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星空
昨日も今日も、とても星がきれいな夜だ。
そんな夜は地面に寝転がって、一人静かに空を眺める。
静かに息をして、地面と一体になって、虚空を見つめる。
何もないその空間は、なぜああも心地よいのだろうか。
一昨日から体調が大変悪い。
頭痛、吐き気、胃痛、腹痛、下痢、四肢に力が入らない。
これは完全に風邪では?と思ったが熱はない。
痛む頭で思考をぐるりと巡らせて気がついた。
PMSだ。
日本語では生理前症候群と呼ばれる。
人によって差はあるが、生理が来る1週間~10日前からはじまる女性ホルモンの引き起こす症状だ。
そのPMSが今月は異常に重い。
これは間違いなく疲れのせいだなぁ。
8月からずっと休日らしい休日がなかった。
素敵なお客さんに囲まれて、とても楽しくはあったけれど、一人の時間はほとんどなかった。
そういえば先週、突然涙が出てびっくりした。
あれもPMSの初期症状だったのだと思うのだけど、疲れによるものでもあったのだろうなぁ。
何を食べても胃が痛むから昨日はおかゆを作ったのだけど、それすら茶碗一杯も食べられず。
どうすればいいのか途方に暮れ、そのまま山に修行に行った。
その晩。
取り込み忘れた洗濯物を取りに外に出たら、久しぶりの満天の星空を見つけた。
月もなく、美しい星空だった。
地面に寝転んで星を見上げた。
距離なんて毎日変わらないはずなのに、なんだかとても星を近くに感じた。
ただ眼を開けているだけ。
何を意識して見ているわけでもない。
底に星たちがあるから、星たちが見えている。
ただただ美しくて、それを無意識に見つめているだけなのに、みるみるうちにそこにある『自分』という意識も、そこに内包する疲れも悩みもすべて溶けて消えてゆく。
静かに静かに息をして、そのうち息をしていることも忘れそうなくらいすべてが静かになる。
明鏡止水。
暗闇の中で静かに横たわり、流れ星を数え、
30分か1時間か経ったころ、宿に戻った。
体調がとても良くなっていた。
不思議なものだ。
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