
不意に、横から滝のような音がした。
「ぐわっ」
思わず横っ飛びに躱した。
小便は馬の脚を濡らしているし、大きな水たまりを作っている。
不衛生極まりない。
馬の目がかわいいなんて、誰が言うのだろうか。
怒りのボルテージは上がる一方だった。
SEILENの人気は上がりも下がりもしない。
こんな思いをするなら、いっそのこと解散してもいいが引き際も来ないのだ。
売れないアイドルグループは仕事を選べない。
民放でも、メディアで取り上げられるだけマシだった。
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