【夢日記vol.10】ヒーローインタビュー
「ヒーローインタビューを受けている夢」
…を見た。
ぼくがプロ野球選手なのか、
草野球選手なのか…はわからない。
でも、ぼくはいずれにせよ、
ヒーローインタビューを受けている。
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──今日のヒーローインタビューは、敵チームの
強力打線を、2回2失点ながらノーヒットという
見事なリリーフピッチングで抑え、今期初の
1勝目を挙げた護牝投手です!
護牝:(はにかみながらも
片手を軽くあげて大歓声に応える)
──ナイスピッチングでした!
護牝:あ、ありがとうございます…。
──今回は、このチームでの初登板ということで?
護牝:いや、このチームどころか、
人生初のマウンドです。
──そーなんですか!?
護牝:いや…小学校の頃、三角ベースの手打ち野球でなら二度ほど投げたこともあるんすけど。あのときは味方チームも僕を含めて3人しかいませんでしたし。
正確には、ダイヤモンドベースの野球では
人生初ってことですね。
──OH! なんてメモリアルな!!
登板前はさぞかし緊張したことでしょう?
護牝:はい。試合開始3分前に先発を監督から
告げられたときは、「ぜってーウソだろ!」と、
買ったばかりのファーストミットで
キャッチボールをしてました。
──ところが、それは
ウソでも冗談でもじゃなかった…と?
護牝:そーなんですよー。どうやら本気っぽいので、残りの約2分くらいで急いで肩をつくりました。
──マウンドにあがったときのお気持ちは?
護牝:もう頭の中が真っ白で。でも、トップバッター
をどうやって打ち取ったかすら覚えてないのですが、
とにかくワンナイトを取ることができて…
ちょっとだけ気分が落ち着きました。
──「ワンナイト」ではなく
「ワンナウト」ですね(笑)?
護牝:そうです!「ワンナイト」ではなく
「ワンナウト」です。どうもすみません。
ワンナイト取っちゃったら
歌舞伎町のホストみたいですもんね(苦笑)。
僕、よく「ホストやったら売れそう!」…とかって
言われるんですけど、昔…何度かエッチしたことが
あるセフレ的なオネエさんから
「アンタみたいな筋金入りの女好きは
ホストとか絶対向いてないから。
ホストはね、根は女嫌いが多いの。
だから、女を金づると割り切れるの」
…って言われたことがあるんですよ。
やっぱり、わかる人にはわかるっていうか…。
──こーいう場でそーいうデリケイトな話は
やめましょう。初回、5つのフォアボールなどで
危ないシーンもありましたが?
護牝:結果的に2点取られちゃいましたしね。
なるべくフォアボールは出さないように
頑張ったつもりなんですが…。
「ストライク打たれるのは全然OK!」って
自分に言い聞かせながら投げてたんですけど。
一球だけスローカーブを投げてみたんですが、
きわどいコースでボールになっちゃって…
そこからはもう、カーブは怖くて
投げることができませんでした。でも
「初体験だからしょうがないわよね♡」
…と途中から開き直って、
とにかくポールでもいいから
テンポ良く投げることを心掛けました。
──あの球はただのスローボールじゃなくて
「カーブ」だったんですね?
あと「ポール」ではなく「ボール」ですね!?
護牝:そうです。「ポール」ではなく
「ボール」です。ちなみに僕はどちらかと言えば、
ポール派ではなくレノン派です。
──なんでポールはファーストネームで
レノンはファミリーネームなんですか?
護牝:いや、ジョンだとビートルズの話をしてるってことが皆さんに伝わりづらいのでは、と思って…。
──そんな余計な心遣いはしなくていいです。
ところで、今日のピッチングのポイントは?
護牝:やはり2回に左バッターが打った強烈な
ライナーをファーストが見事にさばいてくれた
ダブルプレイ…ではないでしょうか?
あれがなければ、1勝どころか、おそらく
一生トラウマに残ってしまうほどの
精神的ダメージを受けるくらい、
ボロボロに崩れちゃっていたような気がします。
──さりげなく「1勝」と「一生」が
韻を踏んでますね?
護牝:まったく気づいていませんでした。
マジ偶然だから!(紅潮。かなりムキな口調で)
──次の回は「フォアボールをもう一回出したら
交代」と宣言してマウンドに上がったにも
かかわらず、いきなりのフォアボール後、続投を?
護牝:やはり、本名が「勝也」なもんで、
こういう場面ではつい負けん気が出てしまって…。
「名は体を表す」ってやつですか?
──「ゴメス」は本名じゃないんですか?
護牝:ゴメスってのは本来、名字なんですよ。
だから、本名だったら「山田田中」みたいなもん
ですから。ちなみに、帰化用(ペン)ネームの
「護牝」は「メスを守る」という
意味合いを込めてみました。
──どうでもいいミニ知識ですね。ところで、
一塁ランナーへの牽制球はワンバウンド
しちゃって、とても中途半端でした。
護牝:一度、牽制ってやつをやってみたかったんですよ。でも、プレートの外し方がよくわからなくて…。
そもそもセットポジション自体よくわからんのです。
1回の攻撃の最中、あわててチームメイトに
教えてもらいました。
──ピッチング練習は、
ずっとやっていたのですか?
護牝:はい。試合が終わるごとに、最後の残り時間を
利用して、独りで黙々、壁に向かって投げてました。
あと、夜中にマンションの横にある
駐車場の壁にガムテープで丸印をつけて、
そこに向かって投げていました。
──まるで谷口クンですね?
護牝:いや、どちらかと言えば、イガラシが入部
してきて、レギュラーを外されてしまいながらも、
陰でこっそり練習していた丸井のイメージで…。
──はあ…じゃあ丸井ってことで。そろそろ時間
もなくなってきましたので、これからの護牝選手の
ピッチングの課題を教えてもらいたいのですが?
護牝:とりあえずセットポジションを完全に把握することと守備ですかね。今回は幸いにも機会がなかったのですが、ファーストゴロのときのカバーや
バントシフトとかになったら、
もうてんやわんやですから。
あと、置きにいかない、腕を思いっきし振ったボール
も意識的に投げれるようにして、それが結果的に
チェンジアップ効果につながれば、と。
それに、できればもう一種類、なんでもいいから
変化球が投げれるようにしたいですね。最終的には
左殺しのワンポイント要員を目指したいです。
──なるほど。スローボールにプラス
もう一種類の変化球ってことですね?
護牝:「スローボール」じゃなくて
「スローカーブ」です!
──失礼しました。
それでは最後に一言、日本語でお願いします!
護牝:神サマハ、ワタシノ味方デース!
──ありがとうございましたー。
Gジィ選手でした!
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…というところで目が覚めた。
この日の数日前──ぼくはたしかに
所属する草野球チームで…
2回2失点ながらノーヒットという
リリーフピッチングをして
その裏にチームが逆転し、
人生初の勝利投手になっていた。