見出し画像

①「自己紹介」とは。

いちばん実感がないのは僕自身である。

「今年中にアルバムを出す!」と宣言し続けて十年が経過した。

あの頃は20歳。社会人になってすぐ。
それから早くも十年。

一つ目に勤めた地元の会社を退職し、「人生の夏休み」を満喫して、現在は福祉職員として毎日楽しく労働している。

マネージャーのまゆみんより「noteをやるならまずは自己紹介」と言われ、毎日「自己紹介とはなんぞや・・・」と迷いながら〆切の前日になった。

芸名、というかペンネームというか、創作活動に於いては「山田喜大(やまだ よしひろ)」と名乗っています。(本名は少しだけ違うのだ)
年齢は29歳。今月30歳になります。

 子どもの頃、三十路なんて「マジで大人!人生の酸いも甘いも味わってる人間玄人!」ぐらい遠い未来に思えていたけれど、いざ自分がその年になると普通。

成長も退化もしてない。
むしろ幼い頃からの「悪い癖」がより強烈になってる感すらある。困ったものだ。

「悪い癖」は創作活動にも影響を及ぼした。

憧れてた30歳だし、記念だし、曲も書き溜めているし、そろそろ「挫折を覚えた二十歳の頃の自分を成仏させてあげよう」なんて軽はずみな気持ちで十三駅近くにある馴染みのスタジオに足を踏み入れた途端にテンションが上がってしまい、想像の斜め上を行くアルバムを作ってしまった。

ニュースでよく聞く所の「モヤモヤしてやった」。または「ほんの出来心です」って具合。

思えば去年の春に東京で役者をしている”弟”から「自主制作に近い映画を撮るんですけど、よっくん(皆もそう呼んでくれ。Call me YOKKUN)主題歌を作ってくれませんか?」と依頼を受けた僕は「まあ。俺も大人やし、そこまで生活も切迫してないから一回ぐらいちゃんとしたスタジオで、アレンジも綺麗にしてもろて、いい感じの音源を作ろう」なんて勢いのまま都会に出たのだった。

十三にあるスタジオ「Smile Music Lab」のことはYoutubeで偶然見かけた”歌ってみた動画”で知った。整然としており、明るい雰囲気を感じた。

高校生時分、青春という名のバイクを吹かしていた頃に通っていた地元のリハーサルスタジオは「ザ・田舎のスタジオ」だった。

タバコのにおいが染みつき、多数の落書きが壁に刻まれ、退廃的な空気を駐車場まで放つ。
(おまけに隣近所は場末のスナックが並ぶ)

若い頃はそれで良かった、むしろ居心地が良かった。そこで出会った友達もたくさんいるし(前述の”弟”ともそこで初対面を果たした)、ハングリー精神培養工場的な空気感は、若かりし頃の何の疑いもなく成功を夢見ていた僕にとっての居場所だったとも思う。

しかし、時は流れて今は大人だ。
社会に出て精神的往復ビンタを受け、逆水平チョップも食らった。
平穏無事が好ましいし、健康第一。甥っ子や姪っ子の成長に目を細める今日、この頃。

今や僕はヘルシー・アダルト。
退廃的な雰囲気なんて皆無。

そうして見つけた十三のスタジオ。
アレンジャーの吉田さんはとても優しく、大らかでとにかく姿勢がいい。
眼差しは柔らかく、声もチャーミング。
レコーディング中のディレクションも、人見知りの僕に気遣い終始穏やかに進めてくださった。

先ほどの映画の主題歌を無事に納品することが出来た僕は、味を占めて毎月のように十三に通った。

「”歌ってみた”をしてみたら?」という弊社代表のアドバイスに則り、弾き語り動画をYoutubeにアップロードしたり、2013年に書いた曲に10年越しのアレンジを施してもらいレコーディングしてみたり・・・。
挙句の果てには「ああ!二十歳の時から半分ネタみたいに言うてたアルバム、ほんまに作ってみよかぁ~」と、制作に乗り出した2023年の下半期。

結論から言う。完成した。

そして冒頭に戻る。
「いちばん実感がないのは僕自身である」

未だかつて、自己紹介がこんなにおぼつかない大人がいただろうか。

 御免。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?