映画の特質と政治性
映画の意味が分かればすぐ忘れられる(吉田喜重)
吉田喜重は「明確なメッセージを持つ映画は私には作れない。映画は全体主義のプロパガンダとして利用されたから」とも語ったという。
映画に限らず、人は芸術作品の意味を探しがちだ。
では、映画の特質とは何か。
それはロゴスにはない――台本、台詞にはない。映像そのものにある。
吉田喜重は映画の持つ政治性に気づいていた。映画作品制作を統率する最高責任者としての映画監督は、現場においてメガホンを持っているだけで、それだけで政治的存在である。その自覚が作品の政治性の気づきへとつながっているのかもしれない。
映画の中で演台が映り、さらにヒトラーがアジ演説するところにズームインしていくならば、それを見る者の心に何が映るか。火を見るよりも明らかであろう。
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