年齢ごとのぶつかる課題を知っておこう
自分が人生のどのような時期を生きていて、どのような課題に当たるかを考えたことがありますか。
人の発達の過程には同じような課題を持ち、それを克服することで成長していくという考えがあります。
これを発達理論と言います。
発達の過程を知ることで、自分がぶつかる課題を事前に理解しそれを受け止め・解決できるるという考え方ができます。
発達論には理論家により考えられた、いくつかの過程とそれに対応するべく提唱された発達論的アプローチがあります。
それぞれ代表的な理論家と発達理論を説明していきたいと思います。
アイデンティティとは
アイデンティティとはなんでしょうか。
他人や社会との関わりの中で、『自分が自分である』という感覚を持つこと。また、『自分がどういう人物であるか』を認識すること、その自分が『過去も未来も変わらない感覚』のことを指す。としています。
このアイデンティティが発達の過程で大きな関係があるとしています。
エリクソンの発達理論
アメリカ合衆国の発達心理学者であるエリクソン(Erikson, E.H)によると、アイデンティティは生まれてから老年期の死ぬまでの生涯に渡る発達過程の中で形成していくものと捉えました。
8つの発達段階に分けられた漸成的発達理論は、それぞれの段階の課題とそれが獲得できなかった危機、克服によって得られるものを基本的強さとして整理をしています。
そして徐々に人の核が出来上がっていくと考えています。
特にエリクソンが注目したのは青年期の時期であり、成人までのアイデンティティの確立を専念するための猶予期間であると考えています。
このアイデンティティの確立は後に説明する他の理論家にも通じる部分がありますので、よく理解しておきましょう。
ギンズバーグの発達理論
1951年、エコノミストであったギンズバーグは、最初に職業発達理論を提唱した理論家とされています。
変化する自分と変化する環境の間で、職業に対する適応度を向上させようとすることに特徴があります。
空想期(10歳以下)
遊びの中で仕事や職業について学び、徐々に仕事に関する概念ができてくる時期。
商業に対する興味関心や理解ができてくる。
試行期(11〜18歳)
自分の興味・価値観・能力などを仕事と結びつけて考えることができる時期
現実期(18〜20歳代初期)
仕事の選択にふさわしい自分の能力や価値観を確認して、自らに磨きをかける時期。
それぞれの時期を年齢表していますが、個人差があることは理解する必要があります。
レビンソンの発達理論
ダニエル・J・レビンソンは人生を四季に例えました。
成人の発達は4つの発達期があると考え、それぞれの段階で安定期と過渡期が現れるとしています。
さらにこの中で大きな過渡期として3つをあげ、それぞれの大きな過渡期の間にさらに段階を入れています。
なお、その中でも40歳は人生の正午という表現をし、自分に光の当たらなかったことも見えてくる時期としています。
成人への過渡期(17〜22歳)
親や社会で守られて生きるのではなく、自分で道を切り開かねばと思う時期です。
そのときに必要な気持ちは『自分は自分である』という自分自身に確信を持つこだと言います。
この時期に生じる、離人感やアパシーという感情をコントロールする必要が出てきます。
中年への過渡期(40歳前後)
人生半ばの過渡期と呼んでいます。自分が40年間防衛してきたのもが守りきれないことへの恐怖感を感じる時期であるとしています。
そして、自分自身や自分が関わる世界を肯定して生きていかなければならない時期です。
もし、自分の考えと関わる人や環境とに違いが生じたら、本当の自分と折り合いをつけること、過去を見直すことなどの対応が重要な課題になると考えられています。
老年への過渡期(リタイア前後)
この時期は死の需要や新たな生きがいの獲得が課題となってきます。
自分自身が死にゆくものであると受け入れなければいけない時期です。
この時に社会からの役割の喪失など孤立化が進むという問題が発生します。
レビンソンはこれらの過程は誰でも自然と通過するのもであるとしています。
スーパーのキャリア・ディベロプメント理論
スーパーはキャリア心理学の界隈では最も有名な理論家の一人であり、数々の功績を残した人物です。
その一つがライフステージ理論です。
前述したギンズバーグなどの研究を集約・発展させ、キャリア・ディベロプメントのプロセスを整理しました。
スーパーによって整理された発達理論は成長期・探索期・確立期・維持期・下降期の5つの段階に分けられました。
これをライフ・ステージと呼び、各ステージをマクシサイクルと呼びました。
成長(0~14歳)
家庭や学校での経験を通して、職業への関心を寄せる時期。
観察やロールモデルを通じて仕事の世界を学び始めます。
探索(15〜24歳)
学校生活やアルバイト、就職、転職などから、現実的な探索を通じて職業が選択されていく時期。
仕事の世界の情報収集や職業選択に必要なスキルや知識をうまく取得できた若者は、仕事への世界へのステップアップをうまく進める。
確立(25〜44歳)
自分の暫定的な職業に対して、安定した地位が確立できるように自分の分野を前進させる。
維持(45〜64歳)
自分の成果を維持し、キャリアを確立する。安定思考が高まり、リスクを犯すような危険は避ける。
下降/解放(65歳以降)
精神的・肉体的に衰え、職業世界から引退する時期。趣味的な活動を行う。
ミニサイクル
また、各ステージにはミニサイクル(成長・探索・確立・維持・離脱)という段階がさらに細かくあることを提唱しています。
また、どのライフステージでも、環境と個体に対処できるかは、個人のレディネス(準備、キャリア成熟)の程度によると考えられています。
各ステージ毎に課題がありますが、それぞれを克服するためのスキル・技術などの準備が昼ようとなります。
また、スーパーはキャリアを発達させることは、職業的な自己概念を発達させて実現していくプロセスであると唱えました。
自己概念となる「自分とはなにか」「自分自身をどのように感じ考えているか」を理解していくことが、自分に適したキャリアを知る鍵となります。
まとめ
今回は発達理論の観点からキャリア発達を捉えてみました。
年齢によりキャリアに対する考え方が変わるというのは、リスキリングや転職、副業が当たり前になってきた今の時代では当てはまりにくい部分もあるかも知れません。
ですが、周りの人や自分の考え方の移り変わりを改めて考えてみると、当てはまっていることもあるのではないでしょうか。
キャリアに迷っていれば、何かの参考になるかも知れません。
X(Twitter)の方もフォローしていただけると嬉しいです!