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カードゲーマーにしか解けない『ウミガメのスープ』問題解説

まだ観てない人は動画見て。あとチャンネルも登録して。
※動画のネタバレを内容に含むのでご注意ください。

Q1『がっかり』

ある男は、高値で手放したカードを安価で再び手に入れたのに、ガッカリした。なぜだろう?

解答
→その男は、当時最強だったあるカードが禁止になると見込んで高値で手放した。直後の禁止改訂でそのカードが実際に禁止になり、ほっとしていた。
その後、男がたまたまパックを開封したところ、その禁止になったカードが出てきてしまったのでガッカリしたのだった。

カードゲーマーあるある、ともいえる出来事をそのまま問題にした。

この問題以外にも、「カードの価格」というのはウミガメ的に結構扱いやすい題材に思える。その評価(市場価格)というのは、さまざまな要因で時に予想もつかない動きを見せるからだ。
この問題ではカードが実際に禁止された場合の値動きが題材となったが、その直前の「禁止になるかもしれない」という状況でも興味深い動きを見せることがある。
普通、強力で人気のあるカードの値段は上がり続けるが、あまりに度を越した強さのカードの場合『活躍すればするほど価格が下がる』現象が時折観測される。デュエマプレイヤーの方にはミッツァイルの事例が記憶に新しいだろう。
そのカードがあまりにも支配的で、多くの人が「これはおそらく規制される」と予想した場合、その見込みに基づいて次々に手放され、価格は下落していくのだ。

たとえばこれを、

そのカードは非常に強力で多くの人に使用されているにも関わらず、価格が下がり続けた。なぜだろう?

というように切り取れば、ウミガメっぽくなる。
「普通そうはならんやろ???」と思わせることはウミガメ的に非常に重要な要素だ。

Q2『食い違う真実』

あるカードの能力をめぐり、2人のプレイヤーの意見が食い違った。驚くべきことに、、どちらの意見も正しかったが、一致することはなかった。なぜだろうか?

解答
→彼らは国境を越え、リモート環境でゲームを行っていた。片方のプレイヤーが午後6時以降に「開発部の守護者 ミッチー」をプレイしたが、時差の関係でもう片方のプレイヤーから見れば能力が無効の時間帯(午前8時以降)だったのだ。

デネブログさんの動画で「事務局に問い合わせなかった質問」として紹介されている事例が元ネタ。

実際のところ、例えばこのシチュエーションがリモート大会などであれば、この辺のわけわかんないカードたちの処遇はあらかじめジャッジにより先回りでなんらかの裁定をつけられることになる。故に大会で同様の状況になったとしても、主張が食い違うような事態は起きない。実際に動画中の質問でも「大会の出来事ですか→NO」と回答している。
つまりは、親しい友人とリモート環境を利用してただデュエマで遊んでいるだけの状況がベースであり、更に言えばこの意味不明な状況自体を「お前ふざけんなよww」と笑いながら楽しんでいるだろう。

動画の中では「知識ゲー」と称された問題でもあり、実際それは問題の出来として100点満点を付けられない難点になっている。ミッチーやクシャルダオラのような効果が不定のカードの存在を知らないことには解きようがない問題なのだ。ただ、そういう難点をキーパリングでなんとかカバーしようとしている部分は結構参考になるんじゃないかな?とは思う。

この問題のキモは「効果がプレイ環境で左右されるカードを、お互いの環境が異なるリモートでプレイするとどうなるか」の1点である。
このニュアンスにさえ近づいてくれれば具体的なカード名は出てこなくても構わないし、あてはまるカードであれば別のカードでも正解にするつもりだった。(実際の回答もクシャルダオラであり、それも正解にした。)
今回の回答者はカードから絞り込むアプローチを選んだが、その方向だとどうしても時間がかかる上に知識頼みになってしまう。そこで何度か「状況が重要」というようにヒントを出して方向転換を促している。

キャプチャ

ルールとしては出題者は質問にY/Nで答えるのみだが、回答者が躓いているようならやはり助け舟は出すべきだと思う。それは直接的なヒントでもいいし、答え方のニュアンスに意味を含ませたりして「さりげなくヒント出してる風」(実際にはあからさまで構わない)など、やり方はいろいろある。
いい問題というのは、解ける問題のことだと思う。そして、自分の塩梅で「いい問題」にすることだってできると思う。

あと余談だけど、ミッチーは今の環境だと普通にドラグナーで出せてマジで強そうだよね。っていう話を18時以降にやるCSの運営に話したら「ルールで潰すの忘れてた!」って言われて潰されました。そらそう。

Q3『ある男の決断』

ある男は、自分に選択肢が3つ与えられているのにも関わらず、そのうち2つだけを検討し1つを完全に無視していた。なぜだろうか?

