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「召喚」の問題点 なぜパルテノンはループさせてしまうのか(3/16/2021)#アド速 #デュエマ担当ヤマダ


デュエヤス(デュエマ担当ヤマダです)

今デュエマ界隈で大きな話題となっている、「ゾンビパルテノンループ」。

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《パルテノン》というループコンボ対策のカードを逆利用し、これ以上クリーチャーを出せない状況で0マナの《ゾンビポンの助》を召喚すると、場に出せず手札に戻ってきます。しかし場の《アクア・ティーチャー》の能力は「能力を持たないクリーチャーを召喚」したので誘発し、結果的に無限ドローを発生させてしまうコンボです。

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(場に出れなくても「召喚」さえすれば1ドロー)

今回の主題は、この「召喚」についてです。
そもそも「召喚」とは一体どういうルールなのか。
そして今抱えている問題点とは。
さくっと解説してみましょう。

カギになるルール

701.3a 召喚するとは、クリーチャーを現在あるゾーン (通常は手札)から、コストを支払ってバトルゾーンに出せる状態にすることです。プレイヤーは通常メインステップにのみマナコストを支払ってクリーチャーを召喚することができます。
601.1a プレイヤーは、使用する条件の変更も含め、カードを使うことを宣言します。この時点でカードは元々あるゾーンを離れ、どこでもないゾーンに移ります(通常は手札から)。カードを使う事を禁止されている場合、宣言そのものができません。また、代替コストを支払えない場合も、宣言する事はできません。

(いずれも総合ルールVer 1.22より引用)

「召喚」とは、クリーチャーを場に出すことそのものを指すのではなく、コストを支払って出せる状態にする手続きのことを指しているわけです。

そして、この手続きの最中にあるカードは元のゾーン(通常は手札)を離れ、どこでもないゾーンに置かれます。

409.1. ゲーム中、上記 8 種のゾーン間をカードが移動するときに特別な処理が必要な場合、その処理が終了するまでの間そのカードはどこでもないゾーンに存在します。

これらが、今回のループコンボを生み出してしまった「召喚」と、「どこでもないゾーン」に関するルールです。

抜け穴

先に挙げた総合ルール601.1aでは、カードの使用が禁止されている場合、宣言そのものを行なうことが出来ないと書かれています。
ここでいう禁止とは、《5000GT》や、《ジャミング・チャフ》あるいは《「本日のラッキー・ナンバー!」》などで、「召喚できない」「唱えられない」というように、そのカードをプレイするための挙動そのものを禁止することを示しています。

一方で《パルテノン》の能力は、呪文に関しては唱えることそのものをちゃんと禁止していますが、クリーチャーに関しては「出る」ということのみ制限を掛けています。
結果として、「出せないけど召喚(出すための手続き)は可能」という、不思議な状況が発生します。

このDGフィールドをバトルゾーンに出した時、カードを1枚引く。
すべてのプレイヤーは、各ターン、クリーチャーを3体までしかバトルゾーンに出せない。
すべてのプレイヤーは、各ターン、呪文を3枚までしか唱えられない。

さて、この「出せないのに召喚されたクリーチャー」はいったいどうなってしまうのか。これに関しては公式サイトの「よくある質問」に裁定が掲載されています。


Q《バリバリ・ケドケド》がバトルゾーンにいる状況で、《陰陽の舞》をマナゾーンから召喚したらどうなりますか?

Aバトルゾーンに出すことができないので、マナゾーンに置かれます。その際、元々アンタップ状態で置かれていたらアンタップ状態で、タップ状態で置かれていたらタップ状態で置かれます。また、「スペースチャージ(自然)」の能力を持つクリーチャーがいれば、その能力はトリガーします。
(総合ルール 601.1a)

元の質問はやや特殊なシチュエーションですが、一般化するとこうなります。

バトルゾーンに出すことができないので、元いたゾーンに置かれます。

《ソンビポンの助》の場合であれば、手札から召喚されていれば、手札に戻ってくるということになりますね。

そして、能力を持たないクリーチャーが召喚されることで能力が誘発する《アクア・ティーチャー》が絡むことで、《ゾンビポンの助》を召喚するたびに1ドローできてしまうのに、出せずに手札に戻ってくる無限コンボが完成するわけです。

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現状の問題点

現状抱えている問題点は次のように分けられます。

1:【ゾンビパルテノン】などルールを利用したデッキ個別のパワーレベルの問題(不当に強すぎないか)

2:「出せないが召喚できる」というルールのわかりにくさに関する問題(直感に反するわかりにくい挙動)

1に関しては、今回の記事ではメインの問題にすべきではないと考えています。デッキとして仮に強すぎても、ルール上問題の無い挙動であるのならば、何も言えることはありません。こういった問題には殿堂改訂で対応すべきでしょう。逆に言えば、仮に弱すぎたとしても、ルールに問題があるなら対処すべきです。

肝心なのは2です。そもそも、この挙動はルールとしてどうなのか、という点です。
直感に反するという言葉を使っていますが、特にルールを意識しない状態でこのような特殊な状況に突入した際に、「手札に戻る」と言われてすんなり受け入れやすいかどうかです。もちろん主観に依りますが、個人的にはイマイチです。

上にあげた《バリバリ・ケドケド》に関する裁定では総合ルール601.1aが引用されていますが、このルールには「バトルゾーンに出なかったカードは元のゾーンに戻る」とは明記されていません。601.1aは使用を宣言されたカードがどこでもないゾーンに移動することを説明しているルールです。
(少なくともヤマダは見つけられませんでした。ご存じの方いましたらご連絡ください。)

601.1a プレイヤーは、使用する条件の変更も含め、カードを使うことを宣言します。この時点でカードは元々あるゾーンを離れ、どこでもないゾーンに移ります(通常は手札から)。カードを使う事を禁止されている場合、宣言そのものができません。また、代替コストを支払えない場合も、宣言する事はできません。

その上で、

●「出せない」状況下で「召喚」出来るのは直感的とは言えない挙動ではないか?言うまでもなく、召喚は出すための手続きだ。

●「出せない」状況下で「召喚」されたものが手札に戻るのは自然な現象か?例えば墓地に置かれてもいいのではないか。

このあたりは検討の余地があると考えています。
総合ルールに明記されていないのも、「そもそも想定していなかった」ゆえに暫定の対応にとどまっているからではないかと推測しています。

というわけで、この「召喚」に関する挙動のルール変更が行われる可能性は十分にあると考えています。

それまで市民権を得ていた、いわゆるバトライループに対してメスが入った過去を考えると、なおさらあり得るでしょう。

とはいえ、現状ではルールが変わると断言できるわけではありませんので、ひとまず現行のルールでは「問題なく使える」ということはよろしくお願いします。

実はかなり安価なデッキでもあるので、試しに組んでみるのは結構オススメです。

4/15追記

4/14付で裁定が変更されました。