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犬に蹴り(ドキュメンタリーポエム?←※ゴメス命名/『日刊SPA!』他より)

下手すりゃ、然るべき団体からバッシングの嵐を受けかねない内容ゆえ、これまでこのnoteで紹介するかどうか…いささか迷ってはいたのですが、
悩みに悩んだ挙句、今回掲載に踏み切りました。

もう10数年以上も前に発表した、
実話に基づいた散文詩(?)であります。

「小説」「コラム」「エッセイ」「ルポルタージュ」…どれに分類すれば良いのか、
判断に困ってしまったので、

「ドキュメンタリーポエム」

…という新しいジャンルを勝手につくってみました。

最初は『日刊SPA!』に寄稿したのですが、

「これがゴメスさんの作品のなかで一番好き!」

…と、言ってくださるヒトが複数実在したため、
その後もいくつかの媒体で転載しております。

もちろん、ぼくも…完璧なるタイトルから本文のリズム感、「おかしみ」と「かなしみ」と「自己主張」のバランスに至るまで…過去作品のなかでは
5本の指に入るクラスに気に入っています。

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代官山あたりにある、ペットOKのカフェで
原稿を書いていた。

 すると、飼い主の足元にいた
一匹のダックスフンドらしき犬が、
私のほうに近づいてきて、
私のすねに噛みついた

痛っ!

と、思わず私は軽く叫び声をあげ、
反射的に、その犬に蹴りを入れた。

 振り幅が20cmほどしかない
小さな蹴りではあったものの、
足の甲がモノの見事に犬の腹を直撃する、
じつに無駄のない効果的蹴りだった。

 もし、犬がサッカーボールだったら、
さぞかし綺麗なパスが通っていたことであろう。

 その犬は、ギャウンギャウンと吼えながら、
床を転げ回っている。

 いっせいに店内の視線が
私のほうに集まるのを感じた。

ワンちゃん、かわいそう…。

信じられなーい!

 そんな私への非難の声が、
あちこちから漏れ聞こえてくる。

 さらには事もあろうに、
飼い主の女性がその現場に走り寄ってきて、

犬の頭をよしよしと撫でつけながら、
私の目をキッとにらんでくるのだ。

 ものすごく腹が立った。
 私はこの犬にすねを噛まれたのだ。
まぎれもない被害者なのである。

まいったなあ、もお…
どーすりゃいいんですか、このワンちゃん?

と、ひきつった笑顔をつくり、
噛まれるすねをぷらぷらとでもさせときゃいいのか?

 こう言っちゃなんだが、私は自分のことを、
かなりリベラルな人間だと思っている。

はあくまでであって、
犬以上でも犬以下でもない。

 とくに可愛いとも感じないが、
とくに憎々しいとも思わない。

ペットOKの店ならば、
いたところで別に気にかけることもない。

 だが、自分に向かって攻撃をしかけてきたならば、話は違ってくる。

 反撃するのが当然ではないか!

 自慢のワンちゃんを
公衆の面前にさらすのは勝手だが、
その公衆からの迫害を避けたいのなら、
最低限の迷惑をかけないよう注意を払うのが
飼い主のつとめではないのか?

 もし、人間の赤ちゃんナイフ片手に
よちよち歩きで私に近づいてきて、
不意に私を刺そうとしてきたら、
やはり私は迷わず
その赤ちゃんに蹴りを入れるだろう。

 赤ちゃんにナイフを持たせ、
野放しにするような教育しかしていない
親が悪いのである。

 なにがワンちゃんだぁ? だろ

 ワンちゃんという称号を許されるのは、
今でも王選手だけなのだ!




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