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【(メタ)夢日記vol.12】恵比寿のキレイな薬剤師さん(後編)

(※前半から続く)

ある日──朝起きたら…
左目が痒くて、鏡を見たら

「真っ赤っかに充血」

…していたので、

「これはいかん! 
結膜炎だ!!
放っておいたら
大変なことになる!!!」

…と、早急(さっきゅう)
喜び勇んで、例の恵比寿ドラッグストアへと、
一目散に走った。
もちろんのこと、「前編」に登場した

「キレイな薬剤師のお姉さん」

…に会える、絶好

「大義名分」

…ができたからだ。

「結膜炎に一番効く目薬はどれなのか?」

「一日に何回まで差すのはありなのか?」

「目薬以外に日常生活で
気をつけることはないのか?」

「なにが原因で
こんなことになったと思われるか?」

「やはり眼帯もしたほうがベターのか?」

「したほうがいいなら…
どの眼帯が一番オススメか?」

「その理由は?」

「右目にうつる心配はないのか?」

「人にうつる心配はないのか?」

「聞きたいこと」
百でも二百でも思いつくことができる。

そんな続々頭に溢れ出てくる
いろんな質問…の体(てい)を成した

「ナンパトーク」

…の順序や…
それをぶつける場所などを、緻密

「シミュレイト」

…しながら、わりと全速力
ドラッグストアへと走った。

それにしても、

「薬剤師」

…という肩書きは、
なんて素晴らしい響きを帯びているのだろう。

「素晴らしすぎる!」
「完璧だ!!」

──「理系は女子が少ない」…みたいな

「先入観」

…に、いまだ囚われている我々世代にとって、
「薬剤師」という肩書きは…
「リケジョ」として

「インディペンデンス」

…な部類に属するがゆえに(か?)──

「美人女医」…よりも断然と、
絶妙なリアリティに溢れているのだ。

「女医」さんと違って、「(女性)薬剤師」さんは、
街の薬局に行けばすぐ出会えるわけだし…。
いわゆる、

「会いに行けるアイドル」

…ってヤツである。

…と、そんなことも考えながら、
ようやくドラッグストアに到着すると…

「おばちゃんの薬剤師」

…が2人──カウンターまわりの掃除をしていた。

店内を見渡してみても、

「薬剤師の君」

…の姿はない。

「結膜炎なんか
水で洗っときゃ治んだろ!」

…と、なにも買わずに
ドラッグストアをあとにした
ぼくなのであった。

その後…
ちょっと頭が痛くなったり、
飲み過ぎて胃が重くなったり、
軽く足首を捻ってしまったり、
顎のあたりがひげ剃り負けしてしまったり


…するたびごとに、しばらくの間

「恵比寿のドラッグストア」

…へとひた走る日々を過ごしたぼくだが…
「薬剤師の君」とは、結局のところ
一度も出会うことは無かった。

なにか大病でも
患ってしまったのだろうか?

それとも…

「なんか、思ってたのと違〜う!」

…なんて風に、イマドキの若者よろしく(?)

早々と退職してしまったのか?
(※真っ当に推測すれば、
単にたまたま「研修」として
数日この店に配属されただけ…
なんだろうけど?)

そんなネガティブな想いを
抱きながら…ぼくは胸を痛めている

ぼく「そう。胸が痛くてたまらないのです」

お姉さん「どういうときに痛くなるんですか?」

ぼく「貴女に会えないとき、チクリと痛むのです」

お姉さん「あら…」(紅潮)

ぼく「貴女こそが私の特効薬なのです」

お姉さん「まあ…!」(紅潮)

「ネガティブ」のなかから、こんな

「ポジティブ」

を穿(ほじく)り出すような

「妄想」

…を楽しむぼくは…

「少年から…ただのキモいおっさん」

…へと、明らかに
なり下がり始めている…
だけなのであった。

(了)

※冒頭サムネール写真は本文とは関係ありません。

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