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パーソナリティから考える仕事の選び方


仕事を選ぶとき、何を基準に選びますか?

『丸いくぎは丸い穴へ』
人と職業の両者を合致させることで職業の適応を行うという考え方です。

これは職業指導の創始者であるパーソンズによって原型を提唱された特性因子論の骨格となるもので、キャリア心理学の中では最も有名な言葉かもしれません。

今回は職業選択を考える上で基礎となる、個人のパーソナリティの違いに合わせた職業の選択について考えていきます。

パーソンズの職業選択理論からウィリアムソンの特性因子

パーソンズは①個人はそれぞれ違う能力を持ち、②個人は能力に合わせた最も相応しい仕事を選び、③スキルと仕事が一致するほど満足度が高くなる、としました。

そして、ウィリアムソンはパーソンズの考えを基に、
”人は全て異なる。個人の違いは測定できるモノで、複数のパターンで示すことができる。職業も同様に分けられる”
という考えから
カウンセリング方法や多くのテスト方法を開発しました。

今では当たり前のようにも聞こえますが、キャリアを考える上で全ての原型となっている話ですのでよく理解しておきましょう。

個人と環境は6つのタイプに分けられる-ホランド&プレディガー

個人の特性から職業を考えていくという特性因子論は多くの理論家に引き継がれ発展していきました。

ジョン・L・ホランドは職業選択やキャリアの発達の要因を、人格や個人の行動のスタイルに当てはめて考えました。

人と職業のマッチングはその人の性格特性(パーソナリティ)によって決まるという考え方です。

まず、ホランドは個人と環境を同一の6種類の型に分けました。
そして自分の持っている技術や能力が活かされて、自分が表現できるような環境を求めて仕事を選ぶとしました。

最終的には、人の行動はパーソナリティと環境との相互作用によって決定されると考えています。

ですが、自分パーソナリティと合っていない環境で仕事をする場合もあります。その時は、自らが環境を変えようとするか、その環境を受け入れて仕事をするかは個人の性格により行動が変わるとしています。

6つのパーソナリティタイプ

ジョン・L・ホランドの六角形モデル
  • 現実的(Realistic):物や道具を扱うことを好み、秩序的、組織的な操作を伴う活動を好む。技術関係の仕事に向いている。

  • 研究的(Investigative):数学、物理、生物などに興味があり、好奇心が強く学究的。物事の分析、意見を明確に表明する。

  • 芸術的(Artistic):言語、音楽、美術などの能力があり、創造的。繊細で感受性がく、独創的な発想が得意。

  • 社会的(Social):対人関係を大切にし、教育、人の援助などの仕事を好む。社会的な活動にも積極的。

  • 企業的(Enterprising):外交的で精力的。リーダーシップを取り、目標達成を好む。説得を得意とし、野心的な活動を好む。

  • 慣習的(Conventional):データなどの情報を体系的にまとめるのが得意。緻密で責任感がある。

この中で、職業興味が高いものを3つに並べて考えていきます(スリーレターコード)。
そして、この6角形の並びには意味があり、いくつかの考え方に注意しながらこのモデを使用していきます。

・対角線上にある領域は反対の興味を示す。つまり、現実的(R)と社会的(S)は反対の意味を持ちます。
・隣り合う領域は一貫性が高い。慣習的(C)の隣の現実的(R)と企業的(E)は領域が似ている。

などが挙げられます。

モノ・データ・データ・アイデアの4つのワークタスク

ホランドの6角形モデルを応用して、プレディガーはヒト対モノ、データ対アイデア、それぞれのどちらに興味があるか、から単純に自己分析を行う理論を提唱しました。

ここまで抽象的にしてもらえると、自分の興味がある分野を捉えやすいかもしれません。

プレディガーの4つのワークタスク

パーソナリティタイプを応用したキャリアガイダンス方法

人と職業が一致を目指すという点は現代の職業選択でも重要な考え方です。

パーソナリティタイプの考え方を応用したガイダンス方法として
『職業レディネステスト』、『VPI職業興味検査』、『OHBYカード』などがあります。

今でも使われているツールですので、興味があれば参考にしてみて下さい!

欲求段階による職業選択-マズローの欲求段階説

マズローは人間の欲求を5つの欲求に整理しました。
欲求は下位の欲求から上位の欲求へと段階的に進むと論じました。

マズローの欲求段階説

職業選択と親の養育態度-ローの職業選択

ローはマズローの欲求段階説を職業の観点から解釈しています。
①生理的欲求:食物、飲み物を得るため
②安全の欲求:住居、貯蓄を得るため
③所属と愛情の欲求:職場への所属欲求のため
④自尊と承認の欲求:仕事の成功による効力感、社会的地位
⑤自己実現の欲求:仕事を通じての欲求

重要なことは仕事は物理的欲求を満たすだけではなく、精神的欲求を満たすものであることを考えて職業を選択する必要があると述べています。

また、ローは親の養育態度により職業選択が変わるというユニークな研究をしています。

  1. 過保護型:過保護に育てられた場合。生理的欲求はすぐに満たされるが、愛情・尊敬の欲求は時間がかかる。

  2. 拒否型:子供に関心を示さないような環境で育った場合。愛情の欲求に時間がかかるとしている

  3. 受容型:子供のすることに対して受容的な態度をとる。全ての欲求を満足させることができる。

このように、幼児期の影響が個人の価値や欲求が職業選択に影響を与えると提唱しています。

まとめ

今回はパーソナリティタイプで考えられる職業の適性についてお話をしました。

注意してほしいのは、『この人はこういう性格だから、この職業に合う』と単純に決めつけてはいけないということです。

その人の興味や価値観は、表面的なことでは探れません。
自己理解をしっかり深めて、最終的には自分の決断で物事が進むようにしていくことが必要です。

ツールに頼りすぎてはいけないということを忘れないようにして下さい。



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