「整音と音作りのコンプ」セルフMixしたい人が読む記事(12)
今回はボーカルトラックにインサートするコンプについてです。
初級
1個目のコンプ
掛かり方が目に見えるコンプを使います。ピークをわずかにコンプレッションします。このコンプは2個目以降のコンプより浅くかかります。
2個目のコンプ
IRONでアタックとリリースを左から2番目、スレッショルドは針の揺れ方と耳で聞いて「わずかに掛かっている程度」を目指します。サビは音が大きくなるのでメロよりも針が左に触れればOKです。
中級
1個目のコンプ
2個目のコンプが過剰に反応しないようにするために整音のコンプをかけます。リリースとアタックは時に逆転するかもしれませんが基本のアタック:リリース=1:1~10を守るのが無難です。整音のコンプなのでレシオは深くてもかまいません。
2個目のコンプ
IRONである必要はありません。コンプのキャラクターを聞き分け、最もリファレンスに近しくなるものを採用します。
上級
コンプにはキャラクターが存在します。ボーカルに合わせてより良いコンプを選べるかどうかが極めて重要です。
1個目のコンプ
整音を行うコンプはキャラクターが薄く、視覚的に扱いやすい物の方が良いことは感覚的にわかるはずです。
整音段階ではトランジェントをコントロールするより整音に力を入れる為、アタックとリリースは遅く、音のアタックはすべて通過させるぐらいを意識します。
2個目のコンプ
使うコンプは組み合わせても構いませんが1つに決めた方が次のMixへの再現性が高まる為オススメです。コンプは全部で4種類(FET、真空管、オプティカル、VCA)それぞれの特徴を動画で学習し、様々なコンプを試しながらそのキャラクターを把握します。
FETとオプティカルは独特のキャラクターを持ち比類なき強さがあります。真空管はアナログを代表するサウンドで根強い人気があります、VCAは現代のコンプで4種類の中で最も柔軟性があり私も愛用するコンプです。
メイクアップで音圧を均一にしてキャラを聴く
オプティカルなどは設定が極端に出てそのキャラクターを聴く前に音圧で良し悪しを判断してしまいがちです。そこで必要になるのがメイクアップによる音圧の均一化で他のコンプと音圧をそろえて聴きます。
コンプの操作
2個目のコンプは1個目のコンプよりも深いスレッショルドになることは間違いありません。まずはレシオを最大にしてスレッショルドをさげてかかり方を聴きます。次にアタックです。深いレシオでスレッショルドを下げ、早すぎるアタックから徐々に遅くしていきます。リリースはアタックと同じ時間から始め、おおよそアタックが決まったところでリリースをアタックより早くします。すると出音以外の音がコンプレッションされ音が均一化します(=レベリング)。この状態からさらに設定を詰めてトランジェントに予測が経ったらリリースをアタックの1倍~10倍までで調整します。遅すぎるリリースは音が急に小さくなり、大きくなることを繰り返します(=ポンピング)
その後レシオを調整しますが、レシオのノブを回してうまくいかない場合はMixノブを回してコンプのかかり方を調整します。(=パラレルMix)
私はMixノブをあらかじめ80%程度に設定しておき、強めの設定を出しておいてから最終調整でMixノブで調整する事が多いです。
マスターコンプ
今回は紹介しませんが、マスタリングのセクションではマスタリングコンプ(マスターコンプ、マスコン)が登場します。そのためこの段階でレシオが深すぎるとマスターコンプで繊細な音作りがしにくくなります。
EQ同様に掛け過ぎない
コンプは視覚的にわかりにくいものが多くパラレルMixを多用します。FLstudioには独自にMixノブが標準装備されているため、Mixノブがなくてもインサートで手軽にパラレルMixを実現する事ができます。
その利便性から現在発売される多くのコンプにはMixノブがあらかじめ搭載されています。現在によみがえる伝説的なアナログコンプにもこうしたMixノブが搭載されることで劇的に使い勝手が向上します。デジタル様様ですね。
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ボーカルMixのご依頼を受けております。機材等々わからない初心者の方にもわかりやすいよう案件を進めさせていただいております。