透明って無色だと思ってた
ムショクトーメー
幼稚園の頃から不思議だった。
無色透明。
透明って無色じゃないの?
無色だから透明になるんじゃないの?
色がついたら、それはもう透明じゃないんじゃないの?
だとしたら、
わざわざ「無色透明」なんてカッコつけちゃって。
四字熟語で言う必要ないんじゃないか。
アカイロトーメー
小学校に上がり、悔しかった。
知ってしまった、赤色透明。
寄りにもよって勉強で使う、暗記シート。
人生初、出会った有色透明がオマエだなんて。
再びオマエにムカついた。
オマエ越しに見る世界は、ワクワクするんだもん。
だって世界が真っ赤なんだもん。
透明に目が奪われた。
ゼリーハトーメー
中学入学、気が付いた。
大好物の、水色透明。
その子は控えめで、意地悪だった。
透明過ぎて、見落させるなんて。
幼稚園の頃から大好きだった。
その子はゼリー。一目惚れ。
フルーツ味だと、有色不透明も多いけど。
あ。プリンのカラメルは?
苦すぎるのは苦手だったけど。
ずっとゼリーは、そこにいた。
キラキラトーメー
あっという間に高校生。
世界が広がり驚いた。
透明って、くすぐったくてくすぐったい。
例えばチャペル。
教会で、ステンドグラスがキラキラしてる。
透明ってこんなにカラフルに、輝けるのね。
透明って、光を通すだけだと思ってた。
まさか光を。
まさか私を。照らしてくれるだなんて。
ニンゲントーメー
大人になったらなんなりたい?
透明人間。
……じゃなくて人間透明。
自分が目立つんじゃなくて。
だけど全く見えないんじゃなくて。
私が居ると、優しく周りが照らされる。
カラフルに。
個性豊かな。
透明でありたい。
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