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カウンセリングのアプローチまとめ

今回はカウンセリングのアプローチ方法についてまとめてみました。
キャリアやカウンセリングに関わったことがない方には、あまり馴染みがない用語もあるかもしれませんが、自分の負の気持ちや行動の捉え方について勉強にはなると思います。

では早速初めていきます。


感情的アプローチ

起きている事態や環境よりも,相談者自身の感じ方に焦点を当てて相談者に肯定的関心を持つようにし、内面に焦点を合わせるアプローチ方法です。

代表的なものとして、来談者中心療法、フロイトの精神分析的理論、ゲシュタルト療法的カウンセリングがあります。

来談者中心療法

ロジャース(Rogers,C.R.)によって提唱されました。カウンセラーの3つの基本的態度として①自己一致または誠実な態度、②無条件の肯定的配慮、③共感的理解、が基本とされています。

方法としては以下の3つの手順に従います。

①「今、ここに」に集中し、想像や知的理解ではなく「現実」を体験させます。
② 自分の感情、思考、行動に責任を持ちながら、全感覚を用いて「自己」、「自分自身の価値」に気づいていくように支援します。
③ カウンセリングの重点は、一対一の「人間関係の質」を高めることに置かれます。

精神分析理論

オーストリアの精神科医であるフロイトにより提唱された理論です。

相談者の症状や悩みにある無意識的な葛藤や不満などを表出させ、自分に気づかせることで自己理解を深めて症状の改善や悩みを解決する方法です。

フロイトの功績の一つとして、無意識を発見したことにあります。
自分が認識している「意識」と、普段は認識ができない「無意識」が存在していることを捉えました。
そして、努力や他者からの指摘によって意識することのできる部分を「前意識」があるとしました。

精神を3つの局面からなるという考えを局所論と論じました。

そして、意識・無意識・前意識の3つから成る精神の構造を「自我」と捉えました。

そしてこの自我とは、分かりやすい表現で言えば「自我を保つ」というように、外界からの刺激を守り精神を保つような役割があります。

外界からの刺激としてイド(エス)超自我(スーパーエゴ)があります。


自我(エゴ):主な意識的な心の動きのことであり、現実原則で動きます。
イド(エス)
:無意識にも相当する部分ですが、抑圧された感情や衝動、欲求に当たります。幼少期における抑圧された欲動が詰まっている部分、と説明される事もあります。快楽原則で動きます。

超自我(スーパーエゴ):自我(エゴ)とイド(エス)にまたがっている存在であり、倫理・道徳・良心・理想などを伝える役割がある。道徳原理で動きます。

例を挙げると裁判官のような役割があり、どちらが正しいかを自分の倫理観などに従い、心を動かすような働きがあります。

フロイトは心の構造を3層からなる心的装置として捉え、これを構造論としました。

抵抗分析

フロイトの娘である、アンナ・フロイトによって提唱されました。
自我に対する危険から無意識に防御しようとうする反応のことを防御規制とし、相談者から起こる防御規制の内容を検討することを言います。

防御規制の種類は、投影、合理化、反動形成、抑圧などがあります。

ゲシュタルト療法

ユダヤ人の精神科医パールズが提唱した心理療法です。
代表的な技法として、エンプティ・チェア(空の椅子)があります。

自分が話したい相手がそこにいると過程して対話をすすめます。

ゲシュタルト療法の目標は、現在の「未解決な問題」を手放し、明日や来年、将来起こってくること、そして、「いま、ここ」のいかなる問題にも対応し得る方法を身につけることです。

認知的アプローチ

認知的アプローチの基本的な考え方は以下の2点です。

  1. 人の感情は、その人が受け止める認知や思考(合理的、認知的プロセス)によって影響を受ける

  2. 人は、合理的プロセスに従っているときは目標は達成される。問題が起きるのは、非合理的な認知や思考によって考えたり、行動するときである。

相談者が抱えている問題や混乱は、その人がそのことをどう考える(認知)かによるという考え方です。

人によっては出来事の捉え方で不安になったり、怒りだす、または喜びが起こるかもしれません。問題なのは、出来事の内容ではなく、それについての捉え方だ。ということです。

アプローチの特徴として、問題解決、意思決定の方法を取ることがあります。

  1. 問題を明言し、自分の問題であることを認識し、受け入れる。

  2. 可能な解決方法を選定し、評価し、選択する。

  3. 問題の解決策を実行し、その結果を評価する。

  4. その解決策を、他の問題にも一般化する。

要約すると、今後起こるかもしれない問題に適切に対処できるように、問題の解決方法について指導するアプローチです。

主なアプローチの方法には、倫理療法と認知療法があります。

倫理療法

エリス(Elis, A.)によって提唱された心理療法です。ABC(DE)理論と言います。

人間の感情(C:Consequence)はそれに先行する出来事(A:Activating Event)によって引き起こされるものではなく、信念(B:Belief)によって生じると考えられています。

つまり、不快な感情は非論理的な信念(イラショナルビリーフ)によってもたらされるので、それに対して反論(D:Discriminant and Dispute)を加えれば倫理的な信念(ラショナルビリーフ)が獲得され、悩みの解消などの効果(E:Effect)がもたらされるとしている。

認知療法

1970年代、ペンシルベニア大学精神医学教室の教授、ベック博士によって提唱されました。

出来事に対しての認知の仕方は、過去の体験から出来上がった深い思い込みであるスキーマ(信念)の影響を受け、無意識に思い浮かぶ思考であると捉えました。この思考を自動思考と呼びました。
ベック博士は自動思考による、認知の歪みを修正することがアプローチ方法であるとしました。

スキーマ(信念)のうちで重要なものは「私は無力である」というスキーマと「私は愛されない」というスキーマが、最も根底にあるスキーマ(中核的信念)とされています。

認知療法は、治療場面と日常生活場面を自由に行き来する形で行われます。治療場面が日常生活場面に働きかけ、日常生活場面から治療場面にフィードバックしていくために、認知療法ではホームワークを重視するのが特徴です。

行動的アプローチ

行動的アプローチは、感情的アプローチや認知的アプローチと異なり、人の内面に焦点を当てるのではなく、学習と行動の視点から人を捉えている点に特徴があります。

行動療法

アメリカの心理学者の一人のスキナーが行動療法という用語を初めて使用し、自らを徹底的行動主義と称した。

相談者の負の感情などの症状や問題行動は、不適切な行動の学習または、適切な行動の未学習によって引き起こされると考え、不適切な行動の除去や適切な行動の学習を行うというアプローチです。

学習のメカニズムにはレスポンデント条件付けとオペラント条件付けがあります。

学習のメカニズムを利用した行動療法を以下に挙げておきます

  • 系統的脱感作:ウォルピが提唱。不安階層表などを作り、不安反応がある刺激に対して、それに拮抗する刺激を与えて不安を取り除くように学習を進める

  • 自律訓練法:シュルツが提唱。自己暗示の言葉で、筋肉の緊張を解き、心身を健康な状態へ誘う。

  • 主張訓練法(アサーション・トレーニング):自己表現をアサーティブ(適切な自己表現)に近づけるための訓練法

  • 嫌悪療法:嫌悪刺激を提示し、不適切な行動を消滅させる。

  • 暴露療法(エクスポージャー法):不安などの負の感情を引き起こす刺激に対し、危険を伴いことがない場面で直面させて、不安や恐怖を克服するアプローチ

  • トークンエコノミー法:何かしらの課題を遂行できた時、あらかじめ定められた条件によって報酬を与え、行動を強化する。

  • シェイピング法:正しい行動を容易な段階から順に、段階的に達成させて強化し、段階的に目標行動を獲得させる。

日本の精神療法

日本由来の精神療法は森田療法と内観療法があります

森田療法

「あるがまま」を身につけることで不安や恐怖をそのまま受け入れて症状から解放されるという考え方です。
「不安」を病理ではなく,自然な感情と理解するのが特徴です。

不安障害、強迫性障害などのいわゆる神経症が主な治療対象疾患である。また、近年はPTSD、心身症、うつ病、パニック障害などの疾患に対して適用されます。

昔はほとんどが入院によって治療を行なっていましたが、症状の軽重によって通院・入院が分かれるようになりました。

アプローチ方法は以下の4期に分かれます。

  • 第一期:絶対臥床期 日常生活に戻りたいという心境になる

  • 第二期:軽作業期 下界に触れさせ軽作業をする。他人との対話も制限し、庭の観察や簡単な身体運動など静かな生活を行う。やや欲求不満な状態

  • 第三期:作業期 睡眠時間以外は何か作業をしている。レクリエーション等

  • 第四期:社会生活準備期 日常生活に戻れるように準備

特徴は第一期の絶対臥床です。1週間程度、小部屋に横になるという期間を取ります。

内観療法

1941年頃に吉本伊信によって提唱されました。
親子や夫婦や職場の人間関係の不和・非行・不登校・うつ状態・アルコール依存・心身症などに効果があると言われています。

浄土真宗に伝わる「見調べ」を前進としており、母、父、兄弟、自分の身近な人(時には自分の身体の一部)に対しての今までの関わりを、

  1. してもらったこと

  2. して返したこと

  3. 迷惑をかけたこと

の3つのテーマにそって繰り返し思い出す。主に人間関係を原因とする心の問題を改善する治療法です。

その他のカウンセリング技術

交流分析

バーンによって開発された。自分と他人との交流パターンや人間関係に着目した心理療法。
構造分析、交流パターン分析、ゲーム分析、脚本分析の4つの分析により、人格的成長や不適応などの変容を図ります。

まとめ

今回はカウンセリングのアプローチについてまとめました。
少し内容が専門的かもしれませんが、感情や行動の捉え方を知っていることで人との関わり方や、他人の行動を俯瞰してみられるようになると私は考えています。

今後、これらの内容を活かして発展的に話をしていきたいなと思っています。

また次回投稿もよろしくお願いします。


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