解答
→彼の名はZweiLance。
2019年度の全国大会出場者が招待された『リモートデュエマスペシャルトーナメント』に先鋭的な構築の『ドラグ変怪』デッキを持ち込んだ。
その大会ではGR等のデッキ外カードの使用が認められない特殊なレギュレーションが採用されていたのにも関わらず、GR召喚をする能力をもつ「知識と流転と時空の決断」をデッキに投入していた。そのため、選択肢の1つであるGR召喚は一切検討されることはなく、ドローとバウンスの使い分けのみを考慮していた。

これもリモートがらみの問題だ。
リモートデュエマスペシャルトーナメントでは
・2ブロック構築
・ただしメインデッキ40枚のみ
という前例のない特殊なフォーマットが採用されていた。
しかも、そのうえで水決断やプーンギのようなGR召喚に関するカードの採用も散見されるという驚きに満ちた大会であり、「これはウミガメのネタにするしかない」と考えた。あとはそれを、どのように問題としてきれいに切り出せるかどうかだけで、今回一番最初に思いついた問題であった。(が、これに引きずられて他の問題の方向性が迷走し、没ネタも連発した。)

モデルはもちろんこの方、ZweiLanceさん。実際に水決断をデッキに採用していたのはZweiさん一人というわけではないが、動画的に一番わかりやすいので引用させていただきました。(アーカイブも残ってるし)

これも、カードの知識が必要なうえ、特殊なルールの知識まで求められる問題になってしまった。
これは「カードゲーマーにしか解けない」と銘打つ上でのジレンマなのだが、「前提知識なしで解けるほうがウミガメとしてはきれい」「でもカードゲーム知識で解けるほうがそれっぽい」という感じで相反する2つの評価軸が存在していて、どこを落としどころとするべきか、というのが毎回悩みどころなのだ。今回は結果としてかなり知識寄りになってしまったが、かなり最近の出来事なので思い出しやすいだろう、という見込みでこの問題の採用を「決断」したのだった。
この辺は回答者がシモカワ+いちごだったから、というのも込みの話であり、誰に出すか、いつ出すか、でガラッと変わるだろう。例えば10年後に同じ問題を、あまり歴が長くないプレイヤーに出したら絶対に解けない。解けない問題になってしまったら、それはクソ問題だ。

問題の中身についても触れよう。
この問題における「選択肢を完全に無視する」とは、ゲーム中はもちろん、事前の構想段階から一瞬も検討されていない、と言い切れるレベルの無視具合だ。当然GRクリーチャーがないので、使う可能性は一切ない。
そして、通常の状況であれば、あの3つの能力の中で最も「無視されにくい能力」なのがGR召喚なのは面白いところだ。実際に質問されたように、「山札が少ない」「クリーチャーがいない」などの理由で、ほかの能力なら「今は使いたくないな」と思える状況がいくつか簡単に思い浮かぶ。だがGR召喚だけは常に検討の余地がある能力だろう。強力なGRクリーチャーはいつだって魅力的で、何かが起きる可能性を秘めている。
特殊な状況1つでその関係性が逆転し、絶対に検討されず「完全に無視する」状況になるのだ。
「ね?これならマジで完全に無視するでしょ?」と言い張れる、納得力の高い問題だったと自負してる。
「そもそもレギュ的に水決断使うの??」という疑問を事実という名の物理で殴って黙らせてる部分は、やや下品だったかもしれないけど。

おわりに

というわけで、今回の3問の解説でした。
第3回はたぶんないです。ウミガメの問題って森羅万象のあらゆる事象から元ネタを探すほうが基本的には作りやすいと思うんですよ。
それをなぜか縛りプレイをしている状況(しかも素人が)なので、基本的には「マジで何も出てこない」んすよね。まあ、うっかり奇跡的に「降ってきた」ときにお会いしましょう。