コウヤマキ
コウヤマキの種を植えた。
松ぼっくりならぬ高野ぼっくりから種を取り出し、水につけ選別し、たまごパックを活用した苗床に植えた。
芽が出るといいな。
コウヤマキは便利でおもしろい木だ。
香りも独特で、お坊さんにとってはお寺の香りだったり、お葬式の香りだったり。
わたしにとってはお盆の香り。
吉野山はお盆にコウヤマキを供える。
お盆の前にはお堂用、お寺用、仏壇用、神棚用、あとご近所の皆さん用にたくさんたくさんコウヤマキを準備する。
コウヤマキの香りにはタマムシが寄ってくる。
3年前だか4年前だかのお盆の準備のときに、お堂の前の大きくなり過ぎたコウヤマキを一本倒した。
一通り枝を落としたあと、日陰で休憩しているときに気がついた。
頭上をたくさんのタマムシが飛んでいた。
太陽の光を受けてきらきらと輝きながら飛ぶタマムシはとてもきれいだった。
コウヤマキは成長が遅い。
成長が遅いということは、年輪が密だということだ。
だからかどうか知らないが、コウヤマキは水に強い。
枝を落としたコウヤマキの幹は山道の補修に使う。
スギやヒノキとちがってコウヤマキはなかなか朽ちないからだ。
そのとき土留め用に道の谷側に固定したコウヤマキは、今でもしっかり土を留めてくれている。
いつも祭壇用にコウヤマキを山から採ってくる。
コウヤマキはべたべたしている。
松脂(まつやに)みたいなものだろう。
あのべたべたがあるから香るのだろうし、水にも強いのだと思う。
油脂成分が多いからか、コウヤマキは皮をむくととても美しい光沢を放つ。
KAM INNの玄関には大きな丸太を贅沢につかった美しい腰かけがあるのだけど、あれはコウヤマキだ。
KAM INNにお越しの際はぜひ注目してほしい。
あれをみたらコウヤマキの魅力に一気に引き込まれると思う。
コウヤマキは、きれいな木だ。
いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んで「サポートしてやってもいいな」と思ってくださいましたら、少しだけサポートしてもらえると嬉しいです。いただいたサポートはお堂の維持、修行、山伏装束の費用に使わせていただきます